ノルマンディ、ツジ村便り

辻村相談窓口、「スピリチュアル2」 Posted on 2026/02/16 辻 仁成 作家 パリ

おつかれさまです。
昨日の「霊感」について、もう少し語りたいことがあるので、今日は、その続きを書かせてください。
昨日、話しました「細胞の記憶」はね、最近(正確には昔から)、ずっと考えていることで、人間の直感や予感になにがしかの影響を与えていると思うんです。
人間の細胞は7年から8年の周期で入れ替わると言われています。胃とかの細胞は過酷な仕事量なので、3,4日で入れ替わります。骨は逆にスパンが長く、10年くらいの周期だそうです。ほぼ、人間の細胞はこのように入れ替わるんですが、脳のニューロンとか、心臓の心筋細胞はほぼそのままなんですって。あと、女性の卵子、目の水晶体は、一生変わらないようです。でも、限られた一部で、あとは、ざっくりいうと入れ替わるので、7,8年で、細胞はぜんぶ新しくなると言われるわけです。

で、赤ちゃんの頃に持っていた細胞って、お母さんの胎内で出来たものだから、当然お母さんの細胞から生まれた、もっというと、細胞のレベルの記憶を受け継いでいる、ということを考えてみると面白くて、人間は母親を通して細胞の記憶をパスし続けているんでしょうね。(実際は違うんでしょうが)
その生まれ変わる細胞も、前の細胞の記憶を引き継いでいるわけですから・・・。でも、脳のニューロン(神経細胞)だけは大半が入れ替わらず死ぬまで使い続けるわけで、ここには、他の細胞よりも、母親の細胞の記憶を多く受け継ぎ引き継ぎ時を超えて繋いでいる、ということを思うと、その継続の列はアダムとイブまでさかのぼることが出来るんじゃないか、と思いませんか? いや、思う方が面白いですよね? 心臓の細胞も同じなら、なお、細胞の記憶の継承は続いているでしょうし、もっとすごいのは、目の水晶体や卵子は入れ替わらない、というのだから、脳、心臓、目が変わらないのならば、自分が生まれる前の何らかの記憶を人間は細胞のレベルで引き継いでいると考えても不思議じゃないということで、それが正しいかどうかは、どうでもよくて、そう思うと、人類の歴史を実は人間一人の中に、系譜のように、壮大に、だれもが持っているんじゃないか。だから、ある瞬間に、記憶が蘇ったり、知りもしないことを知っているような気になったり、はじめて訪れた場所で懐かしい、ということになるんじゃないか、と思ったわけです。
ぼくは「霊感」という単純な言葉はあまり好きじゃないんですが、細胞のレベルで人間は勘づく、思い出す、思い付く、薄々感じる、などというのは、そういう裏付けがあるような気がしてなりません。

辻村相談窓口、「スピリチュアル2」



霊現象というものも、非科学的と言われますけれど、人間が持っていたそういう細胞の記憶から喚起されているような気もします。ぼくは幽霊が怖いと思ったことがないのですが、幽霊のようなもの否定することはないです。霊界というの(意味は異なりますが)もあるような気がします。でも、ホラー映画のようなものじゃなく、分かりやすい天国と地獄とかじゃなく、あると思うのは、子供の頃に気が付いたことなんですが、見えている世界、この現世の、と重なる形で、霊魂のエネルギーが同じところにもある、ということで、その接点が幽霊なんじゃないか、と思ったことがあったんです。子供ながらに、幽霊って、なんだろうって、考えたことないですか? ぼくはそれを突き詰めたくて日夜観察し考えたんですけれど、京都に行った時のこと、湯布院もそうでしたけれど、見えている世界と重なる形で、大昔の人たちの一部のエネルギーが残っているな、と、子供ですからね、決めつけたわけです。死んだ人たちが、生きている人たちと重なって見えた気がしまして、それから風の声(自然)に耳を傾けるようになって、それがぼくの創作のヒントになっていくんですけれど、大人になったぼくも、いまだに、生きてはいない細胞の記憶の羽根のようなものが、現世とも交差している、と思うようになるわけです。だって生きている者だけが世界を構成しているわけじゃない、と考えるのは自然ですよね。もうそうなると思念とかの話になるんですけれど、エネルギーに置き換えると、納得できる話だと思います。普通の人間は概念に支配されているので、時間とか、普通とか、そういうものの中で育つから、霊界、っていうものが見えないからこそ、幽霊のようなものを怖がるんだと思います。でも、現世界と霊界は重なっていると思えば、いいんです。肉体がなくなっても、われ思うゆえにわれあり、の思考エネルギーは形を変えて、そこらへんにあっても不思議じゃない、と考えちゃったんですよね、辻少年は、変な子でしょ? 笑。
今はもう少し進んでいて、そういう形やカテゴリーや質量や物質的な区別ではなく、世の中を見ることが出来るようになりました。その中心に自分がいるので、外に向かう科学と真逆の方向に向けてぼくは内へと向かっています。内側を見つめると、世界というのものは、概念が作っているものとは考え方も、方法論も全く違う、ということに気が付くことが出来るんです。人間というやどかり姿を与えられているので、現実というものにぼくも生きている以上振り回されるんですが、実はそこは、執着による終着点ではありませんよね。この自己という宇宙を探査、探求することで、アインシュタインの相対性理論とは異なる方向を知ることが出来るのじゃないか、と考えています。今、その旅の途上なんです。いつか、このからくりを見破りたいな、と思って必死で考察しているところです」



辻村相談窓口、「スピリチュアル2」

父ちゃんからのお知らせ。

3月7日まで日動画廊でグループ展に参加中ですので、ぜひ!
電子書籍「海峡の光」
パリのオランピア劇場ライブ盤、各配信サイトで配信中。
3月11日に、文庫「父ちゃんの料理教室」大和書房。
3月18日に、エッセイ集「キッチンとマルシェのあいだ」光文社。
8月5日から三越日本橋本店特選画廊A全面で「辻仁成展、鏡花水月」。
10月、パリ、アートフェア出展の予定
同時期、「24時間日仏仏文学イベント」。詳細、決まり次第お知らせします。
11月、リヨンでの個展、決定。明日、打ち合わせがあるので、詳細またお知らせします。
同月、パリでの何かのイベント、予定・・・。
この頃、小説「泡」刊行予定。現在、校正作業中・・・。
他、予定多数・・・。あくまでも、予定ですが・・・。



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