ノルマンディ、ツジ村便り
辻村相談窓口、「まずは小さく一歩」 Posted on 2026/09/16 辻 仁成 作家 パリ
おつかれさまです。
さっそく、辻村相談窓口を開きたいと思います。
今日は50代の男性の方からの質問です。
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匿名希望Hさん
「辻さんが先日、ここで書かれていた『目標は小さく、夢は大きく、志は高く』ということば、心にしみました。このことばを人生の半ばでもがいている私にもう一度、語ってください」

おこたえしまーす。
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「『目標は小さく、夢は大きく、志は高く』というフレーズは、ぼくが若い頃に発明したものです。発明というと、偉そうに聞こえますが、ぼくはいつも自分を励ますために、いろいろな言葉を発明して、日々を乗り越えていたんです。絶対に負けない自信はあるんですが、それなりに挫折も経験しています。でも、その都度、言葉の力のおかげで、復活しておりました。言霊といいますけれど、何か人の心を動かす言葉というものには、人知を超えたエスプリ(精霊)が宿っているように思えてなりません。
ぼくは当時、20代でした。いや、もしかすると30代だったかしれません。思うように物事が進まず、苦悩していました。もちろん、いいこともあったし、多少の成果もあったかもしれませんが、次々に夢が膨らんでしまい、結局、夢を抱え過ぎて失敗を繰り返すことになります。それである時、夢は大きくてもいいじゃないか、でも、目標を小さくしてみよう、と思いつくわけです。たとえば、これはあくまでも、一つの例ですが、「夢は芥川賞」「志は偉大な作家にあること」だとします。でも、「目標」は、まず「30枚の小説を書くこと」にするんです。30枚じゃ、芥川賞は受賞できませんが、30枚すら書けない人が受賞することはありません。最初から180枚の作品で新人賞を突破する、と決めてしまうから、続かなくなるわけです。これはビジネスであろうが、なんであろうが、一緒じゃないでしょうか。夢と志は大きく高くていい、でも、まずは、しっかりと最初の一歩を踏み出せる目標を設定しようじゃないか、ということ。一歩をしっかりと踏み出せたら、次の一歩を目標に加えればいいわけです。じわじわと夢を手繰り寄せて、ねじ伏せて自分のものにいつかしてみせる、この心意気、ですよね。大事なことは・・・。
どうですか?
50代の頃、思い返すと、ぼくは大変厳しい人生の中にありました。でも、この言葉『目標は小さく、夢は大きく、志は高く』は50代のぼくの背中を押してくれたんです。フランスは2019年、2020年、2021年、コロナのせいで、外出禁止令が出て、息子を育てながら本当に大変でした。その時、ぼくは画用紙に絵を描き始めました。「夢はピカソ、志はゴッホ」でした。笑。思い返せば、当時、窓の向こう側に見える建物の光り輝く窓とそこに生きる人々をスケッチしていたものです。ぼくの「夜のスケッチ」習慣のきっかけとなりました。その当時、そうだ、油絵具があったっけ、と思い出します。倉庫から画材を引っ張り出して、コロナ禍に「まずは2,3枚の油絵」を描いてみよう、と決めたのです。でも、気が付いたらいつの間にか、100枚を超えていて、コロナがあけて割とすぐかな、個展が決まりました。『目標は小さく、夢は大きく、志は高く』という言葉のおかげでした。コツコツやること、でも、夢は大きく持っておけ、ということです。これは、なんにでも当てはまると思いますよ。どうぞ、この言葉、使いまわしてくださいませ。あなたの50代にささやかな光が差しますよう、お祈りしております。小さな声で、えいえいおー」

父ちゃんの独り言、&、近況のようなもの。
新刊「泡」、好調かどうか、知りません。祈っています。笑。
「歌う詩人」のファーストアルバム「詠み人知らず」、予約がはじまったようで、ディスクユニオンで予約すると特典が付くようです。あはは。
父ちゃんの芸術的三位一体運動が、じわじわ、進行中でして、今年は芸術家父ちゃんの集大成の年になりそうで、わくわくしています。
孤独ですが、・・・なにか?
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10月22日から、パリで、モダンアートフェア。
11月5日から、リヨンで、個展。
11月8日、パリで、ライブです。ライブハウス、カフェ・ド・ラダンスで、エバーマインズ、と対バン。父ちゃんは弾き語り。


※ 辻翁仙人さまであーるぬーぼー。



