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父ちゃんの料理教室「不眠症のララバイ。ぼくは眠れず、真夜中にポテサラを作る」 Posted on 2021/12/30 辻 仁成 作家 パリ

地球カレッジ

某月某日、ぼくはとにかく眠れないのである。
どんなに昼寝を我慢しても、夜になると目と意識が冴え冴えとしてしまい、どうしようもないのだ。
眠れないなら、小説でも書けばいいじゃない、と息子は言う。
でも、これが、みんなが寝ている時に、小説なんか書きたくないのである。(ただの身勝手なおやじなのだ)
じゃあ、お酒でも飲めば眠れるでしょう、という意見もあるのだけれど、これが、ぼくは酒が強いので、酒を飲むと目が覚めるというものすごい特技の持ち主なのだ。
「海峡の光」の舞台演出をした時、主演の中村獅童さんと飲み比べをやったこともある。
水のように焼酎を生で飲むのは危険ですよ、とスタッフに止められたこともある。
なので、酔わないぼくは、夜が苦痛でしょうがないのだ。
そこで昨夜は、ツイートしたように、夜中の3時に、ポテサラを作り出した父ちゃん。
ジャガイモの皮を剥き、キャベツや紫玉ねぎを千切りにし、ハムとかツナとか、冷蔵庫の中のものを整理しながら、いろいろとぶち込んで、オリーブオイルとマヨネーズとマスタードと砂糖と胡椒と塩と結構多めのレモン(または茹でたての時に酢でもいい)を絞って、ほら、この通り、作ったのであーる。

父ちゃんの料理教室「不眠症のララバイ。ぼくは眠れず、真夜中にポテサラを作る」

父ちゃんの料理教室「不眠症のララバイ。ぼくは眠れず、真夜中にポテサラを作る」

父ちゃんの料理教室「不眠症のララバイ。ぼくは眠れず、真夜中にポテサラを作る」



ぼくのポテサラはジャガイモよりもキャベツや紫玉ねぎの量が多いのが特徴かもしれない。息子に繊維質を多く食べさせたいという親心サラダと呼んでもよい。
ジャガイモは茹でて、フォークがすっと力を入れなくても奥までずんと入るような状態がよろしい。
玉ねぎやキャベツは生なのでスライサーを使って超スライスにする。
ハムとツナをちょっと入れて、あればコーンとかも・・・、お好きに。
レモンとか酢は何よりも重要だし、あと、砂糖もかかせないのであーる。
ジャガイモはどこまで潰して食べるかで、ポテサラの人格が変わってくる。
ごろごろしたジャガイモが好きな人もいるし、しっかり潰したマッシュ状態が好きな人、それぞれでいいんじゃないの~。
うちは、キャベツ+玉ねぎ連合とジャガイモのバランスが、50:50な感じ、と決めているのであーる。

父ちゃんの料理教室「不眠症のララバイ。ぼくは眠れず、真夜中にポテサラを作る」



明け方、完成をしたら、満足したので、ボウルに入れて、ラップをしてから、冷蔵庫にしまって、疲れ切って、やれやれ、とようやく眠った父ちゃんなのであった。
翌日、そんなものを作ったことさえ、忘れていた父ちゃん、冷蔵庫を覗いたら、ボウルの中で、よく冷えたポテサラが、待ってたわよーん、と微笑んでくれた。あはは・・・。
味見をして、びっくり。わわわ、美味しいじゃないの~。
じゃあ、これは鳥のフリットでも作って、白ごはんで食べよう、と思い付き、今度はチキンフリット作りに燃えた父ちゃん、なのであった。

父ちゃんの料理教室「不眠症のララバイ。ぼくは眠れず、真夜中にポテサラを作る」

こんな風に、感染拡大するフランスで、今日も辻家は幸せに過ごしているというお話しでしたが、この退屈日記を書いているのは、チキンフリット定食を食べた、その深夜で、やっぱり眠れなくて、何をしても意識が冴え冴えとしてしまい、こうやって、パソコンに向かっているというのだから、・・・おい、ヒトナリ、いいかげんせんか!!!!
こんな人生でぼくはいいのだろうか? 
皆さん、ぜひ、ポテサラに挑戦してみてください。

つづく。

父ちゃんの料理教室「不眠症のララバイ。ぼくは眠れず、真夜中にポテサラを作る」

※ 左端に鎮座しているのが、眠れずにこしらえた父ちゃんのポテサラなのでした。ちゃんちゃん。

ポテサラじじい、というのが一時期、流行りましたね。スーパーで、若い奥さんに「ポテサラくらい自分で作りなさい」とか言っちゃうおじいさんの、・・・そのおじいさんについて書いた裏話があるので、おもろいから、読んでみてね、お時間あれば・・・。ここにも、別のポテサラのレシピ載せております。ふふふ・・・・
https://www.designstoriesinc.com/jinsei/daily-2566-1/



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