ノルマンディ、ツジ村便り

辻村だより、2 Posted on 2025/12/09 辻 仁成 作家 パリ

架空の村、ノルマンディの辻村より、こんにちは。
おつかれさまです、辻村の村長です。
昨日、配信になりました、パリ、オランピア劇場 “TSUJI in Paris (Live at L’Olympia Paris 2023)” ですが、 iTunes Store (日本) の “ロック トップアルバム” の16位に上昇 (過去最高更新)だそうです。”総合 トップアルバム” の79位に新規ランクイン、嬉しいですね。
ちなみに、パリレコーディングのジャパニーズソウルマンは100万再生を記録しました。億ではなく、万です。あはは。
地道に頑張っているんですよね。

さて、貪欲は脇においといて、
人間社会というのは時には素敵な楽しい世界なのですが、時に、生きにくい場所でもありますね。
でも、自分の人生ですからね、「誰の人生だよ」と自分に言い聞かせて、気楽にやっていくのが一番かな、と思います。
ということで、いろいろと村長に「聞きたいこと」「お悩み」「感想」などが寄せられておりますので、今日もちょっとおしゃべりさせて頂きます。
日々の憩いの場となれば幸いでございます。

辻村だより、2

最初のお便りは、匿名希望Aさん。
(いちおう、みなさん、匿名ということにさせていただきます)

「先日の講演会、拝聴いたしました。村長は、現在、やりたい事の全てを表現すべく全力で向かっていると感じました。しかし、時には、子育てを優先して、自分を抑えて、妥協点を見つけていた時期もあったかと思います。そんな時、自分を如何にしてコントロールされていたのでしょうか?」

おこたえしまーす。

「家族がいた時期は、お金を稼ぐ意味も今とは全然違ってましたし、家族を養うことを何より優先していましたし、今とは生き方も質が少し違うかな、と思います。子供も育ち、仕事をしながら大学に通うようになったので、現在は、ある程度手を離れた自由感は出ています。でも、子育てをしている時に自分に言い聞かせていたのは、子供第一、ということでした。ちゃんとは出来なかったと思いますが、大好きな仕事を二番目にしたこともあるので、中には、お断りした仕事もありましたし、そのせいで、10年、20年は、100%創作中心の生活は出来ませんでした。今は、逆に、ノルマンディの田舎で創作中心に生きることが出来るようになりましたが、何か、やっぱり面倒をみる体質があるんでしょうね、犬を育てています。めんどうじゃないですか、という意見もありますが、みなさん、誰かのために自分が何かをしている時にこそ、人間は意味を見つけることが出来たりもするんです。それが子供であれ、他人であれ、動物であれ。自分だけのことしかいないで生きて人生最高って人はあまり多くない気がします。朝、寒い朝に、犬を外に連れ出し、愛犬がおしっこをしている姿を見つめながら、そこに生きる意味を感じたりも出来るし、そういうものが、創作に跳ね返らないわけもないのです。一生は勉強であり、一生は共生からもらえるギフトの中にあるようなものだと村長は思うのであります」

辻村だより、2



匿名希望Bさん

村長に質問です、版画と絵画どう違いますか? 筆に魂が乗っかる感じで彫刻刀に乗っかる感じは違いますか? また版画の面白しさを教えてください

おこたえしまーす。

「絵はユニークピース(世界でただ一つのもの)で量産が出来ません。版画は版下を印刷する感じなので、同じものが何枚か出来てしまいます。まず、そこが大きくまず違うかな、と思います。世界で一つしかないもの、そうではないもの。ぼくは版画に水彩の色を付けたり、そこに何かを足して、それはそれで一つのものを作ろうと心がけています。版画の楽しみは、刷るまで、どういうものが出てくるか分からない点でして、刷ったあと、紙をめくると、そこから作品が出現する、あの瞬間、大好きです。印刷用の機械もけっこういいのを買ったので、アトリエの屋根裏部屋を版画の部屋に改装中です」

辻村だより、2

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匿名希望Cさん

「村長はコミニケーション能力も高いと思います自分の作品をちゃんと発信できる力といいますか?たくさんの人を巻き込み力といいますか?自分で作って終わるだけでなく、みんなに発信する力が強いなあと思います。そういう力はどのように育んできましたか?」

おこたえしまーす。

「きっと、生まれつき、何だと思います。小学生のころにマンガサークルやプラモデルサークルを作って、機関誌を発行したり、コミュニティを作って、プラモデルの販売会なんかもやっていたので、もともと、そういうことをやるのが好きなんでしょうね。自分一人ではできることが限られると気が付いた辻少年は、みんなを炊きつけて、やろうぜやろうぜ、と率先して、力を集結させておりました。マンガの同人誌は2,3冊、詩集は4,5冊、プラモデル交換会は2度ほど開催しましたし、小学生のころに親戚の子らをあつめて劇団を作ったり、8ミリ映画を撮影したりしておりました。好奇心も人一倍強く、こういうものは、誰からか習ったものでもないですし、兄や姉はいなかったので、今思うと、どこからそういう集団結集力を得たのか、不思議です。高杉晋作の辞世の句「おもしろきことなきこのよをおもしろく」に子供ながらにひかれたのも、つまらない毎日に何か変化をつけるには、自ら動かないと何もできない、と気づいたからに違いありません。子供時代の口癖は、つまらないな~、なんかいいことないかな~、でした。笑。でも、じっとしていても何もいいことがなかったので、動き出し、みんなを炊きつけて回った、ということか、と思います。そうやると、楽しくなるじゃないですか、・・・。でも、今は、孤独が好きです。人に疲れました。今頃、気づくって、どうなんでしょうね。孤独は自由なんです。集団は不自由なんです。その差に、気が付いたということか、と思います。ただ、いまだに、動き続けているので、これは、生まれ持ったものなんじゃないかな、と思いますね。一人でやるのが最高なこと、大勢でわいわいやるのが最高なこと、ここを見分けることが出来るようになってきました」

辻村だより、2



はい、辻村では、みなさんからのご意見、質問、お悩み相談などを募集しております。デザインストーリーズのインスタ、とか、エックスに、お送りください。いちおおう、すべて匿名希望で、発表させてもらいますね。
じゃあ、今日も、えいえいおー。

辻村だより、2

そして、2026年の1月、パリの日動画廊で開催されるグループ展に参加しますよ。
1月15日から3月7日まで。
場所は、パリ8区ですね。エリゼ宮殿の傍です。
それから、8月前半に一週間程度、東京で個展を開催いたいます。
今回のタイトルは「鏡花水月」です。(予定)
タイトルは突然かわることがございますので、ご注意ください。
そして、11月初旬から3週間程度、リヨン市で個展を開催いたします。詳細はどちらも、決まり次第、お知らせいたしますね。
お愉しみに!

辻仁成 Art Gallery
自分流×帝京大学