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年寄りになりつつある父ちゃんの現実飯、でも創作は終わらない! Posted on 2025/05/03 辻 仁成 作家 パリ

いつかは老いる、それは人間だから、しょうがない。
父ちゃんも、もう、老人と言われてもしょうがない年齢になった。
こんな年齢になっても、バカにされたり、時には誹謗中傷を受けるのだから、腹も立つ。
だから、そういう悪意ある世界に自ら近づかないようにするいことを、知恵、と呼ぶ。
すくなくとも、ぼくのことを好きでいてくれる仲間たちに囲まれて、余生は生きたい。
その一人が、マレ地区で画廊を営む、トマさんだ。
彼がグループ展にぼくを誘ってくれたので、はじめて、立体創作に挑戦してみた。
立体に絵を描くのははじめてだけれど、鉄の凹凸をやすりで油絵が馴染みやすく加工してから、油を落とし、おそるおそるも、一気に仕上げた。
タイトルは「命の詩」というのだ。詩と書くが、うた、と読む。
「めっちゃいいね」
とトマが喜んでくれた。
「マジで、凄くいいと思う。ずっと見ていたいな」
よかった。ギャラリストに気に入られるのがまず、最初の目標だったので、65歳の代表作が一つ、誕生とあいなった。☜個人的感想です。
「どうやって、展示する?」
「スタンドを作るから、立たせて、360度、見せたい。実は、この裏側に、油性マジックで面白いサインをしてある」
知足者富、という老子の言葉を記しておいたのだ。足るを知るものは豊かになる、ということ。欲張っても豊かにはならない。満足を知っているものは、心が豊だよ、ということ。コツコツと志を貫こうぜ、という教えである。
それ以上のものは必要ない、ということだ。いい言葉だ。身に染みるな。
生きることの本質、ここにあり。
老子の言葉の中で、一番好き。
「へー、それは面白いな」
ということで、一安心なのだった。

年寄りになりつつある父ちゃんの現実飯、でも創作は終わらない!

年寄りになりつつある父ちゃんの現実飯、でも創作は終わらない!

年寄りになりつつある父ちゃんの現実飯、でも創作は終わらない!

※ ギャラリストのトマさん。現在、フランスにおいては、彼の画廊でぼくは中心的に活動をしている。10月13日から、彼の画廊で、個展も決まっている。

年寄りになりつつある父ちゃんの現実飯、でも創作は終わらない!

※ 流れるような絵だけれど、筆はつかってない。なにせ、鉄だから、クトー(ナイフ)だけで、描いて、何層もニスを塗り、つややかな陶器のように仕上げた。実物はもう少し、光っています。えへへ。



ということで、老人になりつつある(しかし、心の中では、若返っているつもり)、独歩人の父ちゃんだが、創作をするには、エネルギーがいる。
今日は三田文学の岡編集長からも、締め切りの催促を貰った。頑張らないと。
そのためには、エネルギーだ。肉だ。肉を喰おう・・・。
ということで、焼肉定食にした。
ここでいつも紹介する気取った欧州料理とはかけ離れた和的な食事だが、実は、普段の父ちゃん飯は、こういうものが多い。
「いただきます」をするとき、あらゆるものに感謝をしている。
みなさん、ありがとう。
では、一応、目安レシピを・・・。いらん? いらんか、焼き肉だもんね。
そんなこと言わないで、読んでよ。

年寄りになりつつある父ちゃんの現実飯、でも創作は終わらない!

お肉をみりん、砂糖大さじ1、醤油大さじ半くらいのつけダレで30分ほど漬ける。

年寄りになりつつある父ちゃんの現実飯、でも創作は終わらない!

よく熱したフライパンに油を少しだけひき、さっと両面を焼いたら完成。
日本だと魚焼き器があるので、そこで焼くとより美味しい。うちの母さんも、魚焼き器でよくおいしいの焼いていてくれたの~。

年寄りになりつつある父ちゃんの現実飯、でも創作は終わらない!

年寄りになりつつある父ちゃんの現実飯、でも創作は終わらない!

見た目は普通だが、丁寧に生きる飯、なのである。
最近は、お酒もひかえて、ランニングもして、健康を維持し、一つでも、一作でも、多くの作品を世に残したいと思う父ちゃんなのであります。

年寄りになりつつある父ちゃんの現実飯、でも創作は終わらない!

そして、今日の父ちゃん。この秋で、66歳になる、もう、確実に初期高齢者だね。後ろの絵は、10月の個展用の作品で、通称「へその緒」であーる。



パリも連休中で、車は少ない。
でも、なぜか、観光客が多い。
三日月がきれいだ。
久しぶりにパリに戻ったら、行きつけのカフェのギャルソンさんたちが、喜んでくれている。驚くべきことに、今日は、コーヒーをサービスされてしまった。
パリも、いいね、しておこう!!!
ボナペティ!

年寄りになりつつある父ちゃんの現実飯、でも創作は終わらない!

年寄りになりつつある父ちゃんの現実飯、でも創作は終わらない!



つづく。

今日も読んでくれてありがとうございます。
三四郎のうんちをビニールバックで拾う時、匂いを嗅ぐと臭いから、息を止めて、急いで拾って、袋をしばるのだけれど、時々、タイミングを間違えて、息を吸って、やべー、臭いじゃん、となることがあります。そういうものを何度も経験しながら、そうか、また、失敗したか、あはは、と笑って生きている父ちゃんです。失敗は成功のもとです。皆さん、挫けないで、マイペースでやってください。えいえいおー。

年寄りになりつつある父ちゃんの現実飯、でも創作は終わらない!

年寄りになりつつある父ちゃんの現実飯、でも創作は終わらない!

※ 5月15日から、6月22日まで、グループ展は続きます。パリにお越しの皆さん、一点しか出していませんが、お立ち寄りくださいませ。

年寄りになりつつある父ちゃんの現実飯、でも創作は終わらない!

※ 7月9日から21日まで、三越日本橋本店、コンテンポラリーギャラリーで、個展開催します。岡山でもやります。詳しくは、また。

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