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パリ最新情報「フランスでも問題になる迷惑チラシ、9月より一部で規制へ」 Posted on 2022/09/03   

 
フランスでも必ず目にする、郵便受けの迷惑チラシ。
以前より「資源の無駄遣い」と声が上がっていたのだが、9月1日からこれがいよいよ規制されることになった。

仏エコロジー移行省によると、国内で配られる広告チラシの量は年間約80万トンで、住民一人あたり12キロ、一世帯あたり平均30キロとなっている。
内訳としては、スーパーやDIYショップなどの広告が89%を占めており、商業カタログが5%、自治体広報紙が4%、フリーペーパーが2%であるとのことだ。
しかしそのほとんどはまったく読まれず、すぐにゴミ箱行き。
フランスでは紙類のリサイクルは49%しか行われていないため、広告チラシの半分以上が無駄になっている計算となる。
 



パリ最新情報「フランスでも問題になる迷惑チラシ、9月より一部で規制へ」

 
9月1日から始まったのは、フランス国内11の自治体における「Oui Pub」運動である。
これは「チラシ投函禁止」のステッカーとは逆転の発想で、チラシが欲しい家庭のみ、ポストに「Oui Pub」というシールを貼るという規則だ。
これによって、ステッカーのないポストには広告チラシが一切投函できなくなり、宛先が明確に表示された郵便物だけが残ることになる。
ボルドーやナント、グルノーブルといった地方大型都市が参加しており、2023年2月からはダンケルクやトロワなどの小規模都市も加わるという。

なぜこの試みが始まったかというと、2021年に設定された「気候変動対策・レジリエンス強化法」の一部、広告チラシ配布の全面禁止を提案していた「市民気候条約」に由来する。
フランスにも「チラシ投函禁止」のステッカーはあるのだが、その普及率は全体の9%と非常に低い。
そのためゴミの削減には直接効果がなく、デジタルの時代になっても紙媒体の迷惑チラシは無くなることがなかった。
 

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パリ最新情報「フランスでも問題になる迷惑チラシ、9月より一部で規制へ」

 
今年新しく始まった「Oui Pub」ステッカーは、従来と逆の発想ということで注目も集まっている。欲しい人のみが貼る「Oui Pub」には、どのような心理効果があるのだろうか。
仏ラジオ番組FranceInfoは、「些細なことではあるが、多くのフランス人に影響を与える小さな革命だ」としている。
該当する自治体では5月1日から住民への情報提供期間が始まっており、無料でステッカーが配布されていた。
 



 
ただ国はこれを実験的な試みとし、期間を31か月間と限定した上で様子を見るとしている。
それには雇用問題といった大きなテーマがあって、パートタイム労働者が大半を占めるチラシ配り業者は解雇につながる可能性が高い。
これは以前から進行していたことではあるものの、フランスで約31万人の雇用があるグラフィックペーパー部門にも影響を及ぼすという。

とはいえ、フランスの広告主が毎年29億ユーロを広告チラシに費やしているのも問題だ。
一度捨てられたチラシは、処理にもコストがかかる。
我々の血税を含む年間2億3000万ユーロが、その処理費用に当てられているというのも考慮しなくてはならない。
まだ始まったばかりなので効果のほどは報告されていないが、雇用面を含め、今後の経過を発信していきたい。(こ)
 

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