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21世紀のアラブ皇室は、革新的でファッショナブルがキーワード Posted on 2017/05/29 川端 芽衣 プランナー・Vogue Japan Blogger ドバイ

幼い頃みたディズニー映画「アラジン」に出てくる、ジャスミン姫。
一度は王宮を脱出したが失敗し、その後アラジンとの出会いをきっかけに外の世界へ飛び出していく……。
 

21世紀のアラブ皇室は、革新的でファッショナブルがキーワード

時代は変わり21世紀。

アラブ地域の王子や姫は、自らの足で新しい世界へ飛び込み、Social Mediaを駆使してファッション、経済、スポーツ、流行などを発信し、新しい時代の先駆者として活躍している。

今最もホットな2人の王子と姫をご紹介したい。
 

アラブ界のホープ、ハンサム代表「ハムダン王子」
 

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出典:instagram faz3

アラブ首長国連邦の首都アブダビに続く「世界のハブ」として知られる街、ドバイ。
ドバイ出身のアラブ人を「Emirati(エミラティ)」と呼ぶが、彼らは「ガンドゥーラ」というくるぶしまであるワンピースのような、白いシルクの宗教服を身にまとい、頭にはパシュミナ素材の布を巻いている。
 

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出典:instagram faz3

ハムダン王子は、皇子という立場でありながら、宗教服であるガンドゥーラに、NYのストリートファッションの象徴とも言える「キャップ」を組み合わせ、アラブ宗教服の歴史に革命を起こした。
彼は個人のインスタグラムで、このスタイルを発信したところ、アラブ中の若者が「ガンドゥーラ」+「キャップ」を取り入れ、大流行している。
海外移住者が8割を超え、多文化・他宗教が入り混じるドバイだからこそ、このファッションが多くの人から受け入れられ、成立したのだろう。

また彼はファッションだけではない。
公務や経済活動、自然保護にも熱心で、石油ショックで傾くアラブ地域のホープとして中年層からも高い支持を得ている。

今後のアラブ地域を担う、美形革命家ハムダン王子から目が離せない。
 

厳格なイスラム国サウジアラビアの姫がVogueの編集長になった日

絶好のリゾートシーズンである4月のドバイは、ビーチには日焼けを楽しむ西洋人で溢れ、ホテルではイスラムでは禁止されている豚肉やアルコールも愉しめる。

ドバイのビーチは、ビキニとアバヤ(女性の宗教服)が行き交い、お互いの独自の文化を尊重しあう光景が見受けられる。
 

21世紀のアラブ皇室は、革新的でファッショナブルがキーワード

一方、隣国サウジアラビアはドバイと対照的でイスラムが厳格な国のひとつ。
特に女性は、就労禁止、飲酒禁止、車の運転禁止、露出禁止、選挙権なし。
イスラム宗教でない私はサウジの入国ビザを取ることさえなかなか難しく、取れたとしても、男女ともに宗教服を着なければならない。

そんな女性の活動制限が厳しい国から、世界的に知名度の高いファッション雑誌「Vogue」の編集長が生まれた。

彼女の名前は、Deena Aljuhani Abdulaziz。通称「プリンセス・ディーナ」。
アラブ地域のファッションをはじめアラビックカルチャーや、若手アーティストを支援する活動をし、今回史上初となるアラビア語版の「Vogue Arabia」の編集長として抜擢された。

彼女は、イスラム教徒かつサウジアラビアの王女という立場で、女性の宗教服「アバヤ」を着用せずに、しかも編集長として仕事を持つ。
カタールの首都ドーハで行われたローンチパーティには、NYやハリウッドでよく見かける「Zac Posen」の真っ赤なドレスを纏い登場した。
 

21世紀のアラブ皇室は、革新的でファッショナブルがキーワード

彼女の、アラブへの希望、ファッションへの情熱、その姿は、鳥肌が立つほど輝きを放ち、強く美しい。

21世紀、アラジン物語でジャスミン姫ができなかったことが叶う時代。
宗教や伝統を守りながら、新時代を切り開いて行くアラブの若者たち。
経済とファッションの流行は繋がると言うが、今後のアラブ地域から目が離せない。
 

21世紀のアラブ皇室は、革新的でファッショナブルがキーワード

Posted by 川端 芽衣

川端 芽衣

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Mei Kawabata
プランナー・Vogue Japan Blogger
編集者を経て、現在コスメブランドのプランナー。作り手の見えるものが好き。University of the Arts London在学中。