JINSEI STORIES
退屈日記「辻家の夕食、息子&三四郎も加わり、夕焼け色に染まっただんらん」 Posted on 2022/08/26
某月某日、息子が帰って来て、家族のだんらんが戻った辻家であった。
とっても楽しい日本滞在だったようで、夕食の時間、会話が弾んだ。
三四郎の食堂への出入りが許可された。
ジュリアのところでの合宿後、三四郎の生活範囲が広がっている。
たぶん、ジュリアの家では犬たちがどの部屋にも自由に移動出来ていたようで、柵を開放しても、普通にまたいで、「当然じゃん」という顔で、移動している。えへへ。
キッチンとかサロンには危険なもの(玉ねぎ、電源コード、など)があるので、他の部屋には行けないよう柵を張り巡らせていたのだけれど、柵を開いて自由航行させてみたら、お、意外としおらしく行動するじゃないか。
じゃあ、様子見つつ、時々、自由にさせてやるか、となった。
今日は息子が帰って来たばかりだし、三四郎も嬉しそうなので、柵を開放し、出入りを自由にさせてあげた。
さんちゃん、食堂のテーブルの下に来て、ぼくを見上げている。
ちょっとバタバタ忙しいので、今夜は近所のお寿司屋さんから出前をとることにした。(といっても、日本のお寿司のようなものじゃなく、こっちのOH-SUSHIね、笑)
息子が食堂に真新しい炊飯器を持ってやって来た。
「あら、どったの?」
「空港で買った。一人暮らしに不可欠でしょ。三合半まで炊ける」
「いいね」
「ウイリアムがね、新しいアパルトマンからすぐのところの大学に通うんだよ」
「じゃあ、入り浸るな?」
「うん、毎日来て、料理するって言ってるから、炊飯器買っといた」
「なんじゃ、それ。恋人か・・・」
「トマの大学も結構近いから、みんな、頻繁に集まることになると思う」
ま、いい子たちだから、いいか・・・。
「どの辺なの?」
息子が携帯を取り出し、住所を入力した。
「ここ」
「どれ」
息子君、マップを操作した。
「この赤い扉の、向こう」
「へー、凄いね。大きな通りじゃん。え? あれ、ここ、知ってる。この近くに巨大なアジアスーパーがあるでしょ。ちょっと、貸して」
ぼくはグーグルマップを動かして、探した。あった・・・。何度か行ったことがある。
「ここ、何でも手に入るよ。醤油とか味噌とか日本のインスタント麺なんかとか」
「ほんと?」
「ああ、しかも、安いんだ。オペラの和食材店の半分くらいの値段で買える」
「あ、じゃあ、ウイリアムやトマと行かないと」
「あのね、合宿じゃないんだよ」
「でも、あの二人、料理がめっちゃ上手なんだよ。炒飯とか中華街で食べるくらい美味いからね、ありがたい。たぶん、入り浸るね」
「入り浸りますな。間違いない。ウイリアムがそのうち、鍵を持ってる気がする」
「するね」
否定しないんか・・・、笑。
「あかんやろ」
「あはは」
「大学まで、歩いて7分くらいかな。バスで一駅。バイト先までメトロで10分かな」
「便利だね。うちまでは?」
「3,40分」
「ま、週末は帰ってくればいいじゃん。パパのご飯が食べたくなったら」
「うん」
「あ、じゃあ、毎週、豆腐とか調味料とか肉とか、買ってこれるんじゃね?」
「え? ああ、いいよ」
「わざわざ買いに行かないでもいいから、助かるわ。毎週、これとこれ買って、とメッセージを入れるね」
「いいよ。お安い御用だよ」
アジア食材を届けるのが、口実になって、家に戻って来れるじゃんね。いひひ・・・。
こんな会話で盛り上がった辻家であった。でも、そのうち、寄り付かなくなっていくんだよ、だんだん、一人暮らしになれていったら・・・。
「明日、午後、不動産屋で鍵を貰って、ウイリアムやトマと部屋の下見に行くんだけど、パパも来ない?」
「え? パパも? 行っていいの?」
ちょっと考えたけど、息子の生まれて初めてのアパルトマンを覗かないわけにもいかないから、行こうかな、と思った。
三四郎が見上げていたので、
「お前、一緒に行くか?」
と訊いた。首を傾げた、天使のさんちゃんであった。
えへへ。
※ ロン毛になったさんちゃん。なんか、ヒッピーみたいなので、撮っときました。あはは・・・。変な奴です。
つづく。
今日も読んでくれて、ありがとうございます。
ということで、息子君、日本から帰って来るなり、出ていくという、このなんともドタバタな人生劇場、楽しいけれど、目まぐるしくて、映画のようです。はい。笑。今は恋人とかもいないようなので、オタク四銃士(十斗、トマ、ウイリアム、アレクサンドル)の溜まり場と化すことは間違いなさそうで、ま、そこもある意味、順調なのかもしれません。あたたかい目で見守ってまいりましょうか・・・。
※ 9月2日に、締め切り迫っていますよー。新世代賞。25歳以下のチャレンジャーの皆さん、れっつとらい。