PANORAMA STORIES
究極対決!カルボナーラ対カチヨ・エ・ペペ! Posted on 2025/10/11 辻 仁成 作家 パリ
おつかれさまです。
ぼくの大好物、カルボナーラ対カチヨ・エ・ペペを今日は特集します。
カルボナーラにはベーコンのようなグアンチャーレとチーズのペコリーノロマーノが必要になりますが、そんなものはない、という人にはカチヨ・エ・ペペでも、負けないほどのおいしさを出せます。
カルボナーラが肉味と乳臭さを醸し出すならば、
カチヨ・エ・ペペはシンプルなチーズの風味&黒胡椒で勝負です。
胃袋の調子で、ぼくはこの両者を使い和ておる次第です。
なので、今日は総力特集としまして、カルボナーラとカチヨ・エ・ペペの作り方を丁寧におさらいしてまいりたい、と思うのでありまーす。
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さて、ではまず、本場イタリアのカルボナーラからまいりましょう。
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「本場、イタリアのカルボナーラ、目安材料」
グアンチャーレ(豚バラ肉の塩漬け)、80g
ペコリーノロマーノ(パルメジャーノでもいいよ。両方混ぜてもいい)ちょっと多め。
ブラックペッパー粒、適量
卵黄2個、全卵1個(ベストは卵黄3個、全卵一個で、二人前を作ることになるが、今日は一人前なので、このサイズ感)
グアンチャーレは、日本でも、最近買えますよ。
ベーコンで作るのが日本だと主流だけれど、これが、ぜんぜん、違うので、一度、グアンチャーレで試してください。
ネットでも買うことが出来ます。
ベーコンでは出せない肉味があるんですよ。マジで。
大きな違いは、グアンチャーレは豚の頬肉を塩漬けしたもので、塩分、脂分が多い。塩漬けの段階で、スパイスも入っています。
ベーコンは、豚の三枚肉の燻製、らしい・・・。(燻製にしてないものもあるから、この辺、ごめん、詳しくはわからない。ぺこり。ペコリーノ)
グアンチャーレは頬肉で、脂が多い、ということかなァ。
グアンチャーレをすでにカットしてある便利なパックもあります。今日はこれを使いまする。普通、グアンチャーレは塊で売っていますから、包丁でカットしてくださいな。
フライパンに、カットしたグアンチャーレをそのまま放り込んで、熱します。
オリーブオイルとか入れる必要はない。というか、絶対にいれちゃいけない。
だんだん、火が入っていくと、脂が滲み出てきて、下の写真のようになります。
この脂のソースが、重要になるので、グアンチャーレがカリカリになるまで、火を入れましょう。
焦がしちゃだめで、カリカリというか、サクサクになれば、おっけー。
お菓子のカールみたいな感じになります。脂が出きったグアンチャーレは、サクサクなお菓子のよう。
次に、チーズを削ります。
ペコリーノロマーノじゃないといけないみたい、ローマでは・・・。
カルボナーラはイタリアのローマを代表するパスタなので、現地では、ペコリーノロマーノ、ということになるみたいです。
ちょっと、乳臭いので、パルメジャーノがいい、と思う時も正直あります。どっちやねん!
ぼくは、パルメジャーノで作っちゃうことも多いので、そこは、好き好きで、どうぞ。
両方を半々、混ぜて作ることもあります。
そこに、卵黄を2個、全卵を一個いれて、泡だて器を使い、高速で混ぜます。
そうすると濃度のあるソースが出来てきます。
そこに、グアンチャーレから出た脂を大匙2~3杯、入れて、さらに高速で撹拌させていくのだけれど、大量にいれると、熱で卵がダマになるので、ここがちょっとだけ難しい。
泡だて器の速度と、ちょっとだけ粗熱がとれたグアンチャーレの脂を加えると、イイ感じになります。
※ グアンチャーレの脂が、重要になる。
濃度はこのくらいでよいが、ローマに行くともっと濃度の濃いものが出てきます。
ぼくが全卵を一個だけ加えるのは、この濃度を少し、食べやすくさせるため。
イタリアの本物のカルボナーラは、濃度が濃すぎて、胃にもたれる感じ、すいません、ローマ人の皆さん。
体調のあまりよくない時とか、そういう時は、薄目がいいね。
一個だけ、全卵を入れるのも、日本人にはちょうどいい感じになる。
しかし、絶対やっちゃいけないのは、生クリームをカルボナーラにいれること。
これは、ローマ人から叱られてしまいます。
昔、生クリームをいれたカルボナーラを出したら、友だちのイタリア人は、口をつぐんで、頭を左右に振り、ノー、と言いました。笑。
で、サクサクに揚がったグアンチャーレをクッキングペーパーにとりだし、フライパンに残ったグアンチャーレの脂に摺った黒胡椒を入れて、加熱し、脂に黒胡椒感を加えます。
火を止め、粗熱がやや引くタイミングを見計らい、ここに、アルデンテに茹で上がったパスタを加え、絶妙に絡まったら、そこに、先の卵黄チーズソースを注ぎ入れて、合えるのです。
コツ。とにかく火を入れすぎないこと。絶対にダマにしないこと。この火加減が、カルボナーラ攻略の最初の壁です!!!!!
すると、このようになります。
ダマにならないように、火の加減をよく見てやってね。
ダマになると、やはり、カルボナーラとしては失敗になってしまう。
しかし、こういう失敗は人生につきもの。
失敗は成功の基だから、がっかりしないで、そこから、学びとり、次回、最高のカルボナーラを作ることが出来ればいいじゃないですか、ダマ・カルボナーラ!
大丈夫です。レッツ、トライ!
次は、きっと、よくできますよ。
美味しそうでしょ?
美味しいんですよ!
ボナペティ!
さて、続いてカチヨ・エ・ペペになります。
まずは、完成図から見てください。
こちらもローマ名物の「カチヨ・エ・ペペ」というパスタなのです。
カルボナーラとよく比較されますが、卵が入ってないパスタだけれど、これがね、カルボナーラに負けないくらい、美味い。侮れないのです。
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主な材料はこちら!!!
パスタ
パルメジャーノチーズ
ペコリーノチーズ
黒胡椒(白も!)
オリーブオイル
塩(あら塩のようなものがいいね)
でも、ようは、チーズと胡椒だけ。
はい、そして、こちらがパルメジャーノチーズとペコリーノチーズ。ま、3人分、パスタは、200gくらいかな、で、パルメジャーノが50g、ペコリーノは25gくらい。ペコリーノチーズはちょっと乳臭いので、そういうのが苦手な人は、パルメザンチーズだけでいいです。
でもね、ペコリーノが入ると、ぐんと本場に近づきますぞ。
黒胡椒をじゃりじゃりとひいて、フライパンで、炒ることからはじまります。
香りが、キッチン中に溢れたら、オッケーだよー。
黒胡椒を炒るのが、コツの一つ!
ひゃああ、たまらない。(ぼくはここに白胡椒もちょっと足します。ルール違反ですが、美味しいです)
これは、絶対に、うまい予感がする。
で、コツの二つ目は、ローマ人から教わったのだけれど、エンリケー。
茹でる水を少な目にする。ええええ、なんで?
そうすることでパスタのゆで汁がやや濃厚になるのだ。乳化によいらしい。
塩も、ぼくは多めにいれる。(皆さんは、味見をしてね。しょっぱいけれど、濃くが感じられるくらいがベスト。これで、乳化がすすむわけです)
で、パルメザンチーズとペコリーノチーズと炒った黒胡椒をボウルにいれて、ゆで汁、をお玉、2杯くらい、いれるんだけれど、ゆで汁が熱すぎるとダマになりやすい。
だから、ちょっと冷ますのだけれど、そうこうしているうちにパスタが茹で上がるので、ここは時間との闘いになります。
今日はゆで時間、10分程度のバリラの7番を使う。太い麺がいい。7番、最高
最初のひと玉は、茹でて5分くらいで、一度ボウルに入れて冷ましつつ、7分くらいのところで、もう一杯をボウルにいれて、やや冷ます。
けれど、冷えるまでは、無理。粗熱がとれるといいかな、くらい。
落ち着かせたところで、素早く、チーズと黒胡椒のボウルにうつし、高速で混ぜる。
そうこうすると、パスタのアルデンテの時間になるので、こちらも一度、湯切りをしてから、ボウルに投入し、混ぜる。
この辺ね、ぎりぎりかな、と思うんだけれど、やるしかないね。
最初はダマになっても気にしないでいいよ。何事も、慣れだから・・・。
最初の段階がこんな感じ。乳化がすすみます。これは、絶対にうまい、予感しかない!
パスタ茹で上がる直前がこんな。
で、そこに茹で上がったパスタをいれて、追いパルメジャーノチーズ、をかける。高速であえましょう。ここで、オリーブオイルをいれて、まろやかさを加えるのです。
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はい、お皿にもり、オリーブオイルを回し掛けして、追いパルメジャーノチーズ、追い黒胡椒、で完成となります。黒胡椒が超決めて。
カルボナーラのうまさとは、異なりますが、おお、なんか、ローマ人がすきそうな同じような素晴らしいパスタが出来たじゃあーりませんかー。
カチヨがチーズ。ペペが胡椒。
たまらない。
あなたが勝ちよ、ペペちゃん!
カルボナーラよりはシンプルで、気負わずに作れるから、いいね。
いくらでも食べられる予感がしますよ。
ボナペティ!!!
久しぶりに、NHK「パリごはん」の再放送が決まりました。
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「ボンジュール!辻仁成のパリごはん 2023SP」
今回は、NHK BSP4Kでの放送となります。
「ボンジュール!辻仁成のパリごはん 2023SP」
【再放送】 NHK BSP4K
10/13(月・祝) 午前9:30~10:59
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辻仁成、個展情報。
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パリ、10月13日から26日まで、パリ、ピカソ美術館そば、GALERIE20THORIGNYにて「辻仁成展」2週間、開催。
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1月中旬から3月中旬まで、パリの日動画廊において、グループ展に参加し、6点ほどを出展させてもらいます。
Posted by 辻 仁成
辻 仁成
▷記事一覧Hitonari Tsuji
作家、画家、旅人。パリ在住。パリで毎年個展開催中。1997年には「海峡の光」で芥川賞を受賞。1999年に「白仏」でフランスの代表的な文学賞「フェミナ賞・外国小説賞」を日本人として唯一受賞。愛犬の名前は、三四郎。