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パリ最新情報「パリのカフェに吉報、サマーテラスが復活へ!」 Posted on 2022/03/31 Design Stories  

昨年11月、パリの仮設サマーテラスが終了したというニュースをパリ最新情報にて報告させていただいた。
これはそもそも、コロナの厳しい規制からレストラン・カフェを守る「応急措置」としてパリ市がロックダウン後に認可したものであった。
道路にはみ出すほどのテーブル席、臨時のウッドデッキなどが設置され、仮設とはいえ店舗側には多くの利益をもたらしたという。

もちろん顧客にも好評だったようで、観光客がまばらであった2021年夏でも、パリのカフェ・レストランは大いに賑わっていた。
こうして惜しまれつつ幕を閉じた仮設のサマーテラスであったが、市民から熱烈なラブコールを受け、4月1日(金)より本格的に復活することとなった。

パリ最新情報「パリのカフェに吉報、サマーテラスが復活へ!」



ただ昨年と異なるのは、規制がより厳しくなった点である。
昨年は約12000の飲食店がサマーテラスを設置したが、今年許可されたのは1600店のみ。

これについてパリ市のオリビア・ポルスキー副市長は「昨年は、飲食店経営者の生き残りをかけて開設しました。今年はサステナブルにしたいので、レギュレーションということになります。我々は近隣住民の苦情も理解しており、バランスのとれた判断をしていきます。」と述べている。

具体的には、幅6m未満の道路には仮設テラスが設置できないこと、そしてウッドデッキの上にテーブルを設置する必要があることなどが含まれる。
配達業者・近隣住民の駐車スペースの確保は必須で、もし迷惑行為があった場合は「Dans ma rue」というアプリを通じて画像付きで市に報告することができる。
なお、違反者には罰金100ユーロ、悪質な場合は営業停止の可能性もあるという。

パリ最新情報「パリのカフェに吉報、サマーテラスが復活へ!」

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ガチガチに固められたルールに対し、「フランスらしくない」と嘆く店主もいる。
きちんと準備をしたのに申請が通らなかった店舗もあるようで、そういったオーナーの中にはハッピーアワーの時間だけこっそりテラスを設けようとする人も。
「一晩の利益に比べたら罰金なんてスズメの涙のようなもの」と、一部の飲食店は決死の覚悟で4月を迎える。

その分コロナ禍の被害が大きかったと考えられるが、コロナが落ち着いた今、フランスではルールを重んじる人が増えたように感じる。
「ルールは破るためにある」を地で行くフランス人が、コロナ禍の厳しい規制をきちんと守る姿も意外であったし、その後も社会秩序を重んじて生活している人が多い。

もちろん元からきちんと規則を守る人もいるのだが、役所や商業施設などの「取り締まる側」はコロナ前よりずっと厳しくなり、その姿勢が定着しつつある。

パリ最新情報「パリのカフェに吉報、サマーテラスが復活へ!」



とはいえ、カフェを利用する人たちの表情は明るい。
晴天に恵まれた先週のパリでは、春を満喫する人たちでテラスがあふれていた。
「パリジャンは気温0度でもテラス席に座る」と地方から揶揄されることもあるが、初夏のカフェテラスは格別に気持ちが良い。
なお仮設のサマーテラスは4月1日から10月31日まで。通常運転に戻ったパリ、今夏は秩序とルールが求められている。(聖)

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