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欧州最新情報-メルケル首相と各州の深まる対立 Posted on 2021/03/31 Design Stories  

ドイツでは現在コロナウィルスの新規感染者が増加の一途をたどっている。
感染の動向を示す指数として直近7日間の人口10万人当たりの新規感染者数(以下、7日間指数)が使われるのだが、この数値が50を下回ることを目標に去年の11月からロックダウンを続けてきた。
一時期7日間指数が50台まで下がり、ロックダウンの解除も間近かと期待されたが、そこから停滞し始めたと思ったら反転し、その後は毎日数値は上昇。
さらに厳しいロックダウンが必要とされる危険値100をも1週間ほど前にあっさり突破し、3/30時点では135となっている。
(ちなみに、同じ指数を用いるとフランスは300以上、パリに至っては600となるらしい)



7日間指数はドイツの16ある各州によって大きく差があり、一番数値の高いテューリンゲン州では238、逆にコロナ対策がうまくいっているのであろうか、ザールラント州では70となっている。
(数値はRobert Koch Insitutのデータより。共に3/30時点)

州別データではテューリンゲン州の238が現時点では最高だが、州よりも小さい単位の地域ごとのデータでは610という信じられないような値を出している地域もある。
ニュースでは連日ICUの病床数がひっ迫してきていると報道され、感染症の権威とされているRobert Koch Institutの所長や他の専門家がさらに厳しいロックダウンが必要だと訴える一方で、イースター以降のロックダウンの解除を計画していたり、今でも当日コロナ検査で陰性だった場合にデイチケットを発行し、それを持っているとカフェやお店で買い物ができる、といったロックダウンの逆をいく試みを行っている都市もあり、各州におけるコロナ対策の足並みは全くそろっていない。



日曜日にメルケル首相がテレビ番組に出演しインタビューに答えていたが、彼女は各州が会議で決まった対策を実施していないことに明らかな不満を述べた。
それに対して翌日には各州の州首相たちが反応していたのだが、これが実に様々なのである。
「国にもっと権限を与えて対策を全国で統一すべきだ」という声がある一方で、「うちの州はテストセンターも大量に設置しており、指数も低い。ロックダウンの解除を模索するのも妥当だ」という声も。
実際にロックダウンを試験的に緩めている地域での市民の反応はやはりおおむね好評だ。
1年以上も我慢に我慢を重ねているのだから、これ以上厳しいロックダウンには耐えられないというのが本音だろう。



ドイツの感染状況は全く余談を許すものではなく、ワクチンの接種も依然として進んでいるとはいえない。
3/30時点で一度の接種を受けたのは11.1%、2度の接種を受けたのは4.8%という低さなのだ(数値はRobert Koch Insitutのデータより。共に3/30時点)。

次回のメルケル首相と各州との会議は4月12日に予定されているが、それまでに状況はどうなっているのだろうか。メルケル首相の苦悩はまだまだ続きそうである。(マ)

欧州最新情報-メルケル首相と各州の深まる対立



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