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q.b.レシピのないレシピ帳~パスタフロッラ~ Posted on 2026/10/27 八重樫 圭輔 シェフ イタリア・イスキア

イタリアのお菓子のレシピを読んでいると、よくPasta Frollaパスタフロッラという言葉が出てきます。Pastaパスタ とはスパゲッティなどのパスタ類に限らず、主に小麦粉を使った練り粉やお菓子の生地などもパスタと呼ばれます。そしてFrollaフロッラとはサクサク、ホロホロとした、という意味でパスタフロッラはクッキーやタルトに使われる生地のことを指します。このパスタフロッラは北から南までイタリア全国の郷土菓子のベースとして使われているので覚えておくと重宝しますし、クッキーとして焼くだけでも素朴で美味しいです。

(ナポリを代表する銘菓パスティエーラ。ここでも生地にパスタフロッラが使われています)
我が家では長女の誕生日には、このパスタフロッラをベースとしたレモンカスタードのフルーツタルトを作るのが恒例となっています。年を追うごとにタルトも豪華になっていき、18歳の成人の時には(イタリアでは18歳で成人となります)巨大なフルーツタルトを作り、もうこれ以上の進化は無理かと思われました。


しかし、翌年には2段重ねのタルトにすることで壁を乗り越え、ここ数年は生地を編んでバスケットを作り、中にミニタルトを詰めるという手法を思いつき、苦心しながら自分のスキルアップのためにも続けています。そして何よりも、タルトを目の前にした時の歓喜の顔が次回へのモチベーションになるのです。これはお菓子作りに限らず、この仕事を続けるうえでとても大切なことです。厨房の仕事というのは思う以上に過酷なものですが、食を通じて誰かに幸せなひと時を届けることができた瞬間の喜びは、何事にも代えがたいものだからです。

イスキア島も秋が深まり、11月は1年のうちでも雨が最も多い月となります。天気が悪いと外出も億劫になりますが、パスタフロッラでクッキーを焼いて、コーヒーや紅茶と一緒にいただく午後もなかなか良いものです。今回は基本のパスタフロッラとカカオを加えたバージョンの2種類をご紹介します。この先、パスタフロッラを使ったお菓子のレシピも載せていく予定ですので、是非マスターしておいてくださいね。


パスタフロッラ
材料
○小麦粉 300ℊ
(カカオを入れる時は小麦粉275ℊ+カカオ25ℊで一緒にふるっておきます)
○無塩バター130ℊ(室温には戻さず、硬いままで)
○グラニュー糖 80ℊ
○全卵1個 ○卵黄1個 ○レモンの皮 q.b.(適量)無くても可 ○塩 一つまみ
作り方
(※写真はカカオが入っているバージョンです)
①ボールにふるった小麦粉と細かく切ったバター、塩、レモンの皮をすりおろしたものを入れます。カートで切るように混ぜ合わせ、その後、手のひらで擦り合わせて細かいそぼろ状にします。バターが溶けないように素早く行うことが大切です。


②溶いておいた卵を加え、カートでざっくりと混ぜたら作業台に移します。


③全体が均一に混ざるように素早くこねます。ここでも熱が加わりすぎないようにすることが大切です。まとまったらラップに包んで1時間ほど冷蔵庫で冷やし固めます。すぐに使わない場合はそのまま冷蔵庫で保管しておきましょう。パスタフロッラの生地はこれで完成です。

④クッキーにする場合は冷蔵庫から出し、綿棒でのばしやすい硬さになるまで数分置いておきます。(写真のクッキーは2色の生地を混ぜてマーブル状にしてあります)
小麦粉を作業台にまぶしつつ、好みの厚さまで伸ばしたら型抜き、又は包丁で切ってオーブンシートを敷いた天板に並べます。気温が高くて生地が柔らかくなってしまったら、できれば冷蔵庫で数分冷やす方が良いです。180度に予熱しておいたオーブンでほんのり色が付くまで焼きます。

簡単な生地ですがアイディア次第で色々なものに化けることができるので、とても便利です。また、冷凍保存もできるので、気が向いた時に取り出して使うこともできます。その場合は前日から冷蔵庫に入れておくか、室温で数時間出しておき、適度な硬さに戻してから使いましょう。
先ほども書いたように、この先パスタフロッラを使ったお菓子もご紹介したいと思っているのでどうぞお楽しみに。それではまた、普段着の食卓でお会いしましょう。
※タイトルのq.b.とは適量を意味するイタリア語quanto basta(クワント バスタ)の略語です。細かいことは気にせず臨機応変に、あなたなりのレシピにして頂けたらという思いを込めて。
Posted by 八重樫 圭輔
八重樫 圭輔
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シェフ。函館市生まれ。大学在学中に料理人になることを決め、2000年に渡伊。現在は家族とともにイスキア島に在住。


