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パリ最新情報「アットホームな食堂『ブイブイ』が再びパリで注目を浴びる」 Posted on 2022/04/03 Design Stories  

パリは言わずと知れた美食の街である。
世界中からトップクラスのシェフが集まっているので、クラシックなフランス料理だけでなく、世界各国の絶品料理にも舌鼓を打つことができる。
最近ではミシュラン・ガイド2022フランス版が発表され、新たにパリで3つの和食店が一つ星を獲得した。

パリ最新情報「アットホームな食堂『ブイブイ』が再びパリで注目を浴びる」

そして、フランス料理を提供する飲食店にはさまざまな種類がある。
ブラッスリー、ビストロ、レストラン、オーベルジュなどがあるが、これは名称によってその飲食店の格式を表したもの。

実は、フランスには上記のどれにも当てはまらないタイプの飲食店がある。
boui-boui(ブイブイ)と呼ばれる「食堂」だ。
お店の規模はだいたい40㎡以下、ウェイターは置かず、手ごろな価格で、フランスの地方もしくは国外料理を提供する家庭的な食堂のことを指す。

ブイブイの起源は古く、アヒルの鳴き声が「ブイブイ」と言われてきたことに由来するという。
つまり、アヒル→農園→産地直送と派生し、地域密着型の食堂を意味するようになった。
19世紀には、劇場前で食べ物を提供する路上のスタンドのことも指していたそうだ。

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パリにもたくさんのブイブイがあるのだが、そのカジュアルさのあまり、戦後長らく美食の概念から外されてきた。
しかしロックダウンから続くテイクアウトブームのおかげで、最近のパリでは新たなブイブイ旋風が巻き起こっているというのだ。
2022年3月には「ミシュラン・ガイド」ならぬ「ブイブイ・ガイド」も出版され、パリの情報誌では「パリの美味しいブイブイ10選」という特集が目立つようになった。
ということで、各情報誌にて常連の、素敵なブイブイを2つここでご紹介したい。

パリ最新情報「アットホームな食堂『ブイブイ』が再びパリで注目を浴びる」

地球カレッジ

パリ11区の「Adriana & Margot」は、ポーランド料理を提供する家庭食堂。
ポーランド人のお母様とお嬢様が経営しており、本格的なポーランドのサンドイッチが楽しめる。
現地ではランチによく食べられてるという、ボリューミーなサンドイッチ。
オニオン、ゴマ、プレーンからパンを選び、キャビアと呼ばれるペーストを1種または2種、最後にメインの具を決める。

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私はゴマのパンにオリーブのタプナード、スモークチーズ、生野菜、ピクルス、パストラミビーフと「全部のせ」してもらい7€(約910円)。
欲張ってしまったので7€となったのだが、具の種類や数によっては4.3€〜6€。
パンの直径はおよそ15cmもあり、特大サイズでほぼほぼ二人分(二食分)である。
そう考えると、ここパリではお手ごろ価格だ。

他のお惣菜もすべてテイクアウトでき、ポーランド文化に興味を持つ良いきっかけにもなった。そういったところがやはり、ブイブイの醍醐味だと言える。

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パリ13区にある「台北厨房」もまた、本格的な台湾教理を味わえるブイブイだ。
パリのランチは高く、15€(約2000円)を下回ることはない。
ところが台北厨房では、すべての定食が10€以下となっている。屋台風のメニューは日本人にも馴染みやすく、味も抜群に美味しい。

和気あいあいとしたムードに、フレンドリーな接客もブイブイの魅力。
親戚の家にお邪魔したような感覚になるので、リピート率が高いというのも納得だ。

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※唐揚げのプルーンソース掛け、9€

コロナをきっかけに、温かくてリーズナブルなブイブイがパリに戻ってきた。
美味しく、安く、量が多くて、アットホーム。こういった家庭的なサービスが、今の大都市で求められているソースなのかもしれない。美食の街パリの、心和む変化であった。(オ)

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