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「いつか、ニースに行きたい皆さんへ、ニース郷土料理のミニ辞典」 Posted on 2021/11/28 Design Stories  

「フランス料理」と言えど、日本料理が一言でくくれないように、いろいろとある。
オーベルニュ料理やノルマンディー料理、アルザス料理など、地域によって名物郷土料理は様々だ。その中から、今回ご紹介するのは「ニース料理」ということになる。実は、数あるフランスの郷土料理の中でも、町の名前がついている郷土料理はリヨンとニースのみ。そしてニースでは、そのニース料理を後世に伝えるべく、「ニース料理、伝統のリスペクト」という認定ラベル(1998年に発足)なるものが存在する。ニース版のミシュランだと思ってもらえれば、わかりやすいだろう。現在はニース観光局が管理しており、伝統的なニース料理を提供するレストランにのみ、この認定ラベルが贈呈される。

「いつか、ニースに行きたい皆さんへ、ニース郷土料理のミニ辞典」

「いつか、ニースに行きたい皆さんへ、ニース郷土料理のミニ辞典」

認定ラベルはニース料理の精神と伝統を継続させるためにルールや評価基準が設定されており、伝統的なレシピをリスペクトし、ニース料理の伝統と歴史を愛し、質の高い料理とホスピタリティを提供していること、が求められる。
レストランのメニューには、委員会によって選ばれた44品のニース名物料理から最低5品を提供していなくてはならない。2017年から、質の高い軽食やテイクアウト店を評価する「Merenda e Goustaroun(軽食とテイクアウトという意味)」という新しいカテゴリーが設けられ、このカテゴリーには名物料理を最低3品提供していることが条件となる。こういう仕組みは、なかなか面白い。
認定を受けたレストランは、レシピの尊重、品質への配慮、ニースの歴史と遺産への知識、接客への配慮、衛生と安全に関する規制の遵守を約束し、認定を証明するプレートを店先に表示できる。観光大都市であるニースにはたくさんのレストランが存在するため、本物のニース名物を食したい観光客にとってはとてもありがたく、ニース市にとってはその豊かな食文化を維持することができる素晴らしい取り組み、と言えるであろう。

「いつか、ニースに行きたい皆さんへ、ニース郷土料理のミニ辞典」

ニース料理のクオリティーを守るため、毎年、ミシュランの調査員のように謎の客がレストランを訪れ、基準が守られているかどうかをチェックしている、のだそうだ。その結果、一部の店舗ではラベルが取り下げられることもある、らしい。調査メンバーは料理人、料理研究家、生産者、美食家、歴史家などで構成されているというから、ニースの職を守ろうとする本気度がうかがえる。2021年度はニース市内に33店舗の認定レストランが存在する。

「いつか、ニースに行きたい皆さんへ、ニース郷土料理のミニ辞典」

※「ニース料理、伝統のリスペクト」と書かれた認定ラベル

その中の一店、ニース料理レストランの老舗 LOU BALICOなどでいただいたニース名物料理を紹介したい。
LOU BALICOは俳優のジャン=ポール・ベルモンドなども愛したレストランである。

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「いつか、ニースに行きたい皆さんへ、ニース郷土料理のミニ辞典」

<ピサラディエール>
パン、もしくはピザ生地に甘くなるまでよーく炒めた玉ねぎ、アンチョビ、そしてニースのオリーブをのせて焼いたもの。あっさりしていて、玉ねぎの甘さとアンチョビの塩味が絶妙。ニースではパイ生地は絶対に使わないのだとか。

「いつか、ニースに行きたい皆さんへ、ニース郷土料理のミニ辞典」

「いつか、ニースに行きたい皆さんへ、ニース郷土料理のミニ辞典」

<ニース料理の前菜盛り合わせ>
(ズッキーニの花のフリット、ラタトゥイユ、タプナード、野菜のファルシ、ブレットのオムレツ、パプリカのロースト、ドライトマトなど)

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<サラダ・ニソワーズ>
ニース料理の中で一番有名なのが、このサラダ・ニソワーズだろう。ニース人が口を合わせていうサラダ・ニソワーズのポイントは、中に入る全てが生野菜であること。ジャガイモやいんげんなど茹で野菜が入ってはならない。その理由は聞きそびれえてしまったが、伝統と決まりなのだから、従うしかない。火が入っているのは茹で玉子のみ!生の野菜をたっぷり、その上にアンチョビとシーチキン、オリーブがのっている。オリーブは「カイエット」と呼ばれる小さなニース産のオリーブ。少し紫っぽい色味のオリーブである。

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<ニース風ラビオリとドーブ>
ドーブとはプロヴァンス風牛肉の赤ワイン煮込み料理のこと。自家製ラビオリの上に肉の煮込みがかかったボリュームたっぷりのお料理だ。ドーブにはニョッキやパスタなどを合わせても良い。味はほぼ、ブフ・ブルギニョンと一緒であった。

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<スープ・オ・ピストゥ>
冬野菜で作ったミネストローネの上にフレッシュなバジルで作ったピストゥをのせる。このバジルのピストゥがなんとも美味しい。ニンニクたっぷり、バジルたっぷり、オリーブオイルでできている。イタリアではジェノベーゼソースがあるが、ニースのピストゥの中には松の実やパルメザンチーズは入っておらず、あと載せ、となる。その分、全体がライトな味わい、ハーブ・サラダのようについついたくさん食べすぎてしまう。

「いつか、ニースに行きたい皆さんへ、ニース郷土料理のミニ辞典」

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<ピストゥのパスタ、ニョッキ>
生パスタを茹でたものにピストゥをたっぷりのせて。ニョッキはジャガイモのニョッキとブレットのニョッキがある。ピストゥを何度も追加してしまう。

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「いつか、ニースに行きたい皆さんへ、ニース郷土料理のミニ辞典」

<パン・バニャ>
パン・バニャはパンにサラダ・ニソワーズを挟んだもの。昔、ニースの労働者が手っ取り早くランチができるようにサラダを挟んで食べていたことから広まったらしい。パン・バニャとはニースの言葉で「しっとり濡れたパン」という意味。ビネガーやオリーブオイルがたっぷりかかってパンがしっとり濡れていることから、この名前がついたのだそうだ。

「いつか、ニースに行きたい皆さんへ、ニース郷土料理のミニ辞典」

<ソッカ>
ひよこ豆の粉で作ったお焼きのようなもの。黒胡椒をしっかり効かせるのがポイントだそうだ。ニースの旧市街に立つマルシェに出店しているChez Thérésaはスナック、テイクアウトカテゴリー部門で認定されている老舗店。ニースに行くことがあれば、ぜひ、ソッカをつまみながらニース散歩をしてみてほしい。パン・バニャやピサラディエール、ブレットのオムレツなど、手軽にニース名物料理を楽しむことができる。

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「いつか、ニースに行きたい皆さんへ、ニース郷土料理のミニ辞典」

<ブレットのタルト>
ブレットとは、日本語で「フダンソウ」というらしいが、南仏でポピュラーな野菜。大きい小松菜のような形で、味は少し甘みの強い小松菜やチンゲンサイといった感じ。ここ数年、パリでもよく見かけるようになったが、ブレットのデザートがあるとは驚いた。ブレットのタルトは、なんと、ブレットを甘く炊いたものが中にびっしり詰まっている。恐る恐る口に入れてみたが、野菜を感じさせず子供もぱくぱく食べられそうなお菓子だった。

「いつか、ニースに行きたい皆さんへ、ニース郷土料理のミニ辞典」

ご堪能いただけたであろうか?
ニースの名物といって思い浮かぶのはサラダ・ニソワーズだが、それだけではニース料理を語れないことがよくわかった。
いつか、世の中がコロナを制圧し、再び旅ができるようになったら、ぜひ、ニースを訪れていただきたい。
ニースの人たちは本当に皆さん、日本が大好きで、日本人観光客の来ニースを首を長くして、待ち望んでいるのである。(中)

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デザインストーリーズ編集部(Paris/Tokyo)。
パリ編集部からパリの情報を時々配信。