PANORAMA STORIES
いちごのバルサミコロースト Posted on 2026/06/18 KAORU フードアーティスト

少し前のことだけれど、母の日に実家へランチを作りに行った。母の日も母の誕生日も、何を渡そうか毎年迷ってしまう。花束を渡せば「あらもったいないわ…」で、プレゼントを渡すと「もう、お金使わないで、物入りでしょ…」だ。
喜んでいるような表情を浮かべて困った口調で母は言う。手応えいまいちなまま、気づけばまたすぐに次のお祝い事がやってくる。今年は何をしようかなー嬉しそうな顔が見られるといいな…
母の日の2日前に、母とメッセージでやりとりをしていた。「母の日、空いてるから何かランチ作りに行くよー」。これには「あらー嬉しい。忙しいのに悪いわね、簡単でいいわよ。」と素直な返事。やることが決まってほっとした。

ついでにリクエストもあった「牡蠣のパスタ、食べさせていただけるのかしらん」。牡蠣のオイル漬けを使った超濃厚なソースで作る牡蠣のパスタはわたしのおはこなのだ。自家製の牡蠣のオイル漬けを贅沢に使い、白味噌などを加えてペースト状にしたものをソースにし、しそ、多めの黒胡椒、柑橘でさっぱりと味をしめるパスタで、牡蠣の時期に毎年作っている。母をはじめ、友人にもこのパスタのファンたちがおり、冬になるとリクエストしてくれる。
ちょうど4月に母と金沢へ行った際に、近江町市場でシーズン最後の絶品能登ガキを大量に入手し、オイル漬けにしてあった。これを冷蔵庫に大切に保管してあることを母は知っていたので、食べたい気持ちもさることながら手間を取らせない為にもリクエストしてくれたのだろう。

すぐにメニュー構成に取り掛かる。といってもそんなに大袈裟なものではなくて3品に絞ることにした。メインのパスタとちょっと気の利いたサラダ、それからお祝いのケーキ。シンプルで少しツイストの入ったいちごのショコラショートケーキ的なものが浮かんだ。花束の代わりに、いちごと共にお花をケーキに飾ろうと思った。どちらかというとわたしにとってはこれが今回のメインキャラクターだ。
5月、日本ではいちごが旬の名残を迎える。見た目は真っ赤で美味しそうでも食べると風味の薄さが目立つものが多くなる。そんないちごはローストするに限るのだ。まとまった量を買ったら全部縦半分に切って、オイル、ビネガー、はちみつと少しのお塩をくわえて混ぜ合わせ、オーブンシートに広げたらローストするだけ。
このローストしたいちごをたっぷり使ったケーキを作ろう。新しく試したしっとりめなショコラ生地と合わせて、生クリームがあまり得意でない母にも食べやすいケーキができそうな予感がした。

材料
いちご 1パック 約300g
ホワイトバルサミコ酢 大さじ3
ココナッツオイルまたはオリーブオイル 大さじ1
はちみつ 大さじ1〜2
塩 少々

作り方
いちごを縦半分に切り、全ての材料をボウルで全体がよく絡むように混ぜ合わせたらオーブンペーパーを敷いたトレーに断面を下にして重ならないように並べ、150度のオーブンで約20分ローストする。
いちごの甘さによってはちみつの分量を調整する。ピークの甘さの時には入れなくても十分美味しい。


オイルはココナッツオイルやオリーブオイル、ビネガーはホワイトバルサミコやシェリー酒ビネガーやホワイトワインビネガー、はちみつの代わりにアガベでもいい。いちごをジャムっぽくジューシーにさせたいか、少し固めにもちもちさせたいかによってローストする時間を短い〜長いに調整すればよい、という至ってフレキシブルでフィーリング重視(わたしはいつも目分量)なレシピなのだ。
<いちごのローストを使ったおすすめのレシピ>
◾️ブラータチーズの前菜
ブラータチーズまたはモッツァレラチーズにローストいちごをたっぷりとのせて、ちぎったバジル、フレイキーなシーソルト、バルサミコ酢、オリーブオイルを合わせる
◾️朝食に
ギリシャヨーグルトにグラノーラ、ローストいちごをのせたらはちみつをかける
◾️冷たいデザートに
バニラアイスクリームにカカオニブとローストいちごをのせる



Posted by KAORU
KAORU
▷記事一覧フードスタイリスト/ディレクター、レシピ開発者、雑誌「七味」編集長。企業やブランドなどのレシピ制作のほか、連載コラムの執筆、ファッションブランドとのコラボレーション、国内外での個展開催など、アーティストとしても幅広く活動している。


