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滞仏日記「ボルドーワイン大使の任命式で大暴れした三四郎、お、お、おいっ、さんちゃーーーーん!」 Posted on 2023/12/07 辻 仁成 作家 パリ

某月某日、ということで、ボルドーワイン協会から2024年度のグランド・アンバサダーという大役を仰せつかった父ちゃんであった。
フランスワインを代表するボルドーワインのアンバサダー、だなんて、めっちゃ光栄な仕事なのであーる。
2024年は、ボルドーワインの普及に努めたい。
ということで、フランス時間の午前11時(日本時間の19時)から新宿の大きなホテルのレセプションルームで任命式があったのだ。
もちろん、父ちゃんは出席できなかったので、事務所の映像部門が大集結して、パリの事務所から生配信をやったのであーる。
朝の9時半にはスタッフさんがやってきて、カメラのセッティングとか、回線チェックなどをやった。
いろんな人の出入りがあったが、三四郎はおとなしく、ソファで寝ていたので、ま、そこにいさせていいだろう、ということになった。
ところが、ところがであーる。
ワイン協会会長のアンリさんなどの挨拶が終わり、
「さ、続きまして、グランドアンバサダーに任命されました、パリの辻さんに登場していただきます」
とMCの方が高らかに宣言したとたん、寝ていたさんちゃんが、カメラの向こう側からすっくと顔を出した、いやーな、予感・・・。
割と挨拶が続く硬めの会だったので、いっぱつかましてやろうと、ギターを冒頭かき鳴らしたのがいけなかった!
さんちゃんは、それを合図と思ったみたいで、カメラを飛び越え、テーブルの下をくぐりぬけ、ギターを演奏していた父ちゃんの膝に飛び乗ろうとした。
スタッフさんが止めようとしたが、生配信なので、はいれない! 仕方なく、父ちゃん、ギターを置いた。すると、三四郎が、待ってましたとばかり、ジャンプ! 
すべて、東京に生配信をされてしまったのだった。
しょうがないので、三四郎を抱っこし、(この野郎、さっきまで寝てたじゃん、という顔は微塵も出さず、満面の笑みで)」
「ええと、この度、ボルドーワイン大使に任命されました、辻仁成です、あはは、愛犬の三四郎です」
とごまかすしかなかったのであーる。

滞仏日記「ボルドーワイン大使の任命式で大暴れした三四郎、お、お、おいっ、さんちゃーーーーん!」

※ 飛び乗ったさんちゃん、暴れるさんちゃんを必死でおさえつけ、なおも笑顔で、語り続けるこの演技者、父ちゃん~。

滞仏日記「ボルドーワイン大使の任命式で大暴れした三四郎、お、お、おいっ、さんちゃーーーーん!」



で、抱っこしたまま、
「日本とフランスの歴史はさかのぼること、1898年、パリ万博で日本から大勢の使節団が来仏し、それを一つのきっかけに、ジャポニスム運動が始まるわけですが、(三四郎が父ちゃんの頬っぺたを舐めようと狙っているのがわかった、こら)。ええと、ええとですね、犬が、ええと、フランスと日本の長い歴史の中で、日本人は、そんなフランスの芸術、音楽、文化、そしてワインを好きになっていきました」
三四郎を下におろしながら、懸命に語り続ける父ちゃん、まるでコメディ映画。
持ち時間10分もある。マネージャーのMMと岡っちが二人がかりで、三四郎の大好物の鳥のささみを振りかざしておびき寄せようとするが、なぜか、さんちゃん、見向きもしない。
「ボルドーは今年の1月に三四郎と遊びに行ったばかりでして、雄大なガロンヌ川周辺のホテルに泊まって・・・」
再び、飛び乗ろうとする三四郎。
這ってテーブルの下を移動してきた岡っちが、三四郎のしっぽをつかんだァ。
カメラには映ってないが、三四郎は尻尾をつかまれるのがことさら嫌いなのである。そこでのたうち回って、大暴れ、さあ、大変! 吠えたら、任命式が台無しに・・・。

滞仏日記「ボルドーワイン大使の任命式で大暴れした三四郎、お、お、おいっ、さんちゃーーーーん!」

※ こいつ、愛犬です、と説明中。この時、岡っちが、父ちゃんの足元まで匍匐前進してやってきた。元レスリング部主将、さすが、身のこなしが軽い・・・。

滞仏日記「ボルドーワイン大使の任命式で大暴れした三四郎、お、お、おいっ、さんちゃーーーーん!」

※ フランスからえらい人たちがたくさんやってきていたのに。さんちゃん、大暴れ。中央がアラン・シンシェール会長、左が、友達のファブリス!!!

滞仏日記「ボルドーワイン大使の任命式で大暴れした三四郎、お、お、おいっ、さんちゃーーーーん!」



「素晴らしいのは、ボルドーワイン協会は新しいワインの作り手たちをこれから世に広めようとしているのです。いいですか、(三四郎が父ちゃんの足にしがみつこうとしているが、岡っちが、それを引っ張る)世界最高のワイン生産地ボルドーが、その歴史に甘んじることなく、新しい作り手たち、新しいジェネレーションにバトンタッチしようというこの新しい試みこそ、まさに、ボルドーワインのルネッサンスの一ページになること間違いございません。なので、世界は新しく生まれ変わるボルドーの赤を楽しめることになる。その瞬間に立ち会えることが私にとっては何よりも光栄なことでして・・・」
三四郎を捕獲した岡っち、廊下の外へと連れ出したところで、父ちゃんの持ち時間は時間切れとなったのでありました。
何をしゃべったのか、何も覚えてなーい。あはは、めちゃくちゃになったじゃないか。
「ということで、来年は、6月にボルドーでのライブも決まったし、その前にはボルドーの生産地に出向いて、新しいワインや作りてたちと出会いたいと思っております。ご清聴ありがとうございました」
ここで、東京側が、映像をカットしたので、ぼくの出番は終わりとなった。ううう・・・。三四郎め、寝てたくせに、と思ったが、これはもう、しょうがないことだった。
すると、日本側のプロデューサー、ファブリス・ルノーさん(前回、六本木の串揚げ屋に一緒に行った人です、日記で軽く紹介をしましたよね、日本語ペラペラのフランス人)から、
「本当に、素晴らしかった! 辻さんのパワーはすごいです。改めて感謝します。(原文、ママ、笑)」
とメッセージが届いたのであーる。
やれやれ、よかった。ということで、皆さんに改めてご報告があります。
2024年度、父ちゃんはボルドーワインのグランド・アンバサダーに就任をしたのです。めでたし。(ちゃんとしたプロのソムリエのアンバサダー、石田さんもいらっしゃいます。ご安心ください。父ちゃんは素人代表ということで)
皆さん、大使である父ちゃんから一こと、ボルドーワイン、おいしいですよー。
えへへ。

滞仏日記「ボルドーワイン大使の任命式で大暴れした三四郎、お、お、おいっ、さんちゃーーーーん!」



つづく。

今日も読んでくれてありがとうございます。
さんちゃん、ぐっすり寝ていたのに、何も本番で、がばっと起きて、父ちゃんに突進してこなくてもいいでしょうにねー。でも、かわいい息子だから、ちょっと嬉しかったです。ちなみに、父ちゃんの背後にある絵は、現在、制作中の巨大な油絵です。来年中には完成する予定なので、お楽しみに!!!
さて、そんな大使の父ちゃんですが、辻村では村長をやっています。いろいろイベントもあり、梅と桜の季節にはライブをやったり、ワイン会もやらないとならないし、お時間とご興味のあるみな様、ぜひ、ツジビル村の村民になってくださいませませ。詳しくは下のTSUJIVILLEのバナーをクリックしてみてねー。めるし。

TSUJI VILLE

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※ 父ちゃんの個展、近づいてきましたねー。2024年2月28日~、伊勢丹デパートですからね、遊びに来てくださいね。



自分流×帝京大学