ノルマンディ、ツジ村便り
辻村相談窓口、「あきらめなくてもいいんだよ」 Posted on 2026/09/22 辻 仁成 作家 パリ
おつかれさまです。
お元気ですか?
父ちゃんは、そうでもない、です。そんな日もありますが、今日も
さっそく、相談窓口を開きたいと思います。
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匿名希望Kさん
「辻さん、頑張っているんですが、なかなか突破できません。あきらめるしかないかな、と思いはじめています。なんか、アドバイスください」

おこたえしまーす。
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「あのですね、よく、一度諦めてみたらどうですか、という意見もあると思うんです。でも、ぼくは個人的な意見ですが、こういう場合、いつもやっていることがあってですね、それは、一度、横にどけてみる、という方法。いや、笑わないでください。
父ちゃんは、いつもこの方法で難題を突破してきました。そりゃあ、全部成功するわけがないですし、うまくいかないこともありますよ。人間ですもの、生身なんですからね。
だから、そういう時は、一度、横にどけちゃうんです。諦めたり、やめたり、捨てたりする必要はないですよね、もったいない。ただ、できない時に無理やりやりきろうとしても、ストレスが増えるばかりですから、とりあえず、いったん、横に放り投げるんです。放り投げないまでも、横にどけておく、という感じ。ちょっとだけ、目に入らないところに、どけて、別のことをやって気を紛らわすわけです。
なんでもいいんですよ。ぼくは、ある時、映画の撮影をやっていたんですが、世界的なコロナ禍になってその映画が撮影不可能になったんです。映画会社もなんか、コロナとは関係ないかもしれませんがうまくいかなくなって、もう、クランクインしていたのに、撮影続行不可能になっちゃったんです。しかも、フランスはロックダウンで、家から出られない。そりゃあ、ものすごいストレスに見舞われました。結局、映画は中止に。監督でしたからね、大変だったんですが、フランスにいるので、動きようがない。そこで、ぼくは気晴らしに、昔から趣味でやっていた絵の制作に没頭することになります。笑。
ええ、それが絵描き、辻仁成の転機になったんですよ。やることがないから、絵を毎日描きました。コロナ禍だけで100枚くらい描いたんじゃないですかね、それを知り合いの画家、千住博氏に見せたことが個展につながり、今では、フランスと日本で毎年個展をやるようになってしまいました。そのうちですね、新しい映画のプロデューサーが出現して、その映画まで、完成してしまうんです。なんとびっくりですね。
きっと、自分がダメになる前に、気持ちを一度逃がしたことで、自分の崩壊は食い止めることが出来たし、エネルギーを温存できた、ということじゃないか、と。そのあいだ、時間が余ったので、絵を描き、絵描きの道が生まれましたよ、と。映画も完成しましたよ、と。つまり、壁にぶち当たってにっちもさっちもいかなくなった時には、別のことをやってみる、が一つの正解なんだと思います。そのうち、なんとかなります。一生懸命頑張ったんだから、神様は見捨てないはず・・・。あとはタイミングなんだ、と思って、ゆったりと構えることも大事かもしれないですね。人間は、新しい希望を拵えて、そこに打ち込むことで、古い不安を封じ込めることが出来る生き物なんです。煮詰まったら、ちょっと横にどかして、別のことをやる、これ、試してみてください。はい、小さな声で、えいえいおー」

父ちゃんの独り言、&、近況のようなもの。
今日、頼んでいたパステル絵の具が届いたので、領収書をみたら、パステルは12ユーロだったのに、輸送代が、16ユーロだったんです。DHLで届きました。ベルリンから・・・。そんな・・・。ショックで、立ち直れません。辻さん、そんなぼくはどうしたらいいんでしょうか?
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おこたえしまーす。
「名作を描いてもとをとってください」
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ええと、次回のインスタ・サブスク「となりのヒトナリ」は水曜日の18時過ぎからになりました。お題は、元気になるぞ、の巻です。どしどし、ご参加ください。
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新譜「詠み人知らず」全国のディスクユニオンで予約開始。特典あり、だそうです。
秋は、10月がパリのアートフェア、11月がリオンで個展で~す。




