ノルマンディ、ツジ村便り
辻村相談窓口、「相談をしたいのは父ちゃんである」 Posted on 2026/03/28 辻 仁成 作家 パリ
おつかれさまです。
今日は、父ちゃんから皆さんへの相談という、相談窓口始まって以来の、珍事となります。
はい、では、まいりましょう。
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匿名希望HTさん
「ええと、高齢の母がおりまして、急に体調が悪くなったということで救急車で病院に搬送されまして、自分が海外在住なものですから、大急ぎで実家のある博多に戻りました。で、ま、危ない時期は越えまして、なんとか、なりそうなのはよかったのですが、今後、90歳を超えているので、世話をしている弟も若くないので、どうやって介護をしていけばいいか、と次の段階で悩んでおります。手探りで後期高齢者の介護問題と取り組んでいるところですが、そんなぼくに励ましのお言葉ください」

はい、おこたえしまーす。笑。
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「実は、似たような問題がぼくにも降りかかっておりますので、答えにはならないと思いますが、時系列で、お伝えいたします。HTさん、参考になれば、幸いです。
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実は、ぼくも母さんが倒れて入院をしたので、予定を大幅に変更をしまして、博多入りしたところであります。相談窓口とかやってましても、こういう問題はあらゆる人に降りかかる問題なのだということを、まずは、書かせて頂きます。
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母さんはもう90歳なので、いろいろとありますね。一時は覚悟をしないとならない感じの連絡が弟から入りまして、仕事をキャンセルして、とるものもとらず、実は福岡入りしておりました。
そこで、病院の担当医、もともとの主治医先生とか弟と会って、一応、危険な段階は越えましたので、・・・今後の対策とか、要は将来の介護の問題などを、話し合っているところです。生まれて初めて、ソーシャルワーカーさんともお話をさせてもらいました。
アートカレッジもまもなく開校ですし、ラーメン博物館イベントも目前に迫っている中、重なるものは重なるもので、落ち着かなく、動いているところです。
ちょっと身体がきついですね・・・。でも、一番不安定なのは、やっぱり、気持ちの持ち方、というか、魂の位置が、定まらない感じなのがいやですねー。とはいえ、母さんの方がはるかに大変なので、いつの瞬間が最後の顔合わせになるか、とドキドキしながら、面会をしています。


で、90歳ともなると、入院も長くなります。現在は、救急病院にいます。一番危ない時期は越えまして、集中治療室から個室に昨日、うつりました。問題の箇所が元通りになるまで、転院もふくめて、数か月かかりそうな感じです。ホルムズ海峡の封鎖で世界経済が混乱しているその不安定要因もここに拍車をかけてきておりますが・・・。
体力を維持させながら、リハビリをして、自宅に戻れるか、そのまま介護ケアの病院暮らしになるか、その辺は、様子をみて、これから、という感じです。
ラーメン博物館、アートカレッジの開校のこのタイミングで、高齢の母さんの問題も重なり、各方面にもご迷惑をおかけしている状態ですけれど、もうしわけございません。東京と福岡を行き来しながら、お医者さんらと今後のことを協議して、また、パリに戻る、という感じになるかな、というところです。
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人間には、頑張れば自分で切り開ける道がある一方、自分ではどうすることも出来ない、そこをとりあえず潜らないとならない人生トンネルなんかもございまして、まさに、今は、そこ通過中です。
以前から決まってこの日に向かって動いてきたものごとをごまかしごまかし処理しながら、目の前の問題も動かしている、というところで、ちょっと身体よりも、ぼくの精神状態が不安定な感じではありますね。というか、落ち着かない、ということです。それでも、仕事は途切れないですし、母さんは待てませんから、祈るような思いで、今はここで、中洲の街の夜景をみながら、ビールを飲んでいるところであります。

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焦ってもどうにもならないこと、人生には順番もありますし、その押し出されていくような運命と共に、流されることも、時には必要ですし、自分ではどうすることも出来ないものが、90歳の母親にもあるわけで、そこは、時間を作って、隙間をぬって、寄り添う感じで、何かが安定するのを待つしかない、感じではあります。
弟と先生と離れた後、心が落ち着くまで、中洲をひたすら歩きました、深夜に・・・。
でも、優しかったですよ。
ふらりと入ったラーメン屋も、美味しかったです。名前さえわからないラーメン店でしたが、博多の味でございました。
こういう時は、ラーメンがいいですね。温まりました。
中洲のど真ん中で、手招きされるがままに入りまして、お腹に注ぎ込みました。
苦しい時はジャンジャン炒めてガンガン食べなさい、というのが、母の教えですから、・・・。笑。

さあ、母さんの問題は、だましだまし、やっていくしかないでしょう。弟が頼りになるやつなので、長い付き合いの先生もいるし、なるようにしかならないので、今日はここまで、やすみます。
また、明日!」




