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パリ最新情報「パリのカフェシーンに新たなトレンドが?華やかな『造花カフェ』が相次いで登場」 Posted on 2022/11/07 Design Stories  

 
古くより多くの文化人を魅了してきたパリのカフェ。
しかし、人手不足やパリジャンの首都圏離れ、エネルギー問題が加速する中で、いくつかのカフェが厳しい経営状態に陥っていることは否めない。
ところが今、そんな暗いムードを吹き飛ばすかのように、パリのカフェシーンに新しいトレンドが生まれようとしている。
 

パリ最新情報「パリのカフェシーンに新たなトレンドが?華やかな『造花カフェ』が相次いで登場」



 
それは、ファサード部分を造花で飾った華やかなカフェの姿だ。
2017年ごろより現れ始め、現在ではパリの各地、特に観光客が行き交う中心部で随分と見かけるようになった。
この先駆けとなったのは、パリ6区にあるカフェ「メゾン・ソバージュ」である。
メゾン・ソバージュは2017年当初、ロンドンのカフェにヒントを得て、外壁の2階部分までを本物そっくりな花と植物で覆い尽くした。
その効果は非常に絶大で、売上でいえば前年比で50%近くもアップしたと報告されている。
 

パリ最新情報「パリのカフェシーンに新たなトレンドが?華やかな『造花カフェ』が相次いで登場」

※パリ6区、カフェ「メゾン・ソバージュ」

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以来、パリではマレ地区、モンマルトル地区、サンジェルマン・デ・プレ地区などに次々と「造花カフェ」が登場するようになった。
これらの造花を制作するのは、メゾン・ソバージュの装飾を手がけたパリ17区の生花店。
店主はメゾン・ソバージュの成功を受け、現在では他のカフェやレストラン、右岸や左岸のショップ、さらには郊外のショッピングセンターなどの内装部分も造花で飾り付けを行っているという。
またその工房はパリ西郊外のコロンブ市にあるといい、多くはポリエステル(水着にも使われる生地)製でできているが、枝部分だけは乾燥が早く長持ちすることで知られる栗の枝が使用されているとのことだ。
 

パリ最新情報「パリのカフェシーンに新たなトレンドが?華やかな『造花カフェ』が相次いで登場」



 
パリのカフェでは、カラフルな藤椅子と小さなビストロテーブルがトレードマークになっている。
前時代の雰囲気を感じさせるインテリアはどの店舗にも共通していて、それがパリのアイデンティティにもなっていた。
しかし残念ながら、こうした昔ながらのカフェはこの20年で大きく衰退しているとも報告されている。

現実問題、2002年には1,907軒あったパリのカフェが2022年現在では1,410軒に減っており、高級住宅街で知られる16区では68%もカフェが減少しているとのことだ。
このような減速にはさまざま要因が含まれているのだが、まずは首都圏全域でファストフード店が増え、コーヒーが気軽に手に入るようになったことが第一に挙げられるだろう。
またテレワークの導入や、企業にもコーヒーマシンが多く導入され、パリジャンの習慣がカフェではなく自宅に移ったことも衰退に拍車をかけてしまった。
 

パリ最新情報「パリのカフェシーンに新たなトレンドが?華やかな『造花カフェ』が相次いで登場」



 
ただ、ここ数年の観光客の増加は一部のカフェに希望の光を与えている。
全体で見ればカフェの減少は止まらないものの、観光スポットを多数抱えるパリ2区と3区では逆に新店ラッシュが続いており、2021年にはそれぞれ17%、15%アップと大きな回復を見せた。
特にパリ3区〜4区にまたがるマレ地区では、「造花カフェ」の台頭が著しい。これらカフェのテラス席はいつ見ても満席であるし、その賑わいは今年から屋外の暖房が禁止されたという現実を忘れさせるほどだ。
 

パリ最新情報「パリのカフェシーンに新たなトレンドが?華やかな『造花カフェ』が相次いで登場」

 
近づいて見ればもちろん造花だと分かるのだが、配色や配置のセンスが光っているためか、チープさは今のところ感じられない。
変わりゆくパリの街を華やかに彩る、新しいカフェのムーブメント。この光景は意外にも、厳しめの地元パリジャンにも受け入れられているようだ。(こ)
 

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