ノルマンディ、ツジ村便り
辻村相談窓口、「日本で必ず食べたくなるもの」 Posted on 2026/03/20 辻 仁成 作家 パリ
おつかれさまです。
30日のラーメン・イベントにあわせて、とんぼ返りで、短期間、日本に帰ることになりまして、笑、準備に追われている父ちゃん校長でございます。
それで、ちょうど、こういうご質問が届いていたので、どうでしょうか?
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匿名希望Uさん
「辻さんは、日本に戻ると必ず食べるもの、食べたくなるもの、言える範囲でいいので、どんなお店に行くのか、教えてもらえたら嬉しいです。食べることが大好きな辻さんのおすすめを食べてみたいですが、高い料理は避けて頂けるとなお助かります」

おこたえしまーす。
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「ぼくも、基本、高いレストランに行くことはありません。ご馳走になる場合は、喜んで同行しますが、自腹で、高級料理っていうのは、どうしても足が向かない、財布も開きません。なんといっても、自分で作る方が楽しいし、美味しいので、よっぽどじゃないと、行かないんです。それと、店名を書いちゃうと、ぼくがお忍びで行けなくなるので、それは困るから、あまり言いたくない店が2,3軒、はあります。お店の人も、そういう宣伝を好まない人たちばかりなので、気楽なんです。でも、そういう店で知り合いになったら、ラインとか交換しちゃうので、ぼくの携帯、だれだか知らない人のラインだらけで、最近、事務所から、厳重注意されました。あはは。
さて、フランスから日本に行くので、フランスでは食べられないものを、日本で食べる、ということになります。あと、ぼくはパスタとかイタリア料理も得意なので、日本でイタリアンには行かないかな。でも、どうしても行きたくなるけれど、勇気が出なくていけないお店なら、ご紹介できます。まず、吉野家で牛丼を食べたい。まだ、忙しくて、実現できずにいます。それから、王将で餃子と炒飯を食べたい、と思っています。昔、よく下北の王将に通ってましたが、京都で大学の先生をやっていた頃に、よく王将にいきました。なんでか、あれは、仲間たちと行って、はばかることなくどんどん注文できる大食い人間になるのに最高の場所ですよね。あとですね、ぼくは立ち食い蕎麦屋さんが大好きで、そのことを知り合いに話すと、「ええ、美味しくないでしょ」とか言われるんですが、立ち食い蕎麦屋の「美味しさ」って、ちょっと違うんですよ。とくに、駅のホームにある立ち食い蕎麦屋が好きでして、昔は、名古屋のきしめんは、下車しても、食べてました。蕎麦じゃないじゃん、とつっこまれました? そうですね、方南町の駅の角に昔、立ち食い蕎麦屋があったんですが、あれは、目の前で天ぷらをあげてくれましてね、選ぶ時に目が泳ぐ感じになってましたが、ぼくが好きなのはかき揚げ蕎麦なんです。で、それでいいますと、銀座とかのね、蕎麦屋って、昼から夜までずっとあいているじゃないですか。昔、画家の望月みちあきさんと、何度か銀座の蕎麦屋で待ち合わせ、午後15時くらいに、ふらっと入って、かまぼことか、ワサビ漬けとか、食べながら呑んで、そのあと、〆に蕎麦食べてってのが、ほんとうに楽しかったです。フランスにも日本蕎麦屋が数軒ありますが、昼終わると一度しめちゃうんですね、あれが、残念です。日本の老舗の蕎麦屋は、ずっとあいていて、夕方が狙い目なんですよね。ぜひ、そういう使い方、お願いします。そうそう、立ち食い蕎麦屋は、前回もふらっと入りましたよ。毎回、ふらっと入ります。そして、おじさんたちの間に混ざって食べました、食券買って!確かに当たりはずれはけっこうありますね。そこは、お店によるので、探しましょう。
新宿3丁目界隈の飲み屋とかにも出没しますよ。小説「泡」じゃないんですが、新宿のごちゃごちゃした居酒屋とかで呑むのも好きです。裏渋谷に事務所もあったので、あの辺にも行きつけがありましたが、閉店したり移転していて、もう懐かしい店はないですね。
そういえば、今、行きたいと思っている店がありました、いつ閉店するか分からないけれど、西荻窪の「エル・ボンビーノ」はぼくのワインゼロ地点で、今年30周年、マスターの堀さんから、赤ワインを教わりました。まだ、続いているみたいだから、一度行きたいな、と思っていますが、西荻がね、遠くて・・・。あと、三軒茶屋の「赤鬼」はぼくの日本酒の原点でして、ここの句会に参加してました。30歳くらいの時かな。山形の十四代とか、ここで知りました。焼き味噌で、食べるんですよね。当時の大将(名前が思い出せない、ごめんなさい)は店を若い人に任せて、長野かどこかの秘境で蕎麦屋をやっていると聞いていて、そこも行きたいけれど、遠いですね。いいお店はたくさんあるし、そんなに高くないのに、素晴らしいお店、いまだ、ぼくは開拓途中であります」

おしらせだよーん。
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エッセイ集「キッチンとマルシェのあいだ」光文社。待望の新刊です。料理雑誌「ダンチュー」巻頭5年分の連載が一冊に!!!必読。
文庫「父ちゃんの料理教室」も出ています。
3月30日、新横浜ラーメン博物館にて、「対麺」プロジェクト。
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https://note.com/preview/n140dda70d0e6?prev_access_key=dbd8f2a5eeaaee47588a0d7e01e2e747
8月5日から三越日本橋本店特選画廊A全面で「辻仁成展、鏡花水月」。
9月4日、小説「泡」、集英社。
11月、リヨンで個展。
他、いろいろ。



