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パリ最新情報「セーヌ川の水上バス計画。公共交通機関として2024年に誕生予定」 Posted on 2023/01/09 Design Stories  

 
1月7日、セーヌ川を走る水上バス(船)が、2024年に公共交通機関として誕生することが発表された。
パリ市の渋滞・混雑を解消するのが狙いで、100パーセント電力で動くという。
2024年の4月、続いて7月に合計3路線の開通が予定されており、東郊外のヴァル=ド=マルヌ県と西郊外のオー=ド=セーヌ県をパリ経由で結ぶ。
 

パリ最新情報「セーヌ川の水上バス計画。公共交通機関として2024年に誕生予定」



 
水上バスは2024年のパリ五輪に合わせてスタートするが、以降はイル・ド・フランス(パリ首都圏)の交通網として新たな役割を担うことになる。
まず2024年4月から開始されるのは、東郊外のアルフォールビル(ヴァル=ド=マルヌ県)から西郊外のイッシー・レ・ムリノー(オー・ド・セーヌ県)を1時間で結ぶ路線だ。
セーヌ川を直進し、パリ13区にあるBNF図書館、ルーヴル美術館、アンヴァリッド、15区のボーグルネルを経由する。
この路線では100人乗りの船が、週7日、午前6時から午後10時まで20分おきに往復する予定だという。

2024年7月末には残る2路線が開通となる。
東郊外エソンヌ県のソワジ・シュル・セーヌと同県内ジュビィ・シュル・オルジュを週7日で結び、所要時間はわずか25分。
この路線では平日の午前6時30分から午後8時30分までの運行が予定されている。(こちらでは50人乗りの船が運行予定)
またソワジ・シュル・セーヌとパリ13区にあるBNF図書館を結ぶ路線は週に一度、土曜日のみの運行になる。
いずれの船も100パーセント電力で動き、停泊場所では約10分間のスピードで50%の充電が可能だということだ。
 

パリ最新情報「セーヌ川の水上バス計画。公共交通機関として2024年に誕生予定」

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なおチケット代は区間によって3〜8ユーロ(約420〜1120円)となり、ナヴィゴパス(パリ首都圏で使えるIC定期券)を持つ人は、年間60ユーロの追加料金を支払って水上バスを利用することができる。※チケット代は今後変更になる可能性がある。

船内の様子も非常に近代的で、運行時間のいちばん長いパリ経由の水上バスにはコワーキング・スペースが設けられ、Wi-Fiも完備される。
これは一隻につき6人用のオフィススペースだというが、利用は先着順で誰でも参加できるという。
また自転車の駐輪スペースも40台分が確保される。
さらにはカフェ・バーも船内に設置予定で、温かい飲み物や冷たい飲み物が提供される予定だ。
なおこれらの水上バスは無人運転も可能だというが、安全のために船長と船員が同乗する。
 

パリ最新情報「セーヌ川の水上バス計画。公共交通機関として2024年に誕生予定」

※イメージ図



 
ここ最近、パリの交通網は飽和状態となっている。
以前から続く満員電車、度重なる交通ストライキ、増え過ぎた自転車、そして道路の30㎞速度制限と、パリジャンのストレスはなかなか解消されない。
しかしこの水上バスがあれば、新たに駐輪場を作ったりと余計な工事の必要がなくなる。
そのためセーヌ川を公共交通機関の一選択肢として、時間はかかるが、パリ市の混雑解消のためにも率先して利用してほしいとのことだ。
水上バスは確かに遅く、フランスの法律により時速20kmを超えることができない。(パリでは時速12km以下)
それでも関係者たちは年間25万人近くの乗船を見込んでいるといい、今後の展開に期待を寄せている。

なお、水上バスの名前はRiverCat(リバーキャット)という。
観光目的でも普段の交通手段としてもOKということで、時間に余裕のある人にとっては楽しく利用できる公共交通機関になるだろう。(オ)
 

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