PANORAMA STORIES
日本滞在中にぼくがギャラリーTで作りに作ったうまい味。 Posted on 2025/08/07 辻 仁成 作家 パリ
おつかれさまです。
個展開催の7月、ひと月間にわたる日本滞在中、ぼくは西麻布にある東京拠点「ギャラリーT」で、打ち合わせを兼ねて料理をし、笑、仕事仲間、画廊関係者、編集者さんたちにごはんをふるまっていたんです。
三越の画廊に顔を出して、帰りに三越のデパ地下で材料を仕入れ、ギャラリーTで仕込んで・・・、えへへ。
好きなんですよね、料理が・・・。
東京生活、さんちゃんいないし、一人で暇だから、ワンオペで。
ということで、今回の7月のメニューをさっそくご紹介させて頂きます。
☆
アミューズ1,
泉州水茄子の手先きカルパッチョ。
アミューズ2,
ポルトガルのサーディン、エシレバター挟みタルティンヌ。
アミューズ3,
とうもろこしの冷製スープ。
アミューズ4,
干しだらのリエット、生ハムのせ。
前菜1,
盗作、赤坂鉄板割烹「さわ」の豚肉生姜まき。
前菜2,
たら肝のポン酢ジュレ。
前菜3,
真鯛のかわり握り寿司。
箸休め1,
焼き鯖のタルティンヌ。
メイン1,
旬の香味野菜ジェノベーゼによるパッケリ。
メイン2,
羊肉の一昼夜煮込み。
デザート、
加賀棒茶のブランマンジェ。
☆
と書きましたが、ゲストによって、この中から、3,4品を選んで出した感じですが、作ってみたら、こんなに、笑。
残りをタッパーに詰めて、宿泊している宿にもってかえって翌日の朝ごはんにしておりました。
忙しいのに、マジで、よくやりますよね。
あはは。
では、証拠写真をご覧ください。いちいちの説明をしてまいりますね。
※ 水茄子です、夏のこの時期だけのうまいものですね。手で割いてエクストラバージンオイル、柚子唐辛子、糸唐辛子、フラー・ド・セル、醤油1滴、最高でございました。
※ ポルトガル在住の友人、クリストファーさんからもらったサーディンの缶詰、このメーカーのサーディンがマジでやばいので、ポルトガル旅行の際には、ぜひ。
※ フランス人はバゲットをちょっとこんがりさせて、その上にバターを塗り、その上にサーディンをのせ、がぶっとします。赤いのは、バスクの唐辛子、ピーマン・デ・エスプレット、ま、日本の一味のようなものですが、優しい辛さが最高です。
※ 左上のが、干し鱈を戻して作るリエットです。
※ 生のとうもろこしを包丁でそぎ落とし、フライパンで炒めて、それをミキサーでジュレにするんですが、美味いですな。夏には最高です。
※ 赤坂の「さわ」さんという鉄板焼き屋さんがあり、そこで出ている豚肉で新生姜を包んだ一品がめっちゃおいしくて、盗作させてもらいました。さわさん、お許しを。
※ 新生姜がほくほくになる贅沢な一品です。
※ 茅乃舎さんのつぶポン酢で作った、たら肝のジュレなんですが、日本は暑いから、こういう冷製のアミューズは喜ばれますね。酸っぱいのに、やや甘い、のが売りです。胡麻のようなものは、フランスの蕎麦の実になります。これを炒って載せると、カリッと、クロカンな、うまさ。
※ ぼくの絵も展示してあります。
※ 最近、握り寿司にこってまして、毎回少しずつ、味をかえて、出しました。基本は真鯛ですが、スズキの時も。
※ 茄子の漬物もあいます。
※ グループで借りて、食材持ち込みでパーティなどにご利用されている人が多い、らしく、あと、シェフを連れてくる人もいるそうで、あ、近くでレストランを経営していた方が長野に移転され、毎月、東京のお仲間を集めてホームパーティをやってくださっているそうです。ありがとうございます。
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ただ、キッチンの換気が弱いので、フライパンでガンガン炒めるような料理にはむきませんので、もうしわけございません。設計士の須藤さんに解決策を依頼中でございます。
※ 焼き鯖をサーディンの方法でタルティンヌにしてみたら、美味かった。
※ なんか、日本で見つけたちょっと香味のある野菜でジェノベーゼっぽいものを作ったのですが、これも、美味しかった。ハンドミキサーがあればできます。
※ いつもグーラッシュ作るんですが、今日は、モロッコの調味料を大量にパリから持参してきたので、モロッコとハンガリーの中間的な煮込みになりました。ナショナル麻布マーケットで羊肉、冷凍ですが、買えます。ぼくは柚子を大量に使うので、もはや、和風煮込み料理といっても過言じゃない域。
※ 同じくナショナル麻布マーケットで買える、メルゲーズソーセージ。子羊かな。これを載せると、クスクスになりますかね。
※ 加賀棒茶のブランマンジェって、手間は多少かかりますが、かなり、風味がきいて、極上になります。ただ、今回は一回しか、作れませんでした。笑。何回、やってんねん。10組くらいかな・・・。ワンオペってのが凄いね、最大8人こなしました。あはは。好きすぎる料理人。
今回、三越で行われた個展に展示されていた「時の記憶」の60号が、ギャラリーTが入っているホテルエントランスに、飾られました。暗いエントランスだったのですが、あか抜けした感じで、やっぱ、辻画人、すごいな、と自画自賛の雨霰で、申し訳ございません。
誰も褒めない場合、自分で自分を褒めると、元気が出ます。
※ 宣伝みたいで恐縮ですが、ギャラリーTのHPが出来たので、お知らせします。オーブンとか、IHなどすべてフランス製品ですから、父ちゃんレシピの再現に適しております。笑。自分がやりやすいだけですが・・・。
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https://gallery-t-hr.com/
ということで、個展情報!!!
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パリ、10月13日から26日まで、パリ、ピカソ美術館そば、GALERIE20THORIGNYにて「辻仁成展」開催します。ピカソもぶっ飛ばす勢いです。
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2026年、1月中旬から3月中旬まで、日動画廊パリにて、グループ展に参加します。秋頃に、詳細が決まります。
また、お知らせします。
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そして、毎月3回やっている人生を語り倒すラジオ・ツジビルはこちらから、です。どうぞ。
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Posted by 辻 仁成
辻 仁成
▷記事一覧Hitonari Tsuji
作家、画家、旅人。パリ在住。パリで毎年個展開催中。1997年には「海峡の光」で芥川賞を受賞。1999年に「白仏」でフランスの代表的な文学賞「フェミナ賞・外国小説賞」を日本人として唯一受賞。愛犬の名前は、三四郎。