ノルマンディ、ツジ村便り
辻村相談窓口、「子育て」 Posted on 2026/02/22 辻 仁成 作家 パリ
おつかれさまです。
各方面からご質問が飛び込んでおりますが、今日は子育てについてのお悩みです。
さっそく、窓口を開きます。
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匿名希望Rさん
「中学生の男の子がいます。その子はちょっと多動症気味なんですが、とにかく、手に負えず、子育てが大変で思わず泣きそうになる毎日です。怒ることばかりなんですが、そのことはしょうがないので、頑張るしかない、と思っていますが、長い子育ての人生で、これだけは絶対にしてはいけない、というようなことがありますか? 辻さんが息子さんに、これだけは絶対にしなかった、というものがあれば、お聞かせください」

はい、おこたえしまーす。
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「しなかったことですね。うううん。そういえば、絶対にしなかったことがあります。それは、他の子と比べない、ということでした。これだけは、ずっと心がけてきました。A君はいい大学に入った、とか、Bさんは成績が優秀だ、とか、そういう言い方はしないように心がけてきました。直接、君の成績が悪いからがんばれ、というような言い方をしてきた、と思います。なぜか、と申しますと、それは自分の経験から、です。小学生のころに、よくできる男の子が隣の家に住んでまして、ぼくの父さんが、よくその子の話を持ち出して、悪気があるわけじゃなかったと思いますが、ぼくを奮い立たせるためだとは思うのですが、あの子はこんなにすごいんだぞ、という感じで、比較されたことがあったんです。それが、今現在まで、心の中で、嫌な思い出として残っています。父はきっと、比較して、発奮させたかったのだと思うのですが、それはよくないんです。だから、ぼくは、自分が嫌だ、と思ったことだけは息子にしたくなくて、お前はお前なんだから、周囲のことは気にするな、と言い続けてきました。アレクサンドル君という優秀な子が親友にいるんですが、その子と比較をしても、息子がアレクサンドルになるのはおかしいですしね、笑、そもそも比較というのは、何事においても、よくありません。ぼくは大人になってからも、自分を誰かと比較されるのが嫌な人間になりました。そうですね、だから、自分の息子を他の子と比較して奮起させるという子育て方法だけはしたことがありません。人間はみんな違うし、だからこそ、人間なんだと思うんです。むしろ、ダメなところでも、その子にとってはいいことになりうるんです。多動症かもしれない、ということでしたが、ぼくもずっとそうだろうと友人のお医者さんたちに言われてきました。実際に、検査をしたことはないんですが、100%間違いないと思います。でも、確かに一般社会に入ってうまくやるのは苦手ですが、好きなことへの集中力は人一倍ありました。きっと中学生のお子さん、そこを見つけて、伸ばしてやったらいいんじゃないか、と思います。世の中にとっては弱点だとしても、その人にとっては長所になることもあります。ぼくはそういう学生を何人も見てきました。だから、肩の力を抜いて、リラックスして、子育てを続けてください。周りと比較しない。これは大事なことだと思います」

さて、今日は、ずっと自画像を描いていましたよ。なんか、自分を描くってのは生まれてはじめてなので、発表はしないかもしれませんが、画家って、自分をよく描くじゃないですか、面白かったです。今度、ちらっと、お見せしますね。
はい、ということで、2026年の父ちゃんのスケジュールです。
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3月7日までになりました。日動画廊でグループ展に参加中ですので、ぜひ!
電子書籍「海峡の光」
パリのオランピア劇場ライブ盤、各配信サイトで配信中。
3月11日に、文庫「父ちゃんの料理教室」大和書房。
3月18日に、エッセイ集「キッチンとマルシェのあいだ」光文社。
8月5日から三越日本橋本店特選画廊A全面で「辻仁成展、鏡花水月」。
9月、小説「泡」刊行予定。現在、校正作業中・・・。あ、もう一冊、文庫が出るみたいです。
10月、パリ、アートフェア出展の予定
。詳細、決まり次第お知らせします。
11月5日から22日まで、リヨンでの個展。会場の住所や、画廊連絡先については、また後日、ここで発表します。
11月、7か8日、パリでのライブ、予定、現在交渉中。
他、予定多数・・・。あくまでも、予定ですが・・・。


