JINSEI STORIES

滞日日記「東京最後の夜、引退ライブを支えたいと申し出た若者たちと飲んだ」 Posted on 2024/05/24 辻 仁成 作家 パリ

某月某日、引退ライブが決まったことで、ぼくはぼくの後始末について日々考えている。
ライブを制作する人たちとも距離を置いたので、何か、最後だというのに、パッと明るい感じがしない状態だった。(引退公演だものね、明るくしないと!!!)
ぼくは最後のコンサートを粛々とやるつもりだったので、とくに宣伝なども考えてはいなかった。しかーーし、である。
本当に最後を見送ってくださる方が来てくれればいい、と思っていたのだった。
しかーし、しかーしであるはんぶら宮殿!
すると、ラジオを一緒にやっているツジビルチームが(副村長が二人いるんですね、天野ジャックと下町ブルース山下の二名)、ぼくに内緒で、ライブ制作チームと接触し、最後のライブを盛り上げたいので、手伝わせてほしい、と訴えたというじゃあーりませんか。
マネージャーからそれを聞いた時は、さすがに、男泣きした、父ちゃんなのでした。
で、何をやったのか、というと、彼らはポスターを制作したのであーる・でこー。
B全の大きなポスターを持って、二人がやっ来た。(実際にはMという男性がいるので、3人。Mは某大企業の社員なので名も顔も出せない。ふふふ)
で、しょうがないので、笑、この若者たちをつれて、飛行機が離陸するまでの間、夜の街へと繰り出した父ちゃんなのだった。
「君たちには、感謝している。この場を借りて、お礼をいいたい」
ぼくは盃を、彼らヤングマンに突き出したのであーる・ぬーぼー。
盛大に乾杯とあいなったァ~。
「金に糸目はつけない、ここにあるものなら、何でも好きなものを食べなさい。呑みなさい。若さを最大限発揮して、腹いっぱい喰ってほしい」
というと、この連中、遠慮なんか知らないものだから、焼き鳥30本、おでん30個、牛タンやニンニクの揚げ焼きやメンチカツやカレーやラーメンやありとあらゆるものを、どんどん、平らげたのであった。あはは。
父ちゃんも時差がきつかったが、最後だから、焼酎を何倍か、ロックで飲み干してやったのだった。

滞日日記「東京最後の夜、引退ライブを支えたいと申し出た若者たちと飲んだ」

滞日日記「東京最後の夜、引退ライブを支えたいと申し出た若者たちと飲んだ」

滞日日記「東京最後の夜、引退ライブを支えたいと申し出た若者たちと飲んだ」

滞日日記「東京最後の夜、引退ライブを支えたいと申し出た若者たちと飲んだ」



とにかく、若いくせに、ECHOESのことにやたら詳しく、乗り遅れた世代、とぼくは彼らを呼んでいるのだった。
天野ジャックは放送作家で、むかし、まさに子供のころにECHOESを聞いて育った、というのだから、ませたガキ大将である。
で、ブルース山下はデザイナーなのだけれど、ぼくの小説も読んだこともないうえに、音楽も聴いたことがなく、なんでここにいるのか、という存在。ここ最近、ファンになってくれた出遅れた者の代表のような男なのであーる。
でも、ラジオを通して、今では一番、ぼくのことを知り尽くしてくれた一人と言っても過言ではない。
こんな若い連中に、愛されているのに、やめないとならない父ちゃんはかわいそうなおじさんなのだった。
しかし、それが、ぼくの生き様なのだから、もう、それでいい。
世代に関係なく、こうやって、バカ騒ぎが出来て、語り合えて、飲めて、一緒の目標に向かって突き進めるのはいいことかもしれない。
最終日、大阪まで、突っ走るのだ。
二人は、ラジオ・ツジビルにもしょっちゅう出演してくるので、今は、ある種の人気者。月に一度、ぼくなしで、「テスト放送」という名目で、ぼくについて語る番組を裏でやっているというのも、その日に、知ったのだった。
「えええ、そんなことやっているの? なんで?」
「いや、テスト放送だったんですよ、最初は。でも、コメントとかがいっぱい入ってですね、それで、なんか、やめられなくなっちゃって」
「毎週やってほしい、というりリクエストもあって」
ぼくは呑みかけの焼酎が鼻に入って火傷してしまったのだった。あちちちち、
「ぬあんにゃと~~~」
笑。

滞日日記「東京最後の夜、引退ライブを支えたいと申し出た若者たちと飲んだ」

滞日日記「東京最後の夜、引退ライブを支えたいと申し出た若者たちと飲んだ」

滞日日記「東京最後の夜、引退ライブを支えたいと申し出た若者たちと飲んだ」

滞日日記「東京最後の夜、引退ライブを支えたいと申し出た若者たちと飲んだ」



ともかく、東京最後の夜は、そうやって、終わろうとしていた。
店中のものを平らげたこの若者どもを前に、君たちが本当に若者かどうか、試したい、と父ちゃんは宣言したのであった。
「ハシゴに付き合う人?」
全員が手をあげた。
「でも、うどん屋さんに行くんだけれど、まだ、食べられるかい?」
「だ、だいじょーぶです」
全員がお腹をかかえて、そう、言ったのだった。
あはは。
ということで、深夜までやっているうどん屋さんに行き、もう一度、最初から、ええと、明太子の炙りと焼酎から出直した、ヤングマン・グループなのでありました。
青春を返してほしい。
そういう歌が歌いたい年頃かもしれませんね。

滞日日記「東京最後の夜、引退ライブを支えたいと申し出た若者たちと飲んだ」

※ ここから先は二件目の料理になります~。わ、若い・・・。

滞日日記「東京最後の夜、引退ライブを支えたいと申し出た若者たちと飲んだ」

滞日日記「東京最後の夜、引退ライブを支えたいと申し出た若者たちと飲んだ」



つづく。

今日も読んでくれてありがとうございます。
うどんを食べながら、携帯を開くと、メールボックスに、パリやロンドンやコルシカやボルドーやニューヨークやシンガポールからメッセージが飛び込んでいました。全部、仕事の連絡ではありますが、地球がちっちゃく感じる、六本木ナイトなのです。ということで、ワープの準備完了! さらば! 青春の光と影よ。またな!

ということで、この連中と、爆笑ラジオを、月に3回やっています。
皆さんのお悩み相談にこたえたり、一緒に考えたり、時事ネタもありーの、歌はないけれど、笑、お笑いもあって、楽しいひと時になることうけあいです。ラジオ好きな皆さん、どうぞ、ご参加くださいませ。
詳しくは下の、ツジビルサイトを、クリックね!
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TSUJI VILLE

滞日日記「東京最後の夜、引退ライブを支えたいと申し出た若者たちと飲んだ」

迫ってまいりました、5月26日は、いよいよエッセイ教室です。
文章というのは、簡単そうで、実に難しい。じゃあ、どうやったら、楽しいブログや日記やエッセイがかけるようになるのか・・・。そこです。
そんなエッセイを書きたい皆さんへの、熱血父ちゃん先生の勉強会になります。
講義を受けたい皆さん、下の地球カレッジのバナーをクリックください!(今までと少し登録方法が変わっております)
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“地球カレッジ”

滞日日記「東京最後の夜、引退ライブを支えたいと申し出た若者たちと飲んだ」

辻仁成、ジャパン・引退・ファイナル・ツアーは。
7月30,31,8月5日、有楽町、ヒューリックホール。
8月7日、人生最大の千秋楽、大阪フェスティバルホール
になります。
そして、フランスツアーが6月に行われます。
パリは、ベルビルにある老舗の劇場「Le Zebre」にて行われます。チケットが発売になりました。在仏、在欧の皆さん、お時間があれば、ぜひに。
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●6月30日、パリ、Le Zebre チケットはこちらから、どうぞ!
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https://billetterie.seetickets.fr/tsuji-in-paris-concert-le-zebre-30-juin-2024-css5-envolproduction-pg101-ri10301135.html

そして、7月3日、リヨン、La Marquise
なぜか、パリの会場よりも、売れています。売り切れる前に、お早目に!笑。
チケットはこちらから、どうぞ!
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https://billetterie.seetickets.fr/tsuji-in-lyon-concert-la-marquise-peniche-03-juillet-2024-css5-envolproduction-pg101-ri10301835.html

●7月20日から7月28日まで青山・新生堂画廊にて、個展!
●9月後半、コルシカ、アジャクシオ、ライブ。(ライブは、だいたい、9月25,26日のどちらかになります。作家としての登壇も予定しています)

自分流×帝京大学

滞日日記「東京最後の夜、引退ライブを支えたいと申し出た若者たちと飲んだ」