PANORAMA STORIES
小さい秋、見つけた。軽井沢日記(15号室、森の朝食) Posted on 2025/11/17 辻 仁成 作家 パリ
おつかれさまです。
軽井沢に行くと、ぼくが必ず泊まる部屋がございまして、15号室なんです。
そこは本当に落ち着く、オーベルジュの一室です。
今はちょっと事情があって、夜ごはんをやっていませんが、そのかわり、とっても美味しい朝食に力をいれておられます。
森の朝食をご覧ください。
お部屋もご案内いたしますね。

15号室からの眺めです。
正面の右手が日本酒バーで左手が今は休んでいるレストラン・プリマベーラになります。
皇室の方が昔はお見えになっていたのだとか、・・・。す、すご。
だって、佇まいが素敵ですよね。

オーベルジュとは、食事が出来る宿のことなんですが、今は、新装オープンまで閉まっていますので、来春からまた、オーベルジュがスタートするんじゃないでしょうかね、愉しみ・・・。
ぼくはいつも決まって、15号室なんですよ。はい、15号室。

ここには、小さな天窓がありましてね、朝、その光が、「起きなさいよ。楽しい朝だよ」って、起こしにくるわけです。
それが素敵です。


なんと、部屋にはサウナがついていて、そこで身体と心を整えます。
寒い時期のサウナは格別ですね。
自分だけのサウナって、人を気にしないでいいのが楽だし、心置きなく身体を温められるので、申し分ないですね。
孤独を内側から癒してくれる北欧のサウナがついている15号室、幸せでした。
また、必ず、戻って来るよ。


そして、こちらのお宿(プリマベーラさん)ご自慢の朝食がこちら。
2階の朝食テラスで皆さんは食べられるんですが、ぼくはお部屋で、一人で周囲を気にしないで食べるのが好き。
洋バスケットにいれて、持って来てくださいます。森のギャルソンさん・・・。
かなりのボリュームで、食べれない、と思いましたが、なんと、完食してしまいましたよ。

手前、右が森のリゾット、左が森のサラダ。真ん中が、森のソーセージ、右上のが森のフルーツ、そして左は森のスープなんです。
軽井沢で有名なパン屋さんの食パンとクロワッサンがついてきます。(めっちゃ、美味しかったです)


それにしても、おすすめはこの半熟卵がのっている森のリゾットでした。


カーテンを引き開けると、目の前は森で、深呼吸したくなりました。
ちょっと忙しくて、自分を失いかけていましたが、心が整いましたよ。

まるで金閣寺のようなこちらのレストラン棟になります。
ゴージャスですが、・・・。
でも、そこまで値段高くありません。
そこがオーベルジュの魅力ですね。

はい、父ちゃん、綺麗な心を取り戻しました。爽やかな秋の日のオーベルジュでの宿泊、おすすめします。
ええと、15号室がぼくの部屋ですから、・・・。
ぼくの絵を飾ってほしいけれど、それだけが小さな不満でした。
小さな秋、素晴らしい滞在をありがとう。
じゃあ、今日も精一杯生きたりましょう。
えいえいおー。
辻仁成の展覧会情報ですが、
2026年、1月15日から、パリ、日動画廊、グループ展に参加。
2026年、11月には、リヨン市で個展が決まりそうです。版画なども出す予定。情報解禁になったら、まっさきにお知らせいたしますので、リヨン周辺在住の皆さま、お楽しみに。
2026年、夏に日本でも個展を開催する予定ですので、8月前半、スケジュールあけておいてくださいまし。
Posted by 辻 仁成
辻 仁成
▷記事一覧Hitonari Tsuji
作家、画家、旅人。パリ在住。パリで毎年個展開催中。1997年には「海峡の光」で芥川賞を受賞。1999年に「白仏」でフランスの代表的な文学賞「フェミナ賞・外国小説賞」を日本人として唯一受賞。愛犬の名前は、三四郎。



