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パリ最新情報「パリの名所復活! 老舗デパート、サマリテーヌが再オープン」 Posted on 2021/06/22 Design Stories  

来る6月23日、パリの老舗デパート「Samaritaine サマリテーヌ」が「Samaritaine Paris Pont-neuf サマリテーヌ・パリ・ポンヌフ」として再オープンする。1870年創業のサマリテーヌは、ポン・ヌフの目の前、ルーブル美術館やノートルダム寺院からも近く、橋を渡ればサンジェルマン・デ・プレという最高の立地にあるデパートだった。

パリ最新情報「パリの名所復活! 老舗デパート、サマリテーヌが再オープン」

パリジャン・パリジェンヌに長く親しまれてきたが、2001年にLVMHグループが買収したのち、2005年、建物の老朽化、安全性の問題で閉鎖となった。それから10年ほどプロジェクトは停滞していたようだが、2015年から本格的にラ・サマリテーヌの改修工事が開始。
アール・ヌーヴォーとアール・デコの調和したパリならではの特徴的な建造物が、閉鎖から16年の歳月を経て、完璧な修復と装飾を終え、ラ・サマリテーヌ複合施設として復活するのである。(生誕150年目であった2020年再オープン予定だったが、コロナ禍で叶わなかった)
デパートをメインに、フランス高級ホテルチェーン「Cheval blanc」やオフィススペース、さらには一般向けアパートや託児所までオープンする。今回の再オープンで約3000人の雇用が生まれることも、フランスにとって大きなニュースである。

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長い間、幕のかかっていたリヴォリ通り側はストリートアートやストリートファッションブランドを中心に若い世代向けにリノベーションされている。なんと、この建築を委ねられたのは日本の建築事務所、妹島和世氏と西沢立衛氏率いるSANAA。一歩入ると、明るく、遮るもののない空間が広がり、サマリテーヌのモットーでもある「絶えず前進」する世界に引き込まれるようだ。

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新生サマリテーヌの特徴は、これまでのデパートの概念を覆すレイアウト。サマリテーヌはパリのデパートの中では一番小さいが、その中に約600ものブランドを揃えており、バイヤーが風を読みながら常に更新していくそうだ。

化粧品コーナーはヨーロッパ一の広さで、ハイブランド、オーガニック系などニーズごとに分けて配置。スパも併設されており、女性の美意識をくすぐる。

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地球カレッジ

ファッションコーナーにおいては、これまでのデパートが靴売り場、アクセサリー売り場、服売り場と、階ごとにしっかりと分けていたのに対し、まさに、頭の先からつま先まで、同じ階で総合的にファッションを楽しめる仕組みになっている。境目のない売り場がとても新しい。

売り場の各所にカフェやカジュアルなミニレストランが点在しており、気軽に休憩したり、小腹を満たしながらショッピングを楽しめるのも良い。現代のライフスタイルをよく理解した、非常に気の利いた構造と言える。

最上階にあるバー、VOYAGEは夜中2時まで営業。パリ中心地でこのバーの存在はパリジャンのナイトライフを充実させるだろう。

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「デパート」というものの発祥地は、ここパリ。
世界最古のデパートは1852年創業の「Le Bon Marché ル・ボン・マルシェ」で、19世紀半ば、世界で初めて専門店を一か所にまとめ、一つの企業が運営するという新しい商売形態が生まれた。
人々が自由に手にとれるよう商品を陳列したり、バーゲンセールを行うなど、テーマパークにでも行くように買い物をすることができる場所。この「デパート」こそが大衆消費経済、資本主義を生み出したと言われている。

そのボン・マルシェが生み出したコンセプトはサマリテーヌの発展にも大きく影響を与えたというが(サマリテーヌ創設者のアーネスト・コニャック氏の妻で同じく創設者のマリー=ルイーズ・ジェイ氏はもともとボン・マルシェで売り子をしていたのだとか)、今回の大改修でボン・マルシェとはまた一味違う世界観のデパートとなった。
※現在はボン・マルシェ、サマリテーヌともLVMHグループ。

6月23日、パリの文化遺産が21世紀の息吹をまとって復活する。

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