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パリ・アート情報「ヨーロッパの偉人が勢揃い! 次のユーロ紙幣は、誰の顔に? 」 Posted on 2026/09/23 Design Stories  

 
世界には、いろいろな紙幣がある。その国ならではの偉人や風景・動物に出会えて、たまに眺めてみると、これがとても興味深かったりする。
ヨーロッパでは共通のユーロ紙幣が使われているのだが、現在のユーロ紙幣が登場したのは2002年のことだった。実は、20年以上が経った今、次のシリーズに向けて大規模なデザイン刷新がすすめられている。
 

パリ・アート情報「ヨーロッパの偉人が勢揃い! 次のユーロ紙幣は、誰の顔に? 」



 
今回のプロジェクトでまず面白いのが、その選考方法だ。
紙幣のデザイン変更を担う欧州中央銀行は、2025年、EU域内に住むグラフィックデザイナーを対象に「デザインコンテスト」を開催。合計ではなんと1,241件の応募が集まり、その中から25人が選出されたという。
最終的に残ったのは、10案。さらに2026年7月23日〜9月21日までのあいだ、ヨーロッパの市民がそれに対してオンライン上で意見を寄せることができるという、ちょっとユニークな仕組みだった。 9月22日の発表では、結果として900万人以上が参加したとされている。

では、気になるデザインはというと……。
候補は、大きく2つのテーマに分かれた。一つ目のテーマは、「European culture(ヨーロッパ文化)」。
オペラ歌手のマリア・カラスが5ユーロ札に、作曲家のベートーヴェンが10ユーロ札に。そして、科学者のマリー・キュリーが20ユーロ札に、スペインの作家ミゲル・デ・セルバンテス50ユーロ札に登場。
また、100ユーロ札にはレオナルド・ダ・ヴィンチが、200ユーロ札にはオーストリアの平和運動家・作家のベルタ・フォン・ズットナーが。ヨーロッパの文化史を担ってきた人物が、こうして華々しく描かれているのだ。
 

パリ・アート情報「ヨーロッパの偉人が勢揃い! 次のユーロ紙幣は、誰の顔に? 」

※デザインA案。レオナルド・ダ・ヴィンチの100ユーロ札 ©European Central Bank

パリ・アート情報「ヨーロッパの偉人が勢揃い! 次のユーロ紙幣は、誰の顔に? 」

※デザインC案。ベートーヴェンの10ユーロ札 ©European Central Bank

パリ・アート情報「ヨーロッパの偉人が勢揃い! 次のユーロ紙幣は、誰の顔に? 」

※デザインE案。マリア・カラスの5ユーロ札 ©European Central Bank

 
もう一つは、雰囲気がガラリと変わり「Rivers and birds(川と鳥)」がテーマになった。
カワセミ、コウノトリ、海上を飛ぶカツオドリなど、紙幣ごとにヨーロッパの風景が変わっていくようなデザインに。
たしかにEU域内には知名度の高い河川が多くあるが、気の遠くなるほど長い歴史を川とともに歩んできた、ヨーロッパの風景をシンプルかつ美しく表していると感じた。※裏面には欧州議会や欧州委員会など、紙幣ごとに異なるEU機関が描かれている。

ということで今回は、上記2つのテーマに沿ってそれぞれ5案ずつ、合計10案が新デザインの候補だった。
 



パリ・アート情報「ヨーロッパの偉人が勢揃い! 次のユーロ紙幣は、誰の顔に? 」

※デザインH案。100ユーロ札 ©European Central Bank

パリ・アート情報「ヨーロッパの偉人が勢揃い! 次のユーロ紙幣は、誰の顔に? 」

※セーヌ川の風景

 
新デザインは、現在流通しているユーロ紙幣との違いがハッキリしていてさらに興味深い。
ちなみに現在の紙幣のテーマは、「ヨーロッパの時代と建築様式」。これまで、ユーロ紙幣は特定の国や文化を思わせるモチーフを避けてきたというから、次回案はかなり大きな方向転換だと言える。
 

パリ・アート情報「ヨーロッパの偉人が勢揃い! 次のユーロ紙幣は、誰の顔に? 」

※現在の5ユーロ札。ヨーロッパというものを、建築史・様式の歴史で表現していた



 
デザインの最終決定をするのはもちろん欧州中央銀行なのだが、その過程に一般市民の声が取り入れられている。しかも、サイト上ではデザイナーの名前が伏せてあり、シンプルにA〜Jの記号だけで10案が提示されていた。
これはヨーロッパらしい選考方法であるし、国籍やデザイナーの名前に左右されずに、純粋にデザインそのものを見てもらう工夫が成されていると感じた。

なお今後は、寄せられた意見、審査員の声、技術的な制約などを考慮したうえで、2026年末に最終デザインが決定されるとのこと。新紙幣が実際に流通するのは、それからさらに数年後だという。
 

パリ・アート情報「ヨーロッパの偉人が勢揃い! 次のユーロ紙幣は、誰の顔に? 」

 
現金を使う機会が減っている今、紙幣は逆に貴重な存在になっていくのかもしれない。ヨーロッパの“偉人”か“鳥”か、900万人の市民はどんなデザインを選んだのか。年末の発表が楽しみだ。(オ)
 

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