ノルマンディ、ツジ村便り
辻村相談窓口、「後悔とどう向き合うか」 Posted on 2026/09/27 辻 仁成 作家 パリ
おつかれさまです。
寒くなってきました。ノルマンディはすっかり冬です。
朝はセーターを着て、三四郎の散歩に出ておりますよ、冷えますです・・・ぶるっ。
さて、さっそく、相談窓口を開かせていただきますね。
☆
匿名希望Uさん
「辻さんは前向きな方だと想像いたしますが、後悔などはないのでしょうか? もしも、後悔に襲われた時、辻さんは、どうされていますか? 自分は、ある大事な時期に大きな失敗をしてしまい、いまだにその後悔に付きまとわれています。あの時、こうすればよかった、こうしておくべきだった、と悩んで苦しくなります。後悔を断ち切る方法を教えてください」

おこたえしまーす。
☆
「切実な悩み事ですね。よくわかりますし、ぼくは意外と後悔だらけの人間なんです。なんで後悔をするのか、考えたことがあります。それは、たぶん、その時、しっかりと判断をしなかったことに敗因がある、ということですかね。何か勢いに流されるというか、焦って、思い付きで行動をしてしまい、結果失敗をして、ずっとそのことが後悔として残る、という感じでしょうか。そして、その後悔が何年も、何十年もぼくを苦しめ続ける、わけです。しかし、その後悔を断ち切る必要があるのか、とぼくは思います。いいえ、その必要はありません。実は、この失敗は、長い目で見ると、あなた(や、ぼく)を成長させてきたものじゃないか? たとえば、ぼくは映画の演出を10本くらいしてきたんですが、今、振り返ると、つめがあまかった、と思える作品ばかりなんです。これは映画だけに限ったことじゃないですね、あらゆる創作に言えることなんですが、いまだに、その後悔に苛まれている次第です。でも、その時は、間違いなく、精一杯でした。時が流れて冷静に判断できる今という場所から振り返ると、「ああ、もっと他に選択ができたじゃないか」と思うことばかり。今更と思うのですが、単純な作業をしている時にこの後悔の念というのは起こりやすいですね。でも、この後悔こそ、ぼくを今、育てている原動力のひとつだったりするわけです。すべてが満点の人生など、嘘くさいですし、それじゃ、成長ののりしろが無さすぎます。あの時、もう少しがんばって抵抗していたら、もっといい作品になったかもしれない、という後悔こそ、実は、つぎの作品をより輝かせるための最高の下準備でもあるわけです。あらゆる後悔は、もっとよく出来ていたのに、という反省からはじまり、それは同時に、人間の可能性を表しているものでもあります。「あの時、こうしておくべきだった」という後悔こそ、あなたを育てているエネルギーの源なんですよ。仮に、後悔のない人がいるとします。完璧な人間・・・。その人はどんな前進ができると思いますか? 後悔をしている自分にがっかりしないでください。それは、前に進もうとしている証拠。逆を言えば、後悔のない人に成長はありません。はい、今日も、小さな声で、えいえいおー」

父ちゃんの独り言、&、近況のようなもの。
11月8日にパリでやるライブの打ち合わせがありました。エバーマインズというバンドのリーダー、エリックさん曰く「チケットはいい感じで売れているから安心してね。当日までにはソールドアウトになる勢いだよ」とのことでした。実は、彼らのニューアルバムに入るロックナンバーがありまして、ぼくがゲストボーカルで歌っています。その曲を一緒にやることが決まりました。「TOKYO DAYS」というナンバーで、ぼくが歌う日本語の部分は、もちろん、ぼくが歌詞を書いています。当日は、ぼくがまず40分、フロントアクトで弾き語りをする形です。そのあと、エバーマインズが出てきてバンド演奏をします。ちょっとXTCみたいなブリティッシュなアーティストです。全編英語なんで、面白いですよ、笑。
パリとかその周辺にお住まいの皆さん、チケットはこちらから、どうぞ。
☟
https://www.fnacspectacles.com/event/the-everminds-special-guest-tsuji-cafe-de-la-danse-paris-11-21732503/




