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ヴェネツィア生まれの食前酒、スプリッツが夏の終わりに最高! Posted on 2025/08/23 マント フミ子 修復家 パリ
応酬は暑い夏でしたが、ちょっとだけ涼しくなってまいりました。
真夏の気分は過ぎましたが、後半のバカンス時期に突入しており、観光地、パリも含め、和やかな感じです。
パリは気温22度、酷暑がひと段落し、晩夏が感じられる陽気となりましたが、引き続き、夕刻になりますと、舐めたくなるのが、オレンジ色鮮やかなカクテル「Spritz(スプリッツ)」です。
近年パリでも超人気のイタリア産のカクテルです。
イタリア・ヴェネツィアが「Spritz(スプリッツ)」の発祥の地と言われており(元を辿るとオーストリアから伝わったらしい)、十数年前までこのオレンジのカクテルはヴェネツィア特有のものでした。
私とスプリッツの出会いは、15年ほど前。旅行先のヴェネツィアで、テラス席に座る人のほとんどがオレンジの飲み物を頼んでいる光景に遭遇。あれは何かしら、と思ったことにはじまります。
ビールやワインではなく、見事にオレンジカラーだったのです。あのオレンジの飲み物は何だろう? 飲んでみたい・・・と、ギャルソンに尋ねてみると「スプリッツだよ」と教えてくれました。
「夏はみんな、スプリッツを飲むんだ。ジュースとお酒の間のような、飲みやすいカクテルだよ。この季節にうってつけの飲み物だよ、試してみたら?」
ヴェネツィアで飲んだ、はじめてのスプリッツは格別でした。それから時が経ち、今ではイタリアでも、フランスでも、ドイツでも、スプリッツがないカフェやバーはないと言えるほど、ヨーロッパの定番カクテルとなっています。
オレンジとハーブを原料とし、甘いけれど少しほろ苦さがあるスプリッツ。女性にも飲みやすく、夏場は太陽の光りとオレンジ色のコントラストが目をひき、ついつい飲みたくなってしまう・・・、そんな魅惑のカクテルなのです。口当たりよく、ジュースみたいですが、アルコール度は11%、ワインとビールの間くらいはあるので、飲み過ぎには注意しましょう。
スプリッツの代表的なリキュールは「Aperol(アペロール)」です。スプリッツは、アペロールにプロセッコと強めの炭酸水を混ぜ、たくさんの氷とオレンジのスライスが入っているのが一般的。緑のオリーブがついてくることも多いです。配分はというと、アペロールとプロセッコを1:1、そこに炭酸水を全体の1/4くらい加えます。甘すぎると感じる場合はアペロールよりプロセッコを気持ちだけ多くしても良し。アペロールという名前からも、アペリティフ(食前酒)として飲むのが絶対お勧めです。
*お酒は20歳になってから。量をわきまえておたしなみ下さい。
Posted by マント フミ子
マント フミ子
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修復家。岡山県出身。在仏30年。フランスに暮らしはじめ、アンティークの素晴らしさに気づく。元オークション会社勤務。現在はパリとパリ郊外の自宅にて家具やアンティーク品の修復をしている。