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日本とこんなに違う。フランスでは「塩」の扱いにご注意を。 Posted on 2026/08/29 Design Stories

フランスは美味しい塩が採れることで有名です。特に、フルール・ド・セル(塩の華)と呼ばれる、「ゲランド塩(大西洋側)」や「カマルグ塩(地中海側)」はフランス土産として、とっても喜ばれる一品ですね。
実は、フランスには塩にまつわる言い伝えが根強く残っており、今でもそれを気にする人は少なくありません。
一体どんな言い伝えでしょうか?
日本で塩が「盛り塩」や「清め塩」として使われるように、ヨーロッパでも塩には魔除けや清めの意味があります。ですが、その一方で、「塩をこぼすと不吉」という言い伝えもあるのです。
フランスで一番驚いたのは、『食卓で塩をそのまま手渡さない』ことでした。フランス人との食事で、「塩を取って」と頼むと、必ず、一旦、その人の近くに塩を置きます。手を伸ばして受け取ろうとしても、絶対に直接渡してはもらえません。なぜ?
その背景を探ってみると、古代ローマと塩との深い関係にまで辿り着きました。
フランスの「salaire(給料)」という言葉は、ラテン語の「Salarium」に由来し、その語源には「塩」を意味する「sal」という言葉があるのです。
当時、塩はとても価値の高いもので、奉仕に対する報酬として塩の配給や、塩を買うための手当が与えられていたのだとか。そんな貴重品を一粒たりとも無駄にしないために、貧富を問わず、どこの家庭にも「塩入れ」があったと言われています。

そんな当時の、今なお語り継がれる逸話があります。
ある日、友人たちを招いた食事会で、招待客同士が手渡そうとした塩入れを落としてしまい、塩入れに入っていた塩の大半がテーブルやお皿の上にこぼれてしまった…。大事なその一家の報酬が一瞬にして消えてしまったのです。
さて、悪いのは塩を渡そうとした人? それとも、容器を受け取ろうとした人?
想像しただけで、その場の殺伐とした空気が目に浮かびます。
そんな争いごとや人間関係の崩壊を避けるために、塩は一旦テーブルに置いて手渡す習慣ができた、とも言われています。
レオナルド・ダ・ヴィンチの有名な壁画、「最後の晩餐」にも、裏切り者ユダの手前にひっくり返った塩入れが描かれています。これも、塩が貴重品だった時代に、塩をこぼすと不幸を招くと言われていたことに由来しているようで、不吉や裏切りを象徴するものとして解釈されています。

では、不幸にも、食卓で塩をこぼしてしまったらどうしたら良いのでしょうか……。
もし、食卓で塩入れを倒し、塩をこぼしてしまったら、すぐに、こぼれた塩を右手でつまみ、左の肩越しに塩をまいてください。私はフランス人から3回繰り返すように教わりましたが、一回でも良いのかもしれません。人の左肩の後ろには不幸を好む悪魔が潜んでいて、それを塩で追い払う、ということだそうです。
レストランでも塩をこぼした人がこぼれた塩をつまんで肩越しにはらっている姿をときどき見かけます。イタリア人の友人も同じことをしていたので、イタリアでも同じ言い伝えがあるようですね。(ちなみに、イタリアではオリーブオイルをこぼすことも不吉なことらしく、こぼしてしまったらその上に塩を振りかけると中和される、のだとか。)
日本では、相撲の土俵に塩をまき、玄関に盛り塩をし、塩は古くから「清める」ものとされてきました。ところが、フランスでは、同じ塩をうっかり食卓にこぼせば「不吉」とされるのです。
同じ塩でも、ところ変われば、こんなに意識が違うのですね。
皆さんも、ヨーロッパを旅行するときは、塩の扱いに注意しましょう!

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