おつかれさまです。
皆様からのお便りを元にお送りする、「辻村だより」、今日もさっそくいってみましょうかね。
匿名希望Hさんからのお便りです。
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「辻さんはいつもどういう場所で、さまざまな創作をされているのか、ミーハーですいませんが、ちょっと知りたくて聞いています。最近は、ずっと田舎の方にひっこんでしまわれたようで、なかなか、都会には出ていない印象なんですが、寂しくはないんでしょうか？　たとえば連載小説が終わりましたが、あの作品は新宿が舞台かな、と勝手に想像して読んでいますが、、、でも、ノルマンディの地平線しか見えない場所で、どうやってあんな若者の町について書けたのでしょう？　取材とかされたんですか？　支離滅裂になりましたが、その辺を教えてください」

はい、おこたえしまーす。
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「そうなんです。新宿なんですが、ぼくは２０歳のころ、新宿サンパークという歌舞伎町の入り口にあったジーパン屋でアルバイトしていたんです。地下道もよく利用していましたし、浮浪者の友だちもいたんですよ。ただ、それからもう何十年も歌舞伎町には行ってません。そうだ、喧嘩に巻き込まれたことも数回ありました。ACBというライブハウスによく出没していたので、あはは。でも、無事でした。柔道部に在籍していたからですかね・・・。ま、だから、その頃の空気感は記憶にあったので、今のことはわかりませんが、その辺で屯している若いアーティストの知り合いとかも仲良しなので、間接的に、その子たちを通して、主人公たちと重ねて描（えが）いたいうのはあるかもしれません。画廊経営するホストの知り合いもいましたし・・・。創作風景ですよね、じゃあ、ちょっと、今、この瞬間のぼくの創作のヘッドクオーターを見てください」

「ここは小説を書いている場所で、時々、版画も制作しています。正面には家が一軒もありませんね。足元にあるのが、版画の道具類です」

「屋根裏部屋なので、天井に頭がぶつかります。だから、いつも、腰を曲げて移動しています。でも、落ち着くんですよ。写真には写っていませんが、小さなソファもあります。そこで、フランス語の勉強とか・・・。嘘です」

「ここで寝ます。この屋根の下がガレージみたいになっていて、そこはちょっと天井高いです。そこで個展用の作品を手掛けています。この屋根裏部屋は、まあ、作戦本部みたいな場所ですね。男の秘密のアジトという感じですか。窓あけると、蜂とか、鳥とか、入ってきます」

「これが版画の機械です。版画もじわじわと制作中です」

「ということで、ここは考える場所です。下の古い倉庫＆ガレージが絵を描く場所です。へき地なので、周囲には、牛、馬、イノシシ、イタチ、アナグマ、はりねずみ、鶴、サギ、カモメ、鷹、なんかが棲息しています。家の敷地に鴨とかがいたります。愛犬にとっては吠え甲斐のある世界かもしれません。動物の鳴き声とかで、けっこう、賑やかですよ。寂しくはありません。人間もたまにいます。大きなスーパーまで車を飛ばして２５分という感じですかね・・・いかがでしたか？　こんな場所で、「泡」という連載小説を書いていたのかって、自分も我に返ると驚きますね。でも、作家ですからね、行ったことのないところも書いちゃいますよ。作家が、取材に行くっていうけれど、その意味がわかりません。だから、あの小説には都市名も季節も何も出てこないですよね？　すべてぼくの頭の中にある（あった）世界なんです」

はい、辻村だより、では、みなさんからの質問、相談などをお待ちしております。デザインストーリーズのインスタかエックスに返信でください。スタッフさんが見つけて届けてくれますよ。
じゃあね、また、次回に。
今日も精一杯生きたりましょう。
えいえいおー。

辻仁成展覧会情報
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２０２６年の１月、パリの日動画廊で開催されるグループ展に参加します。
１月１５日から３月７日まで。結局、１１作品の展示となりました。フランス人巨匠も参加するグループ展だそうです。
GALERIE NICHIDO　paris
61, Faubourg Saint-Honoré
75008 Paris
Open hours: Tuesday to Saturday
from 10:30 to 13:00 – 14:00 to 19:00
Tél. : 01 42 66 62 86
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それから、８月前半に一週間程度、東京で個展を開催いたいます。
今回のタイトルは「鏡花水月」です。（予定）
タイトルは突然かわることがございますので、ご注意ください。
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そして、１１月初旬から３週間程度、リヨン市で個展を開催予定しています。詳細はどちらも、決まり次第、お知らせいたしますね。
お愉しみに！