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第3回アート&デザイン新世代賞 〜多くの若いアーティストの登竜門になることを目指し〜 Posted on 2019/11/15 Design Stories  

 

第3回アート&デザイン新世代賞 〜時代の言の葉・言葉のデザイン〜

 
2019年10月3日(木)に行われた審査会にて第3回新世代賞の受賞者が決まりました。最優秀賞1名、特別賞2名。優秀賞は残念ながら該当作なしでしたが、最終選考に残った作品の中より新たに奨励賞2名が加わり、全5作品の受賞となりました。
 
 

最優秀賞(1名)

 

第3回アート&デザイン新世代賞 〜多くの若いアーティストの登竜門になることを目指し〜

作品名:「とよこ」(立体書体)

コンセプト
立体作品「とよこ」は、私の祖母の名前がモチーフとなっている。祖母は書道家だ。歳は90をとうに過ぎているものの、会いに行くといつも元気な姿で私を迎えてくれる。私は小学校に入る以前より、祖母から書を習っていた。社会に出て、アーティストとして活動するようになった今でも、定期的に祖母の元を訪れては書の勉強をしている。祖母は私に変体仮名の面白さについてよく教えてくれる。変体仮名はかつて漢字より派生した日本独自の文字形態で、現在の平仮名ように一形態に統一されたものではなく、一つの文字をとっても元となった漢字の数だけ異なる形態が存在する。かなは線の数が少なく、文字の中の空間を有効に活かし、これ以上簡潔にすることができないまでの造形によって「至簡の美」ともいうべき美しい字形をとっている。簡素な中にも変化を持ち、複数の字数を連綿戦で継続させて「流麗の美」ともいわれる美しい文字集団を作る。変体仮名は文章を美しく魅せるために発展した文字形態だ。だが祖母曰く、今日の書道では変体仮名を扱うことのできるアーティストは非常に少なくなりつつあるという。解読する知識の他に、空間構成力などの技術を要する変体仮名は扱いが非常に難しいものだ。私の書の師であり、変体仮名を扱う書道家である祖母は、変体仮名が失われつつあるその現状を残念に思っていた。そんな祖母の想いと技術を受け取り、この「とよこ」を制作した。
名前とは最も身近にある言の葉だと思っている。「とよこ」は人の名前を、変体仮名で表記したものを、触れることのできる立体の形に構成した、新しい「人の名前」の形だ。変体仮名は文字の意味より、その形態を美しく見せる為に発達したものだ。人の名前という最も身近な存在を、芸術の域まで押し上げ、宝物にすることができる。まずは作品「とよこ」を祖母にプレゼントするつもりだ。

受賞コメント
令和最初の新世代賞にて、今回の賞を頂けたことを大変光栄に思います。この賞を新たなスタートとし、今後の創作活動の支えにしていきたい思っています。受賞作品「とよこ」は人の「名前」を美しさの表現に特化した変体仮名を用いて立体化、「個人にとって最も美しく大切な言の葉」に変換し、宝物として触れられるようにするプロジェクトの初号機として開発しました。名前を、単なる識別の為のツールとしてではなく、生涯寄り添い続ける相棒として大切にできる世界をデザインしていきたいと思っています。

経歴
東京造形大学インダストリアルデザイン専攻領域卒業、Ecole Boulle国立工芸学校(Paris, France)Designer produit 中退、個人事業主RINTARO ART SPACE代表
・Youtube
https://m.youtube.com/channel/UCuVAMECsw6DpkpHjIZNJtIg/videos
 

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優秀賞

該当作なし

 

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特別賞(2名)

 

第3回アート&デザイン新世代賞 〜多くの若いアーティストの登竜門になることを目指し〜

作品名:「花筏 ー令和のかたちー 」(装飾美術/紙)

コンセプト
「令和」と聞いてあなたはどんなかたちをイメージするでしょうか。
本作『花筏 -令和のかたち-』は新元号「令和」の出典である万葉集の一節 “天平二年正 月十三日 萃于師老之宅、申宴会成、于時、初春令月、気淑風和、梅披鏡前之粉、蘭薫珮後之香” を一字一字分解し、和紙をくり抜き、花として再構成した作品です。花筏とは水面に浮かび流れる花を筏に見立てた、言の葉と同様に非常に日本的で美しい単語です。現在最も画数が多い漢字は総画数60〜80以上とも言われています。漢字を分解していくと、横線、縦線、点、払い、撥ね、といった似通ったパーツの複雑な組み合わせによって成り立っていることが分かります。これは私たち人間社会も同様であると言えるのではないでしょうか。一人として同じ人はいません。そして、誰しも一人では生きていけないけれど、人々が集い、文字となり、文字が集い、言葉となる。時には醜くもなるけれど、美しい言の葉を紡ぐことも出来る。それは私たち次第です。新元号に込められた「冬の寒さに耐えた梅の木が見事な花を咲かせるように、一人ひとりが明日への希望とともに大きな花を咲かせることができる時代」という願いに象徴されるように、私たちは花びらであり、花であり、手に手を取り合って進む一つの集合体なのです。

ここに一艘の筏があります。未来へと漕ぎ出したばかりの、小さな筏です。

受賞コメント
この度特別賞に選出して頂けた事を大変光栄に存じます。“この世界には、私たちに見る目があれば見えるものが、愛する心があれば愛せるものが、いくらでもある”(L.M.モンゴメリ-)これは私が一番好きな言葉です。言葉をめぐる新たな表現を通じて希望あるメッセージを発信していけたらと日々願っております。関係者の皆さま、応援して下さる全ての方々に心より感謝申し上げます。時代の心を種として、美しい “言の花” を一つひとつ丁寧に咲かせていきたいと思います。

経歴
慶應義塾大学環境情報学部卒。書家・美術家
 

第3回アート&デザイン新世代賞 〜多くの若いアーティストの登竜門になることを目指し〜

作品名:「孤独が溶ける」(メディア・アート)

コンセプト
孤独という文字はたくさん並んでいる様はひどく滑稽に見える。ちっとも孤独じゃないじゃないかと思う。きっと隣にも孤独の文字が並んでいることにも気づいていない。
小さいときお風呂のタイルの溝の水滴を指でつなげて流したり、分けたりする遊びを延々とやっていた。こっちの集団はみず族で、こっちの集団はポタ族。たくさんの雫で集まってできている。みず族がひとりぼっちで困ってる雫をたすけにいってがったいしたぞ。みず族とポタ族は仲が良いから一緒になることにしたらしい。大きくなりすぎると排水溝に流れちゃうから、時々分岐するんだ。
たくさん並んでいる滑稽な孤独の文字も、たくさん並んでまざって分かれる水滴も、人間のように思うことがある。

本が読まれることが少なくなって、予測変換でどんな言葉でも言えてしまうようになった時代だけれど、私は言葉が好きです。言葉のよさにもっと気軽に親しんでもらいたい。そんな思いの作品です。本にコンセプトをおいた作品を制作しています。

受賞コメント
このたびこのような賞をいただきましたこと、大変光栄でございます。誰にでも親しみやすいインタラクティブな体験を通して、普段は気にしていないことや、気づかないところに目を向けてもらうことを目標にして活動おしております。今回の作品も、ぜひ皆様に体験していだだき、楽しみながらなにか新しいことに思いを巡らせていただければ幸いです。今後の活動の励みにしてまいりますので、応援よろしくお願いいたします。

経歴
東京大学大学院学際情報学府学際情報学専攻先端表現情報学コース 修士1年
ポートフォリオサイト https://minori-products.wixsite.com/minori
 

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奨励賞(2名)

 

第3回アート&デザイン新世代賞 〜多くの若いアーティストの登竜門になることを目指し〜

作品名:「蟻は歩いてゆく」(ドローイング) ※左側:ドローイング 右側:記録映像一部抜粋

コンセプト
生きているものは文字ではないだろうか
一匹の蟻の歩いた軌跡を辿り、「ありはあるいてゆく」と文字が軌跡を追いかけていく。「ありはあるいてゆく」の中に一文のみ「ありはあるいてゆく」と書いてある。慣用句「本の虫」と意味を重ねている。

『蟻は歩いていゆく』は、その名前の通り、蟻が歩いていった軌跡に「ありはあるいてゆく」と追いかけて書いたドローイング作品。遠目には線状に見えるが、近づいて文字に見える感覚はただの軌跡に思いをはせて、意味を見出す時の感覚を想起させるよう関連付けた。この作品には一箇所だけ「ありがあふれている」と書いてある。「ありがあるいてゆく」という文字を書くとするなら最も「嘘がない」のはありの軌跡に書くということが最も「嘘がない」。縦書きの文字も横書きの文字も嘘をついているつもりではないのだけれども、嘘をつきながら書く側も見る側も形式を知らず知らずのうちに分かりあいながら文字を愉しむ態度が身についている。本に収まりが良い、美しく文字が見える、分かりやすい、みんなが読みやすい、上から下に読む、右から左に読む、統一される。文字は縦横に配置されていても解釈が一つしかできないことなどないし、この世には全く同じ小説は一つもない。文字や文学がどこかで自由でないということではなく、ただ、この作品でいえることは一つだけで「ありが歩いてゆく」という言葉を書くときに一つの嘘がない書き方はありの後を追いかけることであるということである。

受賞コメント
この度は賞をいただけることとなり関係者各位の皆様に広くお礼申し上げます。幅広く「言葉」をテーマにした賞で、作品を評価いただけたことを大変嬉しく思います。私のやっていることは一歩間違えばゴミと言われても差し支えない冗談みたいなやり方なので、時折立ち止まって「面白い」と言っていただけるととても嬉しいもので、今回は賞もいただけるとのことでさらに嬉しいなあ。という気持ちでいっぱいです。

経歴
東京藝術大学映像研究科メディア映像専攻・大学院生
 

第3回アート&デザイン新世代賞 〜多くの若いアーティストの登竜門になることを目指し〜

作品名:「あの日の標本」(コンセプチュアル・アート)

コンセプト
ラブレターは消えてゆくのか。
SNSで簡単に言葉を交わせる現代を生きる今、私はふと疑問と異議を感じた。確かに、LINEやメールは「今」をリアルタイムに伝えることができる。けれど、時が経ち「今」が「あの日」になった時、画面上で交わし合った言葉は意図せず消えてしまうこともある。たとえ残っていたとしても既成のフォントで綴られた言葉はどこか空虚で、それは私ではない誰かが言っていたかのような、あなたではない誰かと話していたかのような、無機質な文字の集まりでしかなかった。
しかし、ラブレターは違う。全てのものは過去になる。けれど、紙に染み込んだ言葉たちは物質として残り、あの日の確かな感情を封筒の中で生かす。あなたの筆跡に触れてみる。言葉はカタチを持たず不確かなものだから、触れられる言葉に人は安心する。かつて受け取った封筒をひらけば、生き続けた言葉たちがあの日を鮮明に蘇らせる。ラブレターは「時と感情を保存し続ける標本」であるのだ。今すぐ相手に届くというSNSの利便性や言葉の無機質な記号化は、現代の人々を急かし、焦らせ、不安にさせた。そうではなくて、人間のみが持つ言葉の価値は、もっとしっかりと噛みしめて味わえるほど、生身で、正直で、優しいところにある。言葉はたった今を共有するためだけにあるのではない。交わした言葉を過去としてなぞった時にこそ、言葉の持つ本来の温もりや厳しさを知らされるのだ。
この作品ではどこかの5人が残し続けたいと願った「あの日」を標本として保存した。残したいのには理由があって、そんな彼らが確かに感じたやり切れなさや、愛おしさ、苦しみはここでいつまでも生き続ける。そんな保存しておきたいあの日が、誰にでもきっとあるのだろう。

受賞コメント
このような賞をいただけましたこと、驚きと嬉しさでいっぱいです。ありがとうございます。
この作品は、私の机の引き出しで眠ることばたちのおかげで生まれました。もう期限切れのことばかもしれない。けれど、どうしてもとっておきたい過去は誰にでもあるのでしょう。
どうしたって確かにあったことはなくならない。今日があの日になったときにこそ、ことばは私たちに語りかけるように思います。

経歴
東京藝術大学美術学部デザイン科2年
 

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審査員 選評

 
■俵万智(歌人)

言葉をテーマにということで、小説、エッセイ、詩歌の応募も多く、それぞれ読みごたえがあった。が、言葉をモチーフにしたアート作品の面白さが、今回はまさったようだ。言葉でアートする、言葉をアートする、言葉にアートさせる……入賞作品は、いずれも言葉をアートの領域に引っぱりこむワクワクを感じさせてくれるものだった。
大賞の「とよこ」は、平面のものである(と私たちが思いこんでいる)書を立体にした作品。そもそも言葉は声として発せられるところから始まった。声は、目には見えないし、もちろん触ることもできない。それをなんとかとどめたいという思いが文字を生んだ。この作品は、さらにそれを手で触れることのできる三次元の世界へ昇華させたところが素晴らしい。全方位から見て触れられる文字。名は体を表すというが、まさに一人の女性が、とよこという名の祖母の立ち姿が、出現したような感動を覚えた。
(ただ、「今日の書道では変体仮名を扱うことのできるアーティストは非常に少なくなりつつある」というのは、そうでもないんじゃないかと思う。古筆に学べば必然的に変体仮名を書くことになるし、現代短歌を書作品にするときに、変体仮名を用いることは珍しくはない。)
以下は、言語表現で印象に残ったものへの感想を記しておこう。
郡司和斗の「春のコップ」は、時間が経過したからこそ歌える喪失感がよく出ていた。時間で濾過された透明感、とでも言おうか。「わたくしを裏返したら…」「さびしいと言ってしまえるたやすさを…」などが特に印象深い。そして、とてもリズム感のいい人だと感じた。
藤倉聡士「岳」は比喩のセンスのよさが光る。靄と山を海上の石油と水にたとえたり、二つの山を豪華客船の衝突としたり。哲学的なことを手ざわりをもって表現しているのもいい。
杉原織葉「そして世界は色彩を失う」は、ややナマな表現ながら、時代とシンクロしようという意志、社会への問題意識をかいたい。フランク・パヴロフの「茶色の朝」を思った。
馬宮勇人「夜の冷蔵庫」は、粗削りな表現ではあるが、発想がまことにユニーク。象形文字のくだりが最高だ。
鳥畑加奈子「言葉と野菜と果物と」は、詩心を感じる描写が魅力的だった。しめじの笠のひび割れ模様とか里芋の獣のような皮とか。その一つ一つで、私なら短歌にしてみたい、と思った。
言語表現の全体を通して何度も強く感じたことは「作品よりもコンセプトシートのほうが面白い…」である。作品として言葉を紡ぐと、かしこまってしまうのだろうか。この作品はこうして生まれたということを、素の自分が必死に伝えようとするその時にこそ、言葉が力を持つ。審査員という具体的な人間を思い浮かべるのがいいのかもしれない。これは、表現ということを考えるときに、とても重要なポイントの一つだろう。

第3回アート&デザイン新世代賞 〜多くの若いアーティストの登竜門になることを目指し〜

 
■島田成年(起業家)

いつも誰もが使用している言葉がテーマであったため、応募者の幅が広かったのが印象的である。どの作品も着眼点が面白く、コンセプトシートが優れていた。一方でそれが作品そのものには表現しきれていない点が大変惜しい。特に文章部門は最終選考に残る作品が少なかった。
応募数は少ないながら、立体アート部門には優れた作品が多く「とよこ」はまさに新世代賞のテーマに即したものであった。平安時代に発達し、明治まで使われた変体仮名を90歳の書道家である祖母の名「とよこ」で表現。悠遠なる言の葉が立体として、美しく新たにデザインされた点を評価した。
優秀賞には及ばなかったが、万葉集の一節を一字一字分解し、花として再構築した「花筏(ハナイカダ)ー令和のかたちー」や水滴に孤独という文字を封じ込め、混ざり合うさまを描いた「孤独が溶ける」などとても興味深い、楽しい作品だった。
今回、初めて審査員として参加したが、多くの作品の独創性やユニークな表現は新たなビジネスの芽に通じると感じた。最後に、普段は聴くことのできない若い世代の心の声を新世代賞を通じて感じることが出来たことに感謝したい。

第3回アート&デザイン新世代賞 〜多くの若いアーティストの登竜門になることを目指し〜

 
■辻仁成(審査員長・作家)

今回、令和になって最初の新世代賞ということもあり、テーマの中心に「言葉」を据えてみた。しかし、この「言葉」をモチーフにした作品作りというのがちょっとわかりにくく、また範囲が広すぎて難しかったのかもしれない。だいたい大きくわけて、文学作品と、言葉をモチーフにしたアート&デザイン系の作品とに分かれた。数は圧倒的に文学賞かと思うくらい詩や小説、散文での応募が際立っていた。けれども、言葉だけでの応募は文学賞への投稿作品ほど力の強いものがなく、ここはもしかすると、募集要項の範疇を決め込む作業に問題があったのかもしれない、と反省を持った。一方で、アート作家、デザイン作家側からの言葉へのアプローチには期待を超える非常に感性の高い作品が多数集まった。
最優秀賞(1名)
水口麟太郎さん(25歳)作品名「とよこ」(立体書体)はありそうでこれまでになかった斬新な歴史的試みが私を強く揺さぶった。ありそうでない、ということが議論になり、もしかするとこれに類似するオリジナル作品の存在への懐疑などもだされ、審査員とスタッフで全世界の類似作品を検索してみたが、水口さんの作品しか出てこなかった。つまりこれはオリジナルということだ、と分かった時、誰もが驚き、最優秀賞への異論は消えた。実に取り組み方、そこから立体オブジェに昇華させるアート性、どれをとっても秀でていると思った。消え去ろうとする歴史的な言葉をアート化し、立体作品化したことにこの人独特の着眼点を感じた。
優秀賞に値すると思っていた作品が、別のコンテストに応募されていたり、かつて展示会などで発表されたものがあったので、残念ながら、今回、優秀賞は当該作品なし、ということになった。できるだけチャンスを与えたいとは思っているけれど、未発表作品でないと上の評価は出せない、という審査員の一致する意見であった。
特別賞(2点)
緋桃香さん(24歳)作品名「花筏 ー令和のかたちー」(装飾美術)と眞鍋美祈さん(23歳)作品名「孤独が溶ける」(メディアアート)が選ばれた。「花筏」を私は面白いと思った。発想も面白いが、それを写真アートに昇華させている点を評価した。「孤独が溶ける」はその空想力の大きさに心を揺さぶられた。孤独が溶けていくというだけでも、すでに言葉のアートである。もっとも今回の新世代賞の主題に沿った作品であろうというのが評価のもう一つの理由であり、その着眼点に斬新さがあった。
そして、優秀賞がなくなったので、今回は新たに奨励賞を設けることとした。新世代賞は大人のための賞ではない。なので、落とすことよりも掬いあげることを仕事にしたい。若い人たちへのチャンスの賞にしたかった。そこで今回に限り奨励賞を設けることになる。
奨励賞(2点)
池田愛さん(25歳)作品名「蟻は歩いてゆく」(ドローイング)と小河原美波さん(20歳)作品名「あの日の標本」(コンセプチュアル・アート)である。「蟻は歩いてゆく」のち密な構図と無軌道な世界とのアンバランスな関係がけれども一つのバランスを作り出しているというこの人の発想が面白かった。「あの日の標本」は最初に優秀賞に推したいと思ったほどポエティカルな要素を多く含んでいたのだが、作品をこちらで引き延ばしてみると、そこには個別の何か、各人のドキュメンタリー、それぞれのヒストリーが存在してなく、コンセプトの勝利に過ぎないことに不満が残った。発想からふる第二、第三の斬新な試みを次回に期待したい。
しかし、今回の第3回新世代賞を通して、やはりこの賞は活字というものだけではなく、ポエジーなのだと気づかされた。そしてそれはあらゆるデザインやアートの中にあるポエジーをこそ対象にしている賞なのであろう、と気づかされた。第4回に向けて、ここで気づかされた方向性をより研ぎ澄まし、多くの若いアーティストの皆さんの登竜門であり続けられるような努力と、精進を続けていきたい。
皆さん、ご応募ありがとう。次回、さらに多くの皆さんのチャレンジを期待しています。

第3回アート&デザイン新世代賞 〜多くの若いアーティストの登竜門になることを目指し〜

 
たくさんのご応募、ありがとうございました。

 
 

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デザインストーリーズ編集部(Paris/Tokyo)。
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