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第3回新世代賞受賞者の方々より近況報告が届きました。 Posted on 2020/09/20 Design Stories  

第4回アート&デザイン新世代賞の募集期間も残すところ一月となりました。
コロナの不安の中で生きる私たちにとって、今この時がいかに大切かということを思い知らされる日々です。でも私たちは生きています。常に今を乗り越えていく力を持って。デザインストーリーズがおくるこの新世代賞も4回目を迎え今回は原点に戻り、デザインの可能性に物語の広がりを組み合わせる大きな賞へと繋げていきたいと思っています。今回の作品テーマは「君がリデザインするアフターコロナのホテル」です。コロナが世界に大きな不安を与え、その収束も見えない今この時代だからこそ届けたい、あなたが描く新しい時代のホテルのデザインを募集中です。締め切りは10月17日(当日中必着)。まだまだ時間はあります。皆さんの今を超えていくデザインとストーリーをお待ちしています。

さて、第3回の受賞者の方々より現在の活動報告が届きました。コロナ禍の今、彼らはどうしているのかと思ったら、ご覧の通り、コロナを跳ね飛ばすほどのパワーを持って今を精力的に生きていました。

では、受賞者のその後、ご紹介します。
 
 

■ ■第3回最優秀賞:水口麟太郎さん ■ ■ 

 
 
こんにちは、麟太郎です。
世間が大きな壁に直面するなか、第4回アート&デザイン新世代賞が無事開催となり、とても嬉しく思っております。
第3回ではお世話になりました。授賞式にて審査員や受賞者の方々とは様々な情熱と今後を語り合うことができ、寒い時期ではありましたが大変アツい授賞式であったことがとても印象に残っています。
その直後、オランダへの展覧会出展の予定があり、フランスでの第2回個展も計画していたため、欧州への渡航を予定していましたが、新型コロナウイルスの影響で欧州が大きな打撃を受けていると聞き、渡航ならびに海外での展示は断念せざるを得ない状況になりました。
その後の動きとしては、国内外問わず多くの方にご協力頂き、アート作家としても、デザイナーとしても非常に充実した活動ができております。
アート作家としては、第3回にて受賞した「とよこ」の派生として立体書道の「LULUCANA」シリーズの作品を展開できており、東日本大震災の際ご支援いただいた世界の各国へ向けて感謝のメダルを贈呈するプロジェクト”TOHOKU FUKKO MEDAL 2020”ではメダルデザインに携わっております。同時に、以前より制作を続けている「光が解ける」シリーズは、ギャラリー八犬堂主催の”KENZAN2020”展にて好評を頂き、その後アメリカで開催された”第40回Artavitaアートコンテスト”にてファイナリスト賞を頂けたこともあり、今後の展開にも希望が持てました。
 

第3回新世代賞受賞者の方々より近況報告が届きました。

デザイナーとしては、フランス滞在時よりお世話になっていた元大使館公邸料理人の工藤英良さんと共に、彼の日本での新規事業「出張料理人」のロゴマークや、名刺等におけるデザイン面でのお手伝いをさせて頂いており、現在Webサイトのリニューアルに向けて動いているところです。
今年から来年にかけては当初予定していたフランスでの第2回個展へ向けての活動を本格的に始めていこうと思っています。これからも、皆が日常からアートを摂取することがあたりまえとなる世界のデザインを目指して、日々精進してまいります。
P.S. 近頃は写真撮影が主な仕事で、フリーのカメラマンとして街中などに出没しては無差別営業をしているので、見かけた際には是非お声がけください(笑)。撮影のご依頼も承ります。

東北復興メダル2020
http://www.fukko-medal.org/

出張料理人 工藤英良
https://www.eiryo-kudo-chef.com

RINTARO website & instagram
https://rintaro3291rin.wixsite.com/rintaromizuguchi
https://www.instagram.com/rintaro_artist/
 

第3回新世代賞受賞者の方々より近況報告が届きました。

 ■ ■第3回特別賞:緋桃香さん ■ ■ 

 
 
第4回新世代賞の開催決定誠におめでとうございます。私は書家として活動しておりますが、新世代賞は従来の書を超えた表現を初めて評価して頂けた場所です。
今年は映像シリーズ「神秘の世界遺産」(文化庁・「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群保存活用協議会)への出演と題字制作、明石散人著「二人の天魔王 信長の正体」(角川文庫)題字制作等をさせて頂きました。現在は引き続き映像や出版物に携わりながら、オンラインレッスンなど活動の幅を広げる試みの最中です。前述、福岡県・沖ノ島遺産群を扱った「神秘の世界遺産」にはパフォーマーとして出演しています。公開動画でご覧頂けますので、是非この世界遺産を多くの方に味わっていただきたいです。
 

第3回新世代賞受賞者の方々より近況報告が届きました。

https://www.okinoshima-heritage.jp/movies/
制作・著作:世界遺産「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群保存活用協議会
出演:ロバート・キャンベル、レミ・ダンカン

「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群は、遣唐使船の航海安全を祈った古代祭祀を巡る、2017年に登録された新しい世界遺産です。現地を訪問し、帰路に着いてからも、目を閉じると胸一杯吸い込んだ宗像の海風がまだ心に吹いているように感じられたことが忘れられません。強く強く航海の安全を祈った古代の人々の切実な想い、その”祈り”―芸術の起源のかたちに畏敬の念を覚えずにはおれませんでした。4艘で出発し、無事辿り着いたのは1艘だったそうです。命の危険を冒してまで渡る必要はなかったのかもしれません。それでもまだ見ぬ大陸への憧れを胸に、恐れを知らず進もうとしたさまは私たち若き表現者と同じなのではないでしょうか。
新型コロナウイルス禍の中、私自身、制作活動の進退について悩みました。けれども海外の友人アーティストが力強く創り続ける姿に励まされました。アートは苦しみから生まれるものでもあると実感します。どんなに制約があったとしても、「今だからこそ」と是非考えて欲しいです。ウイルスの脅威の中、人々が居場所を求めている今だからこそ生まれる建築があると思います。私たち若者の活動が希望になると信じています。

<プロフィール>緋桃香(ヒトウカ)
書道家・美術家。慶應義塾大学環境情報学部卒業。日本で最も古い歴史を持つ競書誌として知られる「筆之友」(書道奨励協會)において17 歳で師範取得。全国高等学校総合文化祭2012埼玉県代表。独自の書法は”鎬(しのぎ)が立った”と評される切れ味の良さと線質の美しさを特徴とする。美術家として「生命」「風景との調和」をテーマに据えた前衛的な創作活動を並行する。

ホームページ:https://www.hitohka.com/
Instagram:@hitohka
 

第3回新世代賞受賞者の方々より近況報告が届きました。

第4回新世代賞 作品募集中

 ■ ■第3回特別賞:眞鍋美祈さん ■ ■ 

 
 
2019年新世代賞特別賞をいただきました眞鍋美祈です。
まずはじめに、9/15-22に表参道スパイラルガーデン(東京都港区南青山5−6−23 スパイラルビル1F)で行われるSICF20 Winners Exhibition(https://www.sicf.jp/information/winners/)にて体験型作品「孤独が溶ける」の新たなバージョンを展示致します。入場無料となっておりますので、ご予定の合う方は、ぜひ足をお運びください。

さて近況ですが、審査員・受賞者の皆様とお会いした2月のあと徐々にCOVID-19の感染が拡大していき、私も展示が延期されるなど、様々な影響を受けました。7/14-9/11にワコールスタディホール京都にて初の個展「ことばにさわる」(https://www.wacoal.jp/studyhall/gallery/event/article143564)を無事開催させていただくことができましたが、密集を避けるため土日の開催ができないなど、歯痒い思いもしました。
私は体験を重視した作品を作っているため、リモートワークやネットショッピングが推奨され、「その場で」の体験が忌避される状況で、改めて自分の作品のもつ体験性の意味を熟考しました。2年前より制作を続けている「韻を踏む」 のHMD(ヘッドマウントディスプレイ)版を作成するなど、COVID-19の状況下でも伝えたいことをどのように伝えるか、ということを考えた数ヶ月であったように思います。
また、BlackLivesMatterの運動などが活発化する中で、見た目から抱く先入観に対して疑問を投げかける新作「私へうつる」を制作しました。この作品は、顔から判断されるプロフィールや「言いそうな発言」を顔の上に映し出す作品です。作品のコンセプトは以前より温めていたものでしたが、私自身オンラインでの会議が増え、見た目から抱かれる先入観から自由になったことでストレスが軽減した、と感じていた時期に制作・発表することとなったことは興味深いことです。関心をお持ちの方は、instagramなどよりご覧いただけます。

作品のことを多く書いてきましたが、私の日常生活もCOVID-19前とでは大きく変化しました。生身の人と会う機会が以前より減り、ライブや演劇などの大規模なイベントも制限される中で、自分の体が経験する「体験」の重要さを改めて感じました。満員電車に乗らなくて済むようになったのは嬉しいものの、やはり仲間とは会ってしゃべり、音楽は大勢の観衆と生で一緒に盛り上がりたいものです。本を読んだり内省的な時間を過ごすことが多くなったことは嬉しくも寂しくもあり、海外観光客の方もほとんど街では見かけなくなったと気づいては排他的・内向的すぎる気分が社会にも自分にも蔓延しているのではないかと怖くなることもありますが、作品「孤独が溶ける」がそんな気分にも効き目があればいいなあと思っております。
体験のもつ力強さや楽しさ、メッセージの熱量の大きさがどのように形作られるのか、どうすれば自分の作品でそれらを実現できるのか、それらの問いにまだ答えはでていませんが、これからも様々な制作活動を通じてこれらのことについて考え、やさしい世界を作るためのメッセージを送る作品を作っていきたいと思います。これからの情報はInstagram, Twitterなどで告知してまいります。

Instagram: @mino.ri.minority
Twitter: @minoriminority
https://linktr.ee/minoriminority
 

第3回新世代賞受賞者の方々より近況報告が届きました。

※SICF20 Winners Exhibitionにて展示されている体験型作品「孤独が溶ける」

孤独と孤独があわさると溶けるけど、集まりすぎると汚くなる。孤独を実際に「溶かす」体験を通して、自分や他人の内面にある孤独を見つめてほしい。
孤独という文字がたくさん並んでいる様はひどく滑稽に見える。ちっとも孤独じゃないじゃないかと思う。きっと隣にも孤独の文字が並んでいることにも気づいていない。

 ■ ■第3回奨励賞:小河原美波さん ■ ■ 

 
 
第4回新世代賞の開催、おめでとうございます。
昨年度の受賞は私自身の制作の励みにもなりましたし、何より共に受賞した多才なメンバーの皆さんとも繋がりができたことが、その後の創作の刺激にもなっております。その点でも、新世代賞は大学という一つの箱に閉じこもっていた私にとって、一歩社会に開けた道を引いてくださったコンペでありました。

私の近況になりますが、大学はオンライン授業になり、前期は一度も学校に通うことはできませんでした。環境の変化には戸惑いましたが、自宅でできることはやろうとすれば、思いのほかたくさんあり、通学の時間も作品づくり当てることができるメリットもありました。行動範囲は以前より狭くなりましたが、それは視野が狭まったのではなく、限られた世界を深く解像度を上げて見ることでもありました。家の花壇を1つの世界としてみると、蟻たちの生活がせっせと営まれていたり、花が開く構造が分かったり、ミクロな単位で変化しているものがたくさん見えてきます。人間が作ったものではない単位で世界を見ることは、今の私にとって、ちょっと旅に出かけてくる! といった感覚にさせてくれます。
大きな世界的レベルでの変化が当たり前になっているけれど、目を凝らさないと見えない小さな変化の観察はものをつくる上で大切に、続けていたいです

また最近では紙に書かれた文字の一瞬の息づかいや線の動きに着目し、「息をつなぐ」という作品を制作しました。文字とは分解すると一本の線から生まれています。そしてその一本一本は、歳を重ねるにつれて形も変化してゆく、1人の人が生きたことの痕跡であります。
文字は人の内面を表すとも言うように、幼い頃文字を始めて書いたその一本から、現在までに無数にも引かれた線を繋いでいったなら、その人にしか描くことのできない形が浮かび上がってくるのだと思います。
今作では私自身が残していた落書き帳や作文、日記などに書かれた文字を一本一本切り貼りして、その線の引かれた順につないで、制作しています。写真は3歳から12歳までの約4000字分の描いた軌跡でありますが、この線はまだこれからもつなぎ続けていく予定です。

<プロフィール>
東京藝術大学美術学部デザイン科3年 在学中

第3回新世代賞受賞者の方々より近況報告が届きました。

 ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■

 
 
第3回奨励賞の池田愛さんは都合により今回はご紹介できませんが、皆さんコロナにも負けずに、創作活動を続けられていました。コロナの不安はまだまだ消えませんが、今いる場所で、今できる方法で、今をたくましく乗り越えていくそんな姿を感じます。
限られた場所で、限られた空間で、でも思考の世界、想像の世界は限りなく広く、遮るものは何一つありません。こういう時代だからこそ、生まれてくるものがあります。こういう時代だからこそ、やるべきことがあります。それは一人ひとりの中にあり、そこから生まれるデザインとストーリーを私たちは見てみたいな、と思っています。第4回の新世代賞のテーマは、まさに今、この時代に必要なものです。皆さんの中にあるその思いを形にしてください。きっと、時代を超えてゆく、何かが生まれてくるような気がしてなりません。

作品の締め切りは10月17日(当日必着)。まだ時間はあります。慌てずに今と向き合い、思いを形にしてください。たくさんのご応募、お待ちしています。
 

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デザインストーリーズ編集部(Paris/Tokyo)。
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