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「パリの美しすぎるクリスマスオーナメント、実はあまり、知らなかったその由来」 Posted on 2023/12/20 ルイヤール 聖子 ライター パリ

「パリの美しすぎるクリスマスオーナメント、実はあまり、知らなかったその由来」

クリスマスまで、早いものであと4日。
パリの街はクリスマスの買い物客で賑わい、イルミネーションの美しさはクライマックスを迎えている。
華やかなデコレーションで盛り上がるこの季節だが、自宅に飾る定番といえばやはりクリスマスツリーだ。家族や恋人、友人たちと一緒にツリーにオーナメントを飾りつける、その準備期間もすごく楽しい。

オーナメント専門店も増え、伝統的なものからクリエイティブなものまで、フランスならではのユニークなアイテムが見つかる。
実はその一つ一つに意味があり、きちんとした「飾る理由」があるらしい。
市内を散策しながら、見つけたとびきり可愛いクリスマスオーナメントを、またそこに、どんな意味があるのかを説明しつつご紹介していきたい。

「パリの美しすぎるクリスマスオーナメント、実はあまり、知らなかったその由来」



「パリの美しすぎるクリスマスオーナメント、実はあまり、知らなかったその由来」

まずは、パリでいちばん美しいアーケード街、ギャラリー・ヴィヴィエンヌにある「Maison du Roy」から。普段はアンティークの雑貨を取り扱うショップだが、クリスマス時期はお店で扱う商品がオーナメント一色になる。

「パリの美しすぎるクリスマスオーナメント、実はあまり、知らなかったその由来」

そしてツリーの飾りつけでよく見かけるのが、赤いメッキのオーナメントボールだ。
これはリンゴがモチーフで、昔は本物のリンゴを飾っていたのだとか。
アダムとイブが食べた「知恵の木の実」を象徴するリンゴは、「幸福」や「豊かな実り」の願いが込められてツリーに飾られるようになったという。
こうしてストーンがついているだけで、質素なオーナメントがより華やかなものに様変わり。



「パリの美しすぎるクリスマスオーナメント、実はあまり、知らなかったその由来」

またアイデアの一つとして、タッセルを飾ることもある。お洒落なインテリアにもなるタッセル、ヨーロッパでは古来から悪霊から身を護るお守りとして家に飾られていた。つまり、タッセルは縁起の良い装飾アイテムなのだ。
また赤いリボンなどは「永遠の絆」を表しているという。

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もともと、ゲルマン民族の冬至のお祭り「ユール」では樫の木に食物を捧げる習慣があったという。その名残で、クリスマスツリーにはいろいろなお菓子が飾り付けられる。
代表的なものにステッキの形をしたキャンディがあるが、フランスではマカロンやサブレといった可愛いらしいオーナメントが人気。



「パリの美しすぎるクリスマスオーナメント、実はあまり、知らなかったその由来」

そしてパリ4区、セーヌ河ほとりの文房具屋さん「Melodies Graphiques」では、「紙」をテーマにしたユニークなオーナメントが飾られていた。
こちらではイタリアのアーティストが手作りでこしらえた、世界に一つのオーナメントを販売しているそうだ。

「パリの美しすぎるクリスマスオーナメント、実はあまり、知らなかったその由来」

厚紙にエンボス加工された天使が浮かび上がり、そのキュートな姿に一目惚れしてしまった。裏にメッセージを書いて、家族や恋人を喜ばせるというのもアリかも?
実は天使のモチーフも、聖母マリアがイエス・キリストを身ごもった際、受胎告知した天使「ガブリエル」を象徴している。
ヨーロッパの一部の国では、ツリーのトップにスターではなく天使を飾る所もあるようだ。



「パリの美しすぎるクリスマスオーナメント、実はあまり、知らなかったその由来」

そしてよく見かけるのが、靴下(または靴)のオーナメント。
これは、サンタクロースのモデルである聖ニコラウスという人物が、貧しい家の子供たちを助けるために窓から金貨を投げ入れたところ、暖炉のそばにあった靴下の中に偶然入った、という話に由来している。
パリでもたくさんの靴下オーナメントを見かけたが、ブーツやスケート靴など、モードの国らしいアレンジが効いていたのが特徴的だった。

ちなみにフランスでは、クリスマスツリーは年をまたいで1月6日の公現祭(十二夜)まで飾られるのが一般的。そしてこの日に名物「ガレット・デ・ロワ」を食べる習慣があったりと、お祝いムードはまだまだ続くのである。

何気なく飾っていたオーナメントも、こうして一つひとつに込められた意味を知ると、クリスマスというしきたりへの理解がより深まり、飾り付けの時間がもっと楽しくなる。
そのほとんどが「幸せ」に結びつくアイテム、パリを訪れた際はぜひ手に取ってみていただきたい。

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