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家事日記「家事、子育ての労働対価って、いったい幾らくらいになるの?」 Posted on 2021/12/04 辻 仁成 作家 パリ

某月某日、主婦の仕事にも報酬を出すべきじゃないか、とたまに考える。
専属で家事や子育てをやっている人には夫の給料の一部を貰える権利があるみたいにしたらどうだろうって、そしたら「主婦」とか「主人」とかいう目線の強い枠組みはちょっとは変わるんじゃないか。
ぼくはその両方をやっているので、稼いだお金はそのすべての労働のためへの対価だと思って頂いている。
一万円の原稿料が振り込まれれば、6千円くらいが書くことへの報酬で、残り4割は書くぼくをサポートした環境整備報酬、つまり家事、子育て代である。
そう思うと主夫業に張り合いが出るじゃんね。

主婦の仕事量って半端ないのに、これがなぜか夫の経済活動などと比較されることがないのが不思議である。
存在しない労働量として昔から続いてるのだけど、それでいいのだろうか? 
働く時間や内容をもとに計算をしたら、夫よりも多い収入になるという面白い報告もあったけど、まあ、それくらい主婦の仕事って広範囲かつ重労働ということなのだよね。

家事日記「家事、子育ての労働対価って、いったい幾らくらいになるの?」



夫婦共働きの家庭だと男女の仕事のバランスの違いによってもまた違ってくる。
主婦の皆さんが家で働いていることにも当然の報酬が存在するといいだろうな。
家事育児は仕事じゃないだろ、と言われそうだけど、そのご利益でご主人は働くことが出来ている、子供たちは成長することができている。
もちろん、主婦代を夫の会社に請求は出来ないけれど、わずかであろうと、どこかの団体とか国などから支給されるとモチベーションがあがるし、意識が変わる気もする。
そのお金の名目は消費税の逆で家事子育て応援費みたいな。
ちょっとざっくりとした話だけど、フランスは子供が三人以上いる家庭への税の大きな優遇がある。
渡仏したばかりの頃、子供を3人にすると税が楽になるよ、と弁護士さん言われたことがあった。
すくなくとも、その法律の助力もあり少子化は食い止められ、フランスは計画的に労働力を確保できている。

ぼくは時々、洗濯を畳んだり、干したりしながら、これがお金になればいいのに、とマジ妄想することがある。
買い物に行ったり料理をしたりすることも、ある種の立派な仕事だよな、と思うのはほぼ毎日。自分は結構、主婦目線でこの社会を見ることが多い。
スーパーの「5時からセール」とか毎日のように狙ってるし、各スーパーのポイント特典カードも5,6枚は持っているし、ちゃっかり活用している。
日本でも、フランスでも。

家事日記「家事、子育ての労働対価って、いったい幾らくらいになるの?」

※ こちらのご主人、エプロンつけて、すごい家事をやられています。奥さんは日本人なんですが、フランスだと、共働きの時は、家事も半々、しかし、このパパさん、料理も上手だし、素敵やね、笑。父ちゃんもがんばろっと。



僕は何も、「スーパーシングルファザー」を目指しているわけじゃないけど、昔、フランスに「スーパーナニー」というめっちゃ凄腕ベビーシッターを紹介する番組があった。
あれ、まだ続いているなら出てみたいなぁ。
今なら準優勝するくらいの実力はあるはずだけど・・・・
ともかく、家事というのは立派な仕事なのである。男女平等ということが声高に叫ばれている今、ぼくは主婦(主夫)の仕事にこそ、光りを当ててもらいたい、と思うのだ。

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