ノルマンディ、ツジ村便り

辻村相談窓口、「成功と失敗」 Posted on 2026/06/21   

おつかれさまです。
三四郎がいないと、もしかしたら、一歩も家を出ないんじゃないか、と思い、思わず、苦笑した、ノルマンディの仙人父ちゃんです。笑。
なので、世界とつながるデザインストーリーズへの投稿はぼくにとって、実にいい気休めになっているんです。皆さん、ご愛読ありがとうございます。

さっそく、相談窓口を開きましょうね。
匿名希望Zさん
「あくまで辻さんにとって、成功とはなんですか? 何をもって成功と思うんでしょう? そして、失敗についても同じ質問です」

辻村相談窓口、「成功と失敗」



おこたえしまーす。

「成功と失敗、ふふふ、いい質問ですよね。来たな、と思いました。若い頃は野心家でしたからね、成功を目指したこともあります。その結果、大失敗をした、と思ったこともあります。実に人間的でしたね。成功は、自分が思ったところに辿り着いた時に感じたし、たどり着けなかった時に、失敗を覚えました。でも、それから年月が過ぎ、今の自分はちょっと違っています。この間、仕事をしながら、まさに、成功とはなんだろう、と自問したところだったんですよ。ぐっどくえっしょん! 

で、よく考えたら、自分が納得するかしないか、が、自分にとっての成功であり、失敗かもしれません。納得がいって、満足ができて、気に入ったものが、ぼくにとっては成功というよりも、いい結果、と感じることが多いようで、気に入らないものを評価されることくらい悔しいことはないです。たとえば、絵とかね、ギャラリストにいくつか見せるわけですが、彼らが「いい」と評価してくれるものが、自分が好きじゃない作品だったりすることをぼくは不幸と呼んでいます。でもね、絵だけは、人間って、好き嫌いマジで激しいんです。なので、自分の作品でも、ある人は好き、ある人は嫌い、とだいたい真っ二つに分かれます。それである時、画廊に提出する作品は、自分が気に入っているものだけにしようと決めたんです。それで仕事はしない、という画廊もありますが、そういうところとはしません。なぜなら、自分の本質を理解出来ないところで絵を発表しても自分にはなにも喜びがかえってこないからです。じゃあ、最初から見せなきゃいいじゃん、となりますが、作家も、迷うことがあってですね、笑、「辻さん、他にないの?」と言われると、思わず「ありますけど」って見せちゃったりするんです。ぼくの中で、ボツの作品なんだけれど、それを絶賛されると、最初は嬉しいんですが、引き渡せず、ナイフで切り裂いたこともあります。それは自分が許せないからで、そこで失敗なんです。

変な話ですが、小説も一緒で、連載をしたけれど、世に出さなかった長編小説が数作品あります。フロッピーを叩き割りました。でも、失うというのと違うんです。自分を貫いたことで、自分は満足できるので、それは正しいことなんで、成功なのよ・・・。個展の依頼がある程度来るようになった今、絵描きみたいなことをしているわけですが、購入された方への自分の責任というか役目というか、そこは、気に入らないものは出さない、という自分の信念があることです。前はパリの事務所で作業もしていたので、ゴミ箱に入っている絵を見て、スタッフさんが、何でこれ捨てるんですかって、言われたことが何度かあります。菅間さんが生きていた頃にも、彼女にも言われました。自分が最後まで胸張って、この作品はいい、と言い切れないものがあるのなら、みんなが褒めても、それはぼくにとって失敗作なんです。成功と失敗とは何か、と訊かれたら、ぼくは、自分が心底気に入るか、気に入らないか、だと思います。もし人生の最期に、人生を振り返るとしたら、納得出来たか、出来なかったか、を考えるでしょうね。恐ろしいことですが、死の間際にぼくは後悔だけしたくないので、だから、毎日を自分に偽ることなく、精一杯生きているんだと思います。世間的な成功がその時になくても、ぼくは自分の好きな作品だけがこの世に残っていることを誇りに思いたいからです。残念ながら、若かりし頃、過去、そうじゃない、ものもありました。でも、これからは、ぜったいに、気に入らないものは、世に出さないぞ、と決めているんです。自分が生み出した作品ですから、自分で粉々にする義務があると思って挑んでいます。ご安心ください。あなたがもしもぼくの絵を持っているのなら、それは作家が心底気に入っている作品に違いありません」

辻村相談窓口、「成功と失敗」



辻村相談窓口、「成功と失敗」

父ちゃんの独り言、&、近況のようなもの。
歳をとると背中が丸く巻いて来るので、最近は、姿勢を正す、が、大きな目標になっています。三四郎しかいなくても、背筋を伸ばして生きています。
お酒は順調に減っていて、体重もゆっくりと減っています。今日のスクワットは250回でした。朝、ビタミンD、B、Cを摂取しています。
ちなみに、昨日は、スーパーで買った5ユーロのお惣菜を、昼と夜で半分ずつ、食べました。一食、2,5ユーロだったので、得した気分です。それに美味しかったんですよ、スーパーのお惣菜。豚のロースステーキと、野菜のグリルで、5ユーロ。今、円がどん底なので、5ユーロ=850円くらいのイメージですが、20年前だと、500円でした。その当時のイメージがあるので、5ユーロ500円、と心の中で思って、生きています。もう、円が上がることはない、と思っています。さまざまな状況からかんがみて。1ユーロ=190円は、間近ですかね。200円も・・・。でも、ぼくはずっと1ユーロ100円で生きます。その感覚で、乗り越えているんです。ぼくはお金がなくても楽しんで生きることは可能だと思うタイプです。

父ちゃんの個展は8月5日から11日まで。三越日本橋本店、特選画廊全面にて、行われます。辻仁成展「鏡花水月」
10月22日~25日は、パリのコンコルド広場に、父ちゃんの6メートルの壁が出現します。作品は入れ替わりますが、11作品展示予定です。初のアートフェア、パリ・モダンアートフェア。近づいてきたら、ここで、中に自由に出入りできるQRコードを出しますね。なくても入れますが、手続きに時間がかかるらしく・・・。
そして、11月、第18回リヨン・ビエンナーレに正式参加となりました、辻仁成展「Les Invisible Lyon」が、11月5日から3週間、リヨンで行われます。詳しくはビエンナーレ側と画廊が話し合っているので、もろもろいい展開が決まったら、また、ここで・・・。いい展開がない場合は、沈黙します。

じゃあ、ランニングに出かけます。とんとんとん。

辻村相談窓口、「成功と失敗」

※ こちらをクリックくだされば、父ちゃんの美術サイトへ、飛びます。

辻仁成 Art Gallery



自分流×帝京大学