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滞仏日記「初登場!ひろゆき氏と奥様のゆかちゃんと行きつけの和食屋で呑んだったのだの巻」 Posted on 2023/06/16 辻 仁成 作家 パリ

某月某日、若い世代に人気のひろゆきさんとその奥さんのゆかちゃんと寿司をつまんだのだった。
和食屋の店主、大竹さんは「おっさんずラブ」仲間で、彼はゲーム&ネット族なのだ。寿司を握ってない時は若者たちとネットで繋がっているというある種、オタクな人物で、その大竹しゃんが大のひろゆきファンなのだった。
「辻さん、お願いだから、一度、ひろゆきをうちの店に連れて来てください」
ひろゆきさんとは狭いパリなので、ばったり出会った街角で~♪、みたいな出会いがあって~、今まで、何度か食事やお茶をしたこともあり、携帯紛失マネのMM氏もひろゆきファンだったり、逆に長谷っちはなぜか冷たい反応をしてみたり・・・とにかく、みんなに関心を持たれ、好かれているような人物なのだった。
あの顔って、何かに似ている、と思ったら、ハッカー集団、アノニマスのトレードマークの仮面に、に、似ている!

滞仏日記「初登場!ひろゆき氏と奥様のゆかちゃんと行きつけの和食屋で呑んだったのだの巻」



ぼくにとっては、奥さんのゆかちゃんが、優しくしてくれるので、嬉しい。
彼女は、父ちゃんのオランピア劇場ライブに来てくれたのだ。
それも嬉しくて、今度飯しましょう、ということになっていた。

実は、ひろゆきさんのことは、世代が違うこともあって、大竹さんやMMに比べて、ぼくはまだよく知らない。
でも、ネットニュースとかで顔が出ない日はないし、ぼくは毎日、リールばっかり見ているのだが、そこに流れてくる、おさゆきさん(?)だったかな、という人のひろゆきさんの物まねがツボにハマって~・・・。
で、三四郎相手に、「それって~、あなたの感想であって~」とかよく真似していたのだけれど、それが実は、ひろゆき氏の物まねであると、わかって、驚いた、ううう、時代遅れ父ちゃんなのだった。
ぼくにとって、ひろゆきさんって~、日本のメディアがよく見える人の一人なんですけれども~、じつに謎に包まれていて、はぐらかされるっていうか、素直さと頭の回転の速さのオンオフが半端なくすごくって~、みたいな人物像なのであった。
だから、おさゆきさんの物まねを通して、本物を知った時の興奮といったらなかった。めっちゃ、本物じゃん、と思って、そこらへんから、興味がわいて、たまに、ご飯したり、接近しているのであった。☜どんな接近?
今回は、大竹シェフの熱望を叶えてあげるべく、お食事に、お誘いしたのだった。

滞仏日記「初登場!ひろゆき氏と奥様のゆかちゃんと行きつけの和食屋で呑んだったのだの巻」



で、ゆかちゃんとひろゆきさんって~、席に着く段取りで、一瞬、二人の夫婦関係性が見えるやりとりがあって、詳しくは覚えてないのだけれど、笑、着席の仕方もなんかあって~、
逆に、作家のぼくにはよく二人の関係性が見えるやりとりで~、微笑ましく、ある意味、お互いのないものを補いあっているような夫婦なのかな、羨ましい、と思わせるものがあったのだった。追記しておきます。
えへへ。
日本のメディアでひっぱりだこだというひろゆきさんを、ゆかちゃんがどうコントロールしているのかを、見るのもぞくぞくしますね、とMMが言うし、大竹さんに至っては、本物のひろゆきさんを前に珍しく緊張して、ゆかちゃんのワイングラスをカウンター越しに倒して、粉砕し、彼女の白いドレスをガラスと泡だらけにしてしまったのだ。
なんだか、ひろゆきがいるだけで、場が興奮の坩堝になるので、ここが受けているのだな、と思った父ちゃんであった。
しかし、ぼくもひろゆきさんもお互い、世代は違うのだけど、共通する何かがあって、気が合うのかな、と思う。
ぼくはご存じのように変わり者だけれど、負けないくらい変わり者なのがこの人で、その一挙手一投足を父ちゃん的には、微笑ましく眺めていた。
実は、深い話をしたいのだけど、そういう話になるとつまらないので、ぼくは三四郎の相手をしながら、八海山をぐいぐい飲んでいた。

滞仏日記「初登場!ひろゆき氏と奥様のゆかちゃんと行きつけの和食屋で呑んだったのだの巻」



いろんな話をしたのだけど、一番、盛り上がったのは、ぼくが長年、密かに描いている絵を見せた時のことだ。
ぼくは自分だけがたまに覗くための作品ブックのような自作画サイトを持っていて、これはマジで、自分の趣味だから人に見せたこともない。
息子にこのあいだ、やっと見せたくらいの宝箱のような空間なのだ。
ノルマンディの家で、ずっと油絵に向かっている一人の時間の結晶なのであーる。
「え、辻さん、絵を描いているんすか」
と言われ、見せてしまった。
そしたら、あのひろゆきさんが、ガン見して、長い時間黙ったので、嬉しかった。
「この絵はどうするんすか? 世に出さないんすか?」
「趣味ですからね」
笑。
今度はゆかちゃんが、奪い取って凝視。
この二人、真剣にぼくの作品を全部、隅々まで見てくれたのだった。
絵は仕事にするつもりがなくて、ぼくが自分をぶつけられる子供の頃からの趣味だった。だから、ずっと誰にも見せずにきたのだけれど、
「実物がみたいっす。見せてください」
と、ひろゆきさんに言われた。
「ノルマンディのアトリエにあるけれど」
「見たいっす」
ぼくは笑ってごまかしたのだけれど、どこまで本気なのか、これはまた、次の話になるのだろう。
でも、嬉しかったっす。
ということで、パリ・コネクションに新しいキャラが登場とあいなった。
ふー、酔った。
歩いて、ぼくは暮れなずむパリ市内を横断したのであーる。

滞仏日記「初登場!ひろゆき氏と奥様のゆかちゃんと行きつけの和食屋で呑んだったのだの巻」



人生はつづく。

今日も読んでくれてありがとうございます。
ところで、いろいろと今日は動きがあって、まず、日本公演なのですが「チケット当選しなかった」という岡島直樹さん(昔の知り合いで鎌倉のイタ飯屋コン・ジーリョの店主)から「軽い怒り」のメールが入り、ぼくがごめんね、のメッセージのあとに、笑顔のマークを付けちゃったものだから、「何で笑うんすか? なんで他人事みたい? ひどい」とぶち切れされて、「いや、笑ってません、最近、視力が落ちてるから泣き顔マークと打ち間違えたんですよ」と言い訳したのだけれど、・・・返事がないのです。これは、とばっちりというもので、ぼくは心を痛めているのであります。ということで、ぼくも困ったのだけど、他にも当選しなかった、という人が多くて、皆さんに、申し訳ないから、どこか国内の別の場所でもいいから、ぼくやメンバーのスケジュールがあう会場探して、お願い、と中原しゃんに伝えて、わかりましたー、と元気な返事が戻って来ました。朗報をお待ちください。ともかく、夏は駆け抜けるぞー、日本!
そして、この日曜日、6月18日、いよいよ、サンジェルマン・デ・プレ界隈を散策するオンライン・ツアーが開催されます。ご興味ある皆さん、下の地球カレッジのバナーをクリックね!!! それって~、オンライン・ツアーじゃないですかぁ。

地球カレッジ

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