某月某日、今日、ピエールからワッツアップが届いた。
「ツジー、ワクチンどうするの？」
「打つとは思うけど、俺はまだめっちゃ若いからさ、順番がくるまでに相当な時間がかかる」
アハハ、と笑うピエール。でも、本当なのだ。
「俺はすでに二回罹ったから、順番回って来ても、打たないな」
「マジ？　いつ罹った？」
「いや、風邪かコロナか検査してないけど、家にいろと言われたので、いたら普通になったから、それが二回あったから、罹ったと思うってだけ」
「そうか、ワクチンは？」
「だって、全然、風邪みたいなものだから、高齢者も回りにお前しかいないし」
「ぎゃふん」
「ワクチン、フランスは無料だけど、ワクチン自体が不安だからね。それに、俺は辻よりうんと若いから、必要ないだろ」
「うんと若いって、見た目は俺の方が若いじゃん」
むきになる父ちゃん。笑うピエール！

フランスはワクチン接種開始から３日間で100人しか接種できていなかった。それに対し、ドイツは３日で42000人も接種している。(ちなみに、アメリカは一日に100万人というニュースもあった)
一日30人のリズムでワクチン接種していたら6118年かかる、という動画があった。
という事は、国民全員接触できるのは8138年ということになる。ぼくは普通に死んでる。

マクロン大統領は昨日、エリゼ宮でこの遅速な接種に対し、いら立ちを隠さなかった。責任ある場所に、大至急、ワクチンの接種スピードをあげるよう、要請した、というのだけど、果たして素直に受ける人がアメリカのようにいるのか、どうか、であろう。

調査によると、昨日までにイギリスで944539人も接種しているのに、フランスは516人しか接種していない。
テレビであれだけ盛大にワクチン接種を報じていながら、この数字、驚かざるを得ない。
ドイツ、約19万人、イタリア、約8万人、ポーランド、約5万人、デンマークのような小さな国でも約３万人、ポルトガル１万６千人、で、フランスが５１６人って、オリビエ・ヴェラン保健相はいったいどう思ってるのだろう？　

なぜか、誰に対してか、マクロン大統領はテレビの中でこの問題をとりあげ、接種が少なすぎると怒っている。
たぶん、保健相は接種をすすめているし、ＰＣＲ検査同様、ワクチンを打つ場所も用意しているのに、何かが原因で、もたもたしているのだ。
ＤＳパリ最新情報にも書かれていたことだが、フランス人はワクチンを世界で一番信用していない国民なのである。健康第一の人たち。
そもそも、義務とされているワクチンもかなり少なく、ぼくの主治医もあまり推奨しない。
どうしても打たないとならないものだけしか、息子も接種していない。

ワクチンの接種方法も日本とは異なる。
まず薬局に処方箋を持って行きワクチンを自分たちで買い、主治医のところで打ってもらう、という仕組みで、最初はひょえーーー、となった。
買ったワクチンは主治医のところに行くまでの間、冷蔵庫で保管！！！
薬局で「～～のワクチンをください」というと、処方箋があれば売ってくれる。
しかし、今回の新型コロナのワクチンはすでに国が用意しており、無料で接種できるけど、コロナは国の緊急事態なので、消費税が高い分だけあり、こういうところはお金がかからず、助かっている。
消費税をきちんと市民(外国人だが納税をしているぼくにも)の生活に還元してくれるところは有難い。。

日本の知人の知人が風邪っぽいのでＰＣＲ検査に行ったら、陰性の場合、４万円払わないとならない、と嘆いていた。陽性だと無料らしい。
イギリスもＰＣＲ検査に３００ポンド(約４万円)もかかる。
フランスは市役所に行くとやはりタダで、誰でも検査を受けられる。並ばなくて済むし、タダなので、やはりフランスの保険制度は有難い、と思う。
ちなみに、フランスではＰＣＲ検査などを毎週１３０万から１４０万検査している。
フランスの感染者数が多いのは、検査数が多いからでもある。
そして、これは実数にある程度近い。
検査(テスト)の少ない国の感染者数は正直、まったく当てにならない。

フランスはロックダウンの成果も出ていて、まだ一日の感染者数は１万ちょっとだが、亡くなる方は百人程度にまで下がった。
(ドイツは一日に千人が亡くなっている。アメリカは3千人、いや、もっと・・・)
陽性率もパリは３％を切った。一方、東京は１０％である。
ぼくはやはり、検査をして、無症状者には家で治るまでじっとしておいてもらう、というのが感染拡大をおさえる基本、今現在出来ることの一つじゃないか、と思うのだけど…。
ＰＣＲ検査なんかいらない、という人がいまだに多いけど、症状のない人をどうやって、見分けられるのか、聞いてみたい。