ノルマンディ、ツジ村便り
辻村だより、19 Posted on 2026/01/13 辻 仁成 作家 パリ
おつかれさまです。
間もなく、パリでグループ展がはじまるので、そのためにパリ入りしています。
作品を画廊に運び込まないとならないので、そのパッキングとかスタッフさんらと、やっています。
☆
さて、今日の辻村だよりは、パリからお届けする形になります。
今月はグループ展次第ですが、若干、パリに長くいることになりそうです。
はい、じゃあ、今日も皆さんからのご相談にいろいろと答えてみたいと思います。で、今日は、ぼくの年少の友人から、個人的に聞きたいことがあるというラインメッセージがありまして、その方の質問に、出来るだけ寄り添ってみたいと思います。
☆
匿名希望Sさん
「辻さん、いつも読んでいるだけだったんですが、どうしても僕も辻さんに聞きたいことがありまして、ラインさせてもらっています。こういう形で質問してもいいものか、わからなかったのですが、聞いてみます。これから先、円安が続くかもしれないのですが、世界各地で戦争もあるし、不安定で先が見えませんが、これから日本、もしくは、日本人はどうしたらいいんでしょうか? どうやってこの不安定な未来と向き合えばいいんでしょうね」

おこたえしまーす。
☆
「なかなか、難しい質問ですな。複雑な世界になりつつあるのは事実です。円安は一ドル200円を超えるかもしれないですね。もっと落ちるかもしれないかな、と覚悟の時期に、個人的には入っています。ユーロも、あっさり1ユーロ、200円を超えそうですから、どこまで円が落ちるのか、なぜ落ちるのか、日本人も政府も真剣に考えないといけないと思います。落ちる要素は何か、なぜ、円を落とすのか、きっと、今の日本に未来が描けないので、円の価値をさげていくんだと思います。東京に行くと、ビルは立派だし、トヨタ販売台数6年連続世界一なのに、なぜ、円がこんなに下落するのか、と不思議になります。この違和感こそ、円安の正体なんじゃないか。日本の未来を誰が描いて導いているのか、が大事で、なかなか、円高の要素を探すのが難しいですね。今、円をあげるのには、日本以外での、どこかの先進国や経済大国のマイナス要因が無ければ難しいと思います。たとえば、世界大戦が日本からかなり遠い地域で発生し、それが主要国の経済を揺さぶった時とか・・・。周りに問題があって、円が買われる展開以外に、円高にふれる可能性は少ないのじゃないかと感じさえします。
たとえば、イランですけれど、今、国民が凄いデモをしていますね、500人近い市民が犠牲になっているという情報もあります。なんで、あれだけ統制のとれた国で100都市くらいで暴動級のデモが起こっているのかというと、物価が高騰して、生きることが出来ないからです。生存問題なので、我慢がもう限界、難しいからなんです。卵が1パック、日本人感覚で言うと3500円くらいの感じなんだそうです。アメリカがどういう行動に出るかも、気になるし、目が離せない状況ですけれど、日本ももしかすると、円安が続くと庶民生活が相当圧迫されることになりかねません。じゃあ、その対策が出来ているのか、ううん、ちょっと考えにくいな、と思っています。日銀はもしかしたらもう手段がないのじゃないか、と疑いたくなるくらい、消極的ですし、大臣が何か言っても円の実力は下り続ける可能性があります。何年も前から、この日記で、G7はもう終わると言い続けてきましたが、とっくに終わってますね。日本は先進国とはもはや言えません。海外から眺めているぼくが思うかつての強かった日本はもう幻影です。まず、この事実を日本人は理解すること。でも、ちょっと待ってください。卑下することでもないと思いますよ。そりゃあ、金持ちではなくなり、資源もないので、勝ち目を見つけるのはなかなか難しいですが、少なくとも日本の一番の資源は日本人だと思っています。本当です。最後は、その日本人力のようなものが出る、出す、しかないですかね、じゃあ、どうやって・・・。
あと、先進国じゃなくなっても、ぼくは個人的に、日本が誇りを捨てなければそれでいいと思っています。貧しくなっても、日本は島国ですし、独特の世界観を持っているので、国の中で回せる限りは、回しましょう。少子化の時代だからこれも簡単ではないですが、陸続きではない強みはあります。
そのうち、世界は第三次世界大戦に突入するような気配ですからね、力がものをいう時代になってしまい、民主主義は間もなく(すでに)幻想になりそうです。身構えましょう。私たちの予測を超えて世界が傾斜している感じがしますね。かつて西側、東側という対立構造がありましたが、今は、そうじゃなく力がある世界か、ない国々・・・。力が弱い世界を強い世界が容赦なく潰していく極端な世界になっています。先制攻撃が横行し、力で世界を支配する構図へと高速度で移り変わっている印象です。中東(イラン周辺)、北欧(バルト三国周辺)、南米(全域ですかね、キューバも含め)アジア(・・・)で、まもなく、大戦の火種が同時多発的に起こって、大国の思惑が雪崩を起こす可能性もあります。その時、もはや建前的な正義というものをかつてのように維持することは不可能になって、全世界が極端な暴走を開始するかもしれません。フランスも、英国も、ドイツも、政治はかなり不安定ですから、EUもどうなるか不透明ですね。でも、そうなったらなったで、また基準が生まれます。それがもしかすると新しい基準になって、第二次世界大戦以降の世界とは異なるものが生まれる、生まれつつある、ということかもしれません。日本というか日本人は、日本はもはや先進国ではない、ということを認識し、でも、日本人だからこそ誇れる文化を維持し、島国だからこそ可能な生存環境をみんなで考え築いていくしかないかな、とぼくは思っています。海外に出ているぼくのような日本人は、さらに円が弱くなりまともに打撃を受けるわけですから、より一層幅広く周到に行動しないとなりません。そして世界に出る企業は、新しい世界の枠組みを見据えて、日本の技術力や文化力を結合させて、というのも、幸いなことに、日本は人気ものだからこそ、その文化的発信を基盤に出来るわけで、ここを足掛かりに、第三次世界大戦前夜の世界おいて独特な存在感を強めていく必要があるでしょう。もう少し具体的に言うと、先を読む力が不可欠になる。世界が流動化する激動の時代が間違いなく目前なので、AIも含めて、先回り出来る透視力を高める。国民は荒波が来ても、島国であるからこそ築くことが出来た日本人の根本にたち戻ることで、静かに、この荒波を乗り越えていかないとなりません。ま、なかなか、難しいことだと思いますが、海洋国であること、その資源をいかすこと、都市鉱山からの稀有資源回収、農業への回帰(個人的には技術を生かし農業都市を作るのはありかな、と思っています)などなど、日本だからこそできることをやる。政府には、すいません、生意気なことを言いますが、円の下落をまず短期的に防ぎつつ、先を見据えた長期的な展望と日本の強みをわかりやすく世界に発信すること、とか・・・。世界を見据えた周到な政治が経済を回す重要なカギになりますよね。周到な・・・」

辻仁成展覧会情報
☆
いよいよ15日から、フランス、日動画廊パリでのフランス人画家とのグループ展です。
GALERIE NICHIDO paris
61, Faubourg Saint-Honoré
75008 Paris
Open hours: Tuesday to Saturday
from 10:30 to 13:00 – 14:00 to 19:00
Tél. : 01 42 66 62 86
☆
それから、8月前半に一週間程度、東京で個展を開催いたいます。
今回のタイトルは「鏡花水月」です。(予定)
タイトルは突然かわることがございますので、ご注意ください。
☆
そして、11月初旬から3週間程度、リヨン市で個展を開催予定しています。詳細はどちらも、決まり次第、お知らせいたしますね。
お愉しみに!
☆
そして、電子書籍で「海峡の光」が配信されております。文学の方もどうぞ。
☟
海峡の光 (Kindle電子書籍版)
https://amzn.asia/d/i8zPs4u



