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滞仏日記「息子の20歳の誕生日会で、ローマの本場カルボナーラを作ってやった父ちゃんなのだの巻」 Posted on 2024/01/14 辻 仁成 作家 パリ

某月某日、不意に思いついた息子くんの、20歳のどっきりシークレット誕生日会。(正確には、まだ、続いている・・・、途中で抜けてこれ書いています)
いやぁ~、よくぞ、ここまで育ってくれた。マジ、感謝しかない。涙なのであーる。
そして、ここからが大人の世界。大変のはじまりなのだ。がんばれー。
ぼくがいつまで傍にいてあげられるのか、わからない。
そして、20歳になったのだから、ここからは自力で生きていかないとならない!
ぼくは、親から誕生日にプレゼントをもらった記憶がない。(たぶん、子供時代におもちゃとかもらったに違いないが、物心がついてからの記憶がないのだ)
なので、20歳になった息子にプレゼントをあげていいものか、悩んだが、ものを欲しがらない子なので、こういうタイミングであげないと、ずっと、同じものばかり着続ける。笑。
靴下も穴があいても平気で履いているし、いつも同じファッション、やれやれ、困ったものであーる。
しかし、男の子、だからしょうがない。
女の子だったら、逆に、どうしていたのだろう、どうしていいのかもっとわからず、途方に暮れた可能性が高い、と苦笑がおきた。
今日は、夕方、マノンちゃんが来て、事務所の若きホープ、岡っちが、なんとパートナーのサンドリンヌさんを連れてやって来た。(リッツのケーキがあるよ、と言ったら、お菓子につられて来た,印象・・・、いい子でした、笑)
ということで、シークレットバースディパーティのはじまり、はじまり。
地味に。あはは。

滞仏日記「息子の20歳の誕生日会で、ローマの本場カルボナーラを作ってやった父ちゃんなのだの巻」

滞仏日記「息子の20歳の誕生日会で、ローマの本場カルボナーラを作ってやった父ちゃんなのだの巻」



ということで、豪華な誕生日会ではない。パパのパスタが食べたい、というので、今日は、ローマで学んだ本格的な「カルボナーラ」を作ってやった。
昨年の暮れに、三四郎と行ったローマで、一日2食、カルボナーラを食べ続け、大いに学んだ父ちゃんである。
マルシェで買ったグアンチャーレ(豚頬肉の塩漬け)とペコリーノ・ロマーノの登場とあいなった。
三四郎を挟んで、息子君、マノンちゃん、岡っち、サンドリンヌが盛り上がっている隙に、父ちゃんはキッチンで、久しぶりに腕を振るったのだった。えいえいおー。
ここで、本場のカルボナーラと日本のカルボナーラの違いをちょっと解説したい。
日本の一般的なカルボナーラは、生クリームをつかうが、本場は使わない。
日本だとベーコンでやるけれど、本場は豚頬肉の塩漬け、グアンチャーレ(もしくはパンチェッタ)、なのだ。チーズはペコリーノ・ロマーノ、と決まっている。(パルメジャーノをいれると、塩味がちょうどよくなる)
まず、グアンチャーレなのだけど、周辺の皮の部分を包丁でそぎ落とし、中身だけにしないとならない。それを小さ目のサイコロ状にカットするのだ。すでに、日本のカルボナーラとはぜんぜん、違う感じになる。

滞仏日記「息子の20歳の誕生日会で、ローマの本場カルボナーラを作ってやった父ちゃんなのだの巻」

滞仏日記「息子の20歳の誕生日会で、ローマの本場カルボナーラを作ってやった父ちゃんなのだの巻」

滞仏日記「息子の20歳の誕生日会で、ローマの本場カルボナーラを作ってやった父ちゃんなのだの巻」



それを、フライパンで中火で炒めていく。すると、脂がじわっと出てくる。この揚げ焼きが続くと、自ら出た脂の中で、自らサクサクに揚がっていく、という次第・・・。(写真を参考にされたし)
表面がサクサク、中がしっとり、というところが落としどころであーる。
軽めのクルトン化したグアンチャーレをクッキングペーパーに移し、余分の脂をとる。
今日は5人分なので、二回に分けて、作ることになった。(大量に作るのが難しいのであーるぬーぼー)
まず、アルミのボウルに卵の黄身4個をおとし、そこに、摺ったペコリーノ・ロマーノを覆いかぶせる。
できればちょっとパルメジャーノをすこーし加えると、塩味がばっちりになる。
黒胡椒をふりかけ、かき混ぜておく。
で、先にできていたグアンチャーレの脂を大匙2~3、ここに加え、もう一度、よーく混ぜるのであーる。
麺はふつうに茹でていいが、あんまりアルデンテでない方がおいしくなる。
アルミのボウルに麺(アルデンテではない方がいい)を入れ、麺をゆでた大鍋で、ボウルの底麺を浸しながら、つまり、湯銭しながら、ソースがダマにならないよう、混ぜていく。
これ、オランデーズソースを作るのと同じ感じね。
グアンチャーレに塩分があるから、塩は使わない方がベターである。あとがしょっぱくなるので、よこに、フラー・ド・セルを添えておけばいい。
湯銭をしながら、パスタごと混ぜていき、その濃度によって、足りなければ、ゆで汁をさらに、大匙1とか2とか、加えていく。ここで、秒単位で調整、ここが難しいのだ。
生クリームを使わなくても、濃厚なカルボナーラソースができる!
オランデーズソースくらいの濃度になったら、そこに、サクサクのキューブ状のグアンチャーレを放り込んで、さくっと混ぜれば、完成!!!
追い黒胡椒、追いパルメジャーノ、忘れないでね。
ボナペティ&ハッピバースデイ!!!

滞仏日記「息子の20歳の誕生日会で、ローマの本場カルボナーラを作ってやった父ちゃんなのだの巻」



息子くん、KENZOのセーター、喜んでくれた。
「あああ、すごい!」
ふふふ、良かった。
頑張って買いに行った甲斐がありました。

つづく。

今日も読んでくれてありがとうございます。
ということで、静かな20歳の誕生日会なのでした。「どう? 20歳になった、感想は?」 聞いてみたのだけれど、くすっと、笑っただけの息子君でありました。将来が楽しみですね。女性3人を相手に息子君、めっちゃ、楽しそうにしているのでした。おっと、三四郎もいたっけね。あはは。
さて、いつものごとく、父ちゃんのスケジュールです。
●小説「十年後の恋」集英社文庫版が1月19日全国発売。
●小説「東京デシベル」がイタリア、Rizzoli社から刊行されました。
●2月28日から、新宿伊勢丹のアートギャラリーで個展(詳しくまたご報告します)
●3月3日、両国国技館、ギタージャンボリー出演。(検索ください)
●3月6日、ツジビル・ライブ(SOLD OUT)
●4月19日、ロンドン、ライブ。詳細はこちらから☟

https://www.eventbrite.co.uk/e/2gz-tsuji-and-hide-live-japanese-music-in-london-tickets-790578039197?aff=oddtdtcreator

●6月30日、パリ・ライブ決定(詳細、待って)
●7月3日、リヨンでのライブも決定!!!
以上です。

滞仏日記「息子の20歳の誕生日会で、ローマの本場カルボナーラを作ってやった父ちゃんなのだの巻」

自分流×帝京大学