某月某日、パリごはんでおなじみの元肉屋のロジェと、おなじくぼくの悪友の野本ちゃんから、ほぼ、時を同じくして、ラブコールがあった。
「ひとなり、たまには食べに来んか？」
時を同じくして、ロジェからも、
「ジビエのヤマウズラをとったから、とりに来んか？」
ということで、ロジェの家までヤマウズラを貰いに行った父ちゃん。オイル漬けにしたヤマウズラは一日置いた方がいい、ということで今日、調理したのだ。
一方、昨夜、野本の新しい店「シャルボン（炭）」に呼ばれたので、顔を出した父ちゃんであった。行く前に、
「ロジェからヤマウズラ貰ったんやけど、喰うか？」
とラインしたら、
「え？　毛とか毟ってあるの？」
という、意外な返事。こりゃあ、自分で料理しないとロジェに申し訳ない、と思ったので、持って行くのをやめた。
うどん屋をしめて、パリで炭火焼専門店「シャルボン」を出した野本は、ぼくよりも年上なのだ。
なのに、この年齢で、新しい店をオープン。しかも、いまだに、厨房に立って、自分で料理をしている。
あんまり野本を褒めたくないが、異国で、この年齢まで第一線で戦っているその姿は認めてやりたい。あんたは偉い！！！　☜偉そうですまん。
そして、飲んでる時はあんなに面白いのに、働いている時はまじめすぎてあんなにつまらない男も珍しい、あはは、その両極端が逆に面白いのかもね。
話はそれたが、要は、野本のところで食べた焼き鳥と、ロジェから貰ったヤマウズラ、どっちに感動をしたか、日仏、どっちの焼き鳥が美味かったかを今日は残酷に、ご報告したいのであーる。
え？　盛り上がっているのはぼくだけ？

※　働いている時はこんなに真面目で、実につまらない男なのであーる。

※　店の外だと、ここまで砕けて、実に楽しい男になる野本将文さん。

パリの首相府などに肉をおろしていた老舗肉屋のロジェ。
３０年前にパリに四国うどんの専門店を開店し、日本食ブームの火付け役の一人となった野本。
この二人、世代的にも近いし、体形も老け方も実にそっくり、朴訥で、真面目で、仕事大好きなおっちゃんずラブ、この二人が本気で取り組んだ焼き鳥対決なのだが、ううう、いや、なかなか、勝敗を出すのが難しかった。
まず、野本の店では、「お任せコース」を頼んだ父ちゃん。
焼き鳥は、カシワからはじまり、つくね、手羽、ソリ、振袖、オマール、鰻、が出た。牛肉もあるのだ、という。
「あのな、ひとなり。フランス人、焼き鳥ばかりだと、怒るんよ。牛はないのか、魚はないのか、って、知らんがなやろ。だから、神戸牛とか炭で焼いとる」
確かに、フランス人に、鳥肉だけ焼いて出しても難しいだろうな、と思っていたが、その通りであった。とり皮とか、わからんだろうし・・・。
そして、野本の店で、個人的に一番、美味しかったのが、手羽であった。
「え？　手羽か、あれが一番安い肉や」
「安いかもしれんが、忘れられん味やった」
「あはは、中に、根セロリを仕込んで焼いてるし、上に黒トリュフやからね。しかも、鳥はフランス一美味い、ブレス鳥の手羽や」
なるほど、これは野本の勝ちやな、と食べた瞬間に思った父ちゃんであった。
うみゃあ！

※　これが野本の自信作、「手羽」なのである。すごい！！！

で、日が変わり、今日、父ちゃんはロジェから貰ったオイル漬けのヤマウズラを彼に言われた通りフライパンで焼いたのであった。
もも肉は両面、６分、ずつ。
胸肉は、１分、ずつ、両面。
「ムッシュ・ツジー、ヤマウズラの横には、フヌイユをソテーにして、添えたらなお美味いよ」
ということで今日はバンドの練習の帰りにスーパーでフヌイユを買った父ちゃんなのであったぁ。
ご覧頂きたい、この油絵のような美しい出来栄え。おおお、芸術の秋であーる。
そして、美味い！！！！

※　これが、ヤマウズラのもも肉と胸肉、そして、フヌイユのソテーなのであーる。

※、ロジェは逆に仕事をしている時の方が陽気なのだ。普段は、孫にべったり優しい人なのであーる。

正直、ヤマウズラはスズメよりは大きく、鳩よりは小さい、小鳥ちゃんなのである。だからか、もも肉は、ほぼ食べるところがない。
手羽もあることにはあるが、小さすぎて、食べにくい。
フランス人はたぶん、しゃぶりつくのであろう。
しゃぶって食べないとちょっと難しい。一方、胸肉は、一口食べきりサイズなので、ちょうどよかった。パクッ。
うわ、うまあああああい！！！
オイル漬けだが、大量のタイムが効いている。塩胡椒はしてない。
なので、食べる時に、マスタードとフラー・ド・セルを添えて食べた。
うーむ、美味い。
これは野本の手羽より美味いかもしれない。
野本のブレス鳥の手羽は脂がのっていて、ジューシーだった。
ロジェのヤマウズラは、確かに、狩猟でつかまえただけあり、ジビエでしか味わえない、自然の美味さが染み入っているのだ。
ひゃああ、野本対ロジェ対決、ううう、審査結果はこのあと、お伝えしましょう。

審査結果、発表！！！！

父ちゃん審査委員長の最終、判断が出たので、ご報告したい。
ロジェは、愛犬がいて、名前はタラちゃん。
タラはもともと狩猟犬で、彼のために秋になるといつも、仲間の猟師たちと山に行くのだという。
今回、ロジェは、４０発、撃ったが、実は一羽も仕留めることが出来なかった。
かわりに、愛犬のタラが走り回って、ヤマウズラを仕留めたというのである。（たぶん、実際には、プロの猟師が撃ったヤマウズラをタラちゃんが捕まえた、ということであろう）
そして、釣りに行ったが釣れなかったお父さんみたいに、ロジェは猟師たちからヤマウズラを分けてもらったのであろう。ぼくに無理して、４羽をくれたのだ。
ジビエの季節、ヤマウズラの毛を毟って、ぼくのためにオイル漬けにしてくれた、愛犬思いの、ロジェがくれたヤマウズラ、生まれて初めてオイル漬けを頂いたので、５１点をロジェにあげたい。
そして、ぼくのために今日も黙々と焼き鳥を炭火で焼いてくれた野本さんに４９点を差し上げたい。（野本のところで出てきたフランスの鰻、これは１００点であった。炭で焼かれたフランス産の天然鰻くんに、唸った父ちゃんなのであった）
とまれ、引き分けというのを認めたくない、父ちゃんなりの採点結果であーる。
ロジェ、おめでとう。
あはは。野本ちゃん、また、飲みに行こね。

つづく。

今日も読んでくれてありがとうございます。
ということで、２週間後に迫ったロンドンライブ、今日も練習をしたのでありました。もう、かなり最高の状態です。多分、間違いなく、今年最高の出来栄えになるでしょう。皆さん、ロンドンで待っていますよ。えへへ。
ロンドンのジャズクラブ「ＱＴ」で父ちゃんは大暴れをやらかしますよ～。お楽しみに！！！
チケットサイトは、こちらです！！！
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１８時半からの回も、まだ、数枚残っているので、早い回がご希望の皆さんは、こちらから、どうぞ！！！
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https://www.universe.com/events/tsuji-mon-23-october-2023-at-qt-covent-garden-630pm-tickets-WJ6ZH0
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２０時４５分からの回（追加公演）チケット販売サイトを、こちらに貼っておきますね。
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https://www.universe.com/events/tsuji-mon-23rd-october-2023-at-qt-covent-garden-2045pm-extra-concert-tickets-JBSF3D
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そして、日本から行くぞ、という皆さん、引き続き、JALパックロンドンの上口さんがお手伝いをさせていただきます。上口さん、ありがとう。こちらから、どうぞ！！！
https://www.jalpak.fr/optionaltour/tsujiconcert/