ノルマンディ、ツジ村便り
辻村相談窓口、「老後について」 Posted on 2026/08/24 辻 仁成 作家 パリ
おつかれさまです。
さっそく、相談窓口を開きたいと思います。
えいっ!
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匿名希望Kさん
「辻さんは老後のことを考えたりされますよね? 用心深い方ですから、きっと、10年後、20年後、もしかすると30年後の自分の人生設計とかあるかもしれないな。それで、聞きたいな、と思いました。辻さんは、どういう老後を想像されていますか」

おこたえしまーす。
「なぜかわかりませんが、ぼくは死なない気がするので、気が付いたら結構長生きしちゃってるかもしれませんよね。おとなりのミッシェル翁は、92歳で、まだぴんぴんされています。人知を超えた生命力のある方です。娘さんが、ぼくと同じ歳なので、今は娘さんご夫婦が時々やってきて安否を確認されています。いい人たちなので、そこは問題ないですし、ミッシャルは自炊をしているし、時々、ぼくのためにケーキを焼いて持って来てくれたりもするので、まだまだ、彼の新記録を更新して、どこまでも生きそうです。ほんとうにスーパー翁なんです。でも、それは稀ですよね。ぼくの母のように介護病院に入ったり出たりしながら、用心に用心を重ねて生きている人の方が圧倒的に多いと思います。人生100年の時代ですから、みんな確かに長生きになっていますが、92歳で完璧に一人で生きている人は超レア。
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ぼくの場合、息子はパリにいますが、ぼくに何かがあった場合、ノルマンディまで飛んでくることは出来ません。東京ー福島くらいの距離がありますからね。たまたま、今日はうちにガールフレンド君と二人で遊びに来ています。やっぱり、傍に親族がいると、安心できます。仕事が連日忙しいようで、今は疲れたといって寝ています。あの子がどうやってこれから社会の中で地盤を作っていくことが出来るのか、そこが目下のぼくの一番の悩みでして、そういうわけですから、自分のことを心配する状況ではありません。でも、ぼくは老後に関しては、覚悟をしていて、誰にも迷惑をかけたくない、というのは一点あります。その時はその時を受け入れること、と決めているから、じたばたすることはないかもしれません。ぼくは遺言書を書いてそれを弁護士さんに預けてあります。息子が慌てないように、です。たとえば、お墓には絶対に入りたくないので、法的に問題がない海にまいてくれ、と書きました。ハワイとか、フランスでも、日本でも、世界各地に、一部の海で散骨が認めらているんです。小説「日付変更線」執筆時に、そのことを調べたのは、自分の将来を考えて調べているうちに、海の中に戻る、という埋葬方法に関心を持つようになり、ある時、それを小説の題材にしちゃったんですね。ただし、船で沖まで行かないとならないんです。フランスだと、海岸から300メートル先に散骨可能。ハワイだと3カイリ先に散骨可能。日本だと1カイリ、・・・そりゃあ、そうですよね。人の人生の後始末、の仕方、うーむ、みなさんはどうされたいですか?
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ぼくは根っからの自由人なので、地面に埋められたくない、と子供のころから思って生きてきたので、自然、海しか、最終地が思い浮かばなかったんです。知り合いに「宇宙に散骨されたい」という人がいましたが、それはちょっと寂し過ぎるので、やっぱり、海がいいですね。火力の強い火葬にすると、骨が掌にのる分しか残らないそうで、しかも、サラサラなのだそうです。出来る限り燃やしてもらい、息子のポケットの中から、海にそっとばらまいてもらえたら、それが一番の希望なんですが、さあ、どうなることでしょう。そもそも、ぼくは死なない気がするので、これは生きている限りにおいては、わからない問題でもあります。それに、そういう未来を想像する意味があるのか、というのがぼくの哲学なので、そこであまり悩むことはありません。そっと、細かく、遺言書に書いておきましたので、この話はここまでですが、遺言を書く、ということがすでに、老後が近い証拠でもあります。笑。ま、ぼくの場合、ぼくが死ぬと、息子くん、フランスには身寄りがなくなる、というのがあるので、そこがずっと、気がかりです。幸いなことに、優しい恋人が寄り添ってくれているので、今は「成功より幸福をめざしてほしい」と伝えてあります。
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そうそう、個人的には、日々を健康に生きたいと思っています。だから、運動は続けています。ライブ活動を再開したのも、2時間歌うということが出来てるあいだは、健康じゃないです。ぼくは毎日、何度も、筋トレをしています。普段使わない筋肉から老いていくので、姿勢を正し、三四郎と遊びながら、ついでに筋トレを日常的に取り入れているんです。何種類かのストレッチ筋トレをやっています。たとえば、スクワットですが、以前は一日200回くらいやっていたんですが、一回のスクワットの深さをアップさせました。腰をかがめた時に、その状態で停止させ、数秒数えてから、戻る方式にしたところ、お尻から太腿の裏側の筋肉(ハムストリング)にかなり負担がかかり、効率よく鍛えられました!しかし、回数は200回も出来なくなり、だいたい一日90回程度に減りましたね。でも、逆に筋力はついたかな、と思います。このように身体のあちこちを容赦なく鍛えて、来るべき30年後に備えているという次第です。笑。あと、歯をおろそかにすると、生きる基本が失われるので、歯磨きは一日、4,5回磨いています。皮膚もたるむのはしょうがないですが、手の甲とかの皺が許せないので、そこはニベア・クリームを塗って、あはは、ハリを保つよう心がけています。エステとかには行きません。自分で出来る範囲のことをコツコツとやるのがまずは大事だからです。足腰を鍛えることはまず大事なので、階段などは率先して登りますし、出来るだけ徒歩生活を心がけています。背中がまるまるとかっこ悪くなるので、座っている時も前かがみにならないよう、姿勢を正し、気を付けています。年を取るのは問題ないので、かっこよく老けたいというのが、目下の希望でしょうかね、あはは。90歳になった時に、その佇まいが、凛として、美しい姿態を目指している次第であります。ここまで書いて思うのは、老後が、迫っていることを自分は理解しているということでしょうか、ね。小さな声でえいえいおー」

父ちゃんの独り言、&、近況のようなもの。
とくに今日はありません。
もうすぐ、小説「泡」が世に出るので、その反響がどきどきな毎日です。9月4日、全国発売です。「アカリ」と「しゅう君」、よろしくね。


※ ベンチプレス中自撮り、あはは。



