PANORAMA STORIES
ノルマンディ・アトリエ日記(ハロウィーン初体験) Posted on 2025/11/01 辻 仁成 作家 パリ
某月某日、ハロウィーンなフランスなのである。
どこもかしこも仮装した子供たちであふれていて、とってもかわいいのだ。
でも、子供の写真は勝手に撮影できないので、想像してもらいたい。
悪魔が人気みたいでみんな黒装束ないでたち、勝ち誇った顔で村営道路を闊歩していた。親御さんも仮装していた。
いいね。
ハロウィーンを喜ぶ子供たち、幸せな世界だな。
で、村の子供たちが、父ちゃんのアトリエにも「お菓子」をとりに来るかもしれないから、一応、チュッパチャップスとか、ハリボーなんかを買って用意しておいたのだけれど、日本の仙人でもある父ちゃん画人のアトリエには誰もやってきませんでした。
あはは、恐れられているのかも・・・。
☆
ということで、三四郎のために父ちゃんもかぼちゃを買って、くりぬいて、家の前に飾ることにした。
しかも、辻という漢字をデザイン化してみた。いかがであろう。
ハロウィーンを楽しむ辻仙人なのじゃ。

こういうカボチャは、飾り用で、中をくりぬいても食べられない。
だいたい、5ユーロくらいで人間の頭の倍はあるカボチャを買うことが出来る。

商標登録「辻」印!!!


やっと小説「泡」の第三部を開始することができた。
週明けには第三部をスタートしたいと思うておる。
ということで、世の中はハロウィーンなのだけれど、父ちゃんには関係ないので、蕎麦を茹で、ルッコラもおひたしにしていれた。名付けて、ノルマンディ「ルッコラ」蕎麦なり。
美味い!!!!
ルッコラの苦みが蕎麦とあう。ほうれん草よりも、苦みがあって、ちょうどよい。
☆
この下の写真のようなものを、ジャック・オランタンというのだって。

中に蝋燭を入れると本格的になりまする。
☆割り込み日記☆
(記事を加筆、アップしてから3時間後、夜20時の出来事)
不意に、ドアベルがなり、驚いて出ると、なんと、なんと、仮装した子供たちがずらりと並んでいたのだ。
父ちゃん、びっくりして、飛んで戻り、用意していたお菓子を彼らにあげたら、
「メルシー、ムッシュ、ボンソワレ(良い夜を)」
と言ってくれた。
なんで、気づいたのかな、と玄関で振り返ると、ジャック・オランタン(かぼちゃの仮面のことね)に光が灯っていて、それが道から見えたんだよね。つまり、それが合図になって、彼らを引き寄せたというわけ。おおお、すごー!!!
初体験だった。
在仏25年、初体験のハロウィーンでした。
嬉しい。
なんと、いいことありそうじゃないか。

※ ここから、元の日記に戻りますね。
☆
というわけで、夕食です。
まるで六本木あたりの蕎麦屋の写真みたいじゃないですか?
右上が前にご紹介した赤坂「澤」の岡シェフから教わった豚肉の生姜巻き。横が卵焼き。横が揚げ豆腐(フランス人が作って売ってる揚げ豆腐なんだけれど、普通に最高なんです)いや、今日も食が充実をしておった。
で、日本酒は、オペラの蕎麦屋「東郷」の松井ご夫妻が個展に来た時に持って来てくださった「堂山」辛口、であった。
うううう、美味い。
蕎麦との相性抜群であった。
小説「泡」にも仙人が登場をするが、父ちゃんの30年後をイメージしているので、ぼくの顔をあてはめて、お愉しみくださいませ。
さんきゅー。



子供たちは日本人画人仙人を怖がったか、来なかったので、このお菓子は、父ちゃんが作業の合間に食べることにする。
はい、ということで、お疲れさまでした。
また、明日。

パリ展覧会情報。
☆
1月中旬から3月中旬まで、パリの日動画廊において、グループ展に参加し、6点か7点ほどを出展させてもらいます。
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Posted by 辻 仁成
辻 仁成
▷記事一覧Hitonari Tsuji
作家、画家、旅人。パリ在住。パリで毎年個展開催中。1997年には「海峡の光」で芥川賞を受賞。1999年に「白仏」でフランスの代表的な文学賞「フェミナ賞・外国小説賞」を日本人として唯一受賞。愛犬の名前は、三四郎。



