シャンゼリゼ大通り、荘厳なつくりの建物の壁に、楽しそうに駆け回るポップなピカチュウが登場した。
パリの老舗百貨店ギャラリー・ラファイエット、シャンゼリゼ店のポップアップストアだ。
メインエントランスの看板にとどまらず、通りに面した窓ガラスからも、たくさんのピカチュウがこちらをみている。
今年、ポケモンカードゲームは、25周年を迎え、その関連イベントが行われている。
こちらの店舗は、オペラ座の裏にある本店とは異なるコンセプトで、2019年3月に開店したとてもモダンな店になっている。
それだけにピカチュウのような思い切ったディスプレイが、良く似合う。
入り口は、店内に吸い込まれていくようなトンネル状のつくりで、非日常にワープする気分だ。
今回のポップアップストアに併せて、壁面はピカチュウ色に染められ、ピカチュウファッションに身を包んだマネキンが列を成し、さながらファッションショーのよう。
 

店内に入ると、大きなポケモンボールが中央に鎮座し、それを取り囲むようにギャラリー・ラファイエット限定のポケモングッズが展示、販売されていた。
黄色、赤、黒の強いトリコロールのグラフィックでまとめられた空間は、キャラクター商品にも関わらず、子どもっぽくならずに大人をも魅了する。
全てがポケモン商品というわけではなく、ピカチュウを想像させる黄色いパーカーや、雷模様が入ったものなど、イメージが繋がる商品も一緒に並んでおり、ポケモンに興味がない人でも手に取りやすい。
ピカチュウの等身大フィギュアは、ポップカルプチャーにインスピレーションを得た彫刻スタジオ「Leblon Delienne」によって作られた「ポップスカルプチャー」と呼ばれるもので、5900€（約78万円）。
 

 
衣類以外にも、バッグや、イヤホンケース、チョコレートなど、ピカチュウ関連商品は多岐に渡る。
ピエール・マルコリーニのチョコレートに、柚子味が含まれていて、和を感じた。
 

 
続いては、ポケモンカードの価格の高騰。
仏紙Le Figaroはその様子を、さながら金融商品のようだと表現していた。
また、コロナ禍の巣ごもり効果で、オークションサイト、イーベイでのポケモンカードの総売上高は2019年から2020年の間に574％増加したという。
 

 
6月11日には、フランスで初めてのポケモンカード専門のオークションがパリの大規模オークションハウス「Hôtel Drouot（オテル・ドゥルオー）」で開かれた。
そのなかでも、「リザードン」のカードは、10000€~12000€（約13万~15万円）以上になるだろうと予想されていたが、「たったの」7800€（約10万円）にしかならず、これまた話題に。
今年2月に北米のイーベイで、同じキャラクターのカードが、一枚311,800＄（約3500万円）で落札され、トレーディングカードの最高価格を更新していたことで期待が高まっていたのだろう。
 

 
そんな流れの中、高騰するポケモンカードの真贋を見極め、保証し、格付けするシステムも生まれた。
日本や北米では「PSA（Professional Sports Authenticator）」、フランスでは「PCA （Professional Card Authenticator）」という企業が、販売されたカードを鑑定し、保護加工までする。カードの評価は、希少性と状態によって決められ、1から10+までの間で格付けされる。
これらの企業の保証書が付いたカードは、オークションではより高値で売られるという。
 

 
最後に、日本でも話題だったスカイマークのピカチュウジェット。
日本に負けず、多くの仏メディアでも取り上げられた。
東京〜沖縄を結ぶ路線なので、コロナ禍で停滞した沖縄の観光業をピカチュウが後押しする、という切り口でフランスでは紹介されている。
観光業が重要な産業である、フランスならではの視点を感じた。
 

 
誕生してから25年、すっかり世界的な人気キャラクターに成長したポケモン。
日本の明日を支えてくれる頼もしい存在だ。（ウ）