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滞仏日記「12メートルの高波にびびる三四郎はベッドの下に隠れた。もの凄い砕波!」 Posted on 2023/03/23 辻 仁成 作家 パリ

某月某日、ぼくらサンシー隊はブルターニュ地域圏のサンマロにたどり着いたのである。
ここは城壁の街としてとっても有名だけれど、ここを世界的に有名にしているのは、実は3月末い押し寄せる高波が、街を囲む城壁を超えて、市街地に注ぎ込む現象なのである。
世界中の人々を「信じられない」光景にくぎ付けにさせている。
まさか、その瞬間を目撃できるとは思わなかった、父ちゃんは大興奮!
ところで、ぼくと三四郎がサンマロに到着した、今日は一年に一度の大潮の日で、夜の20時3分にそれが最高潮となる。
高波がサンマロを覆う城壁にぶつかり、12メートルを超える飛沫の壁、砕波をそこに作るのである。
まずは、写真を見て貰いたい。ぼくが滞在したホテルの部屋の窓から目の当たりにした光景である。

滞仏日記「12メートルの高波にびびる三四郎はベッドの下に隠れた。もの凄い砕波!」



これは、実に、すごい砕波ではないか!!!
三四郎はこの異変に驚き、ベッドの下に逃げ込んで出てこない。
というのは高波が生じる瞬間、どーん、というもの凄い地鳴りのような音がして、その直後に高波が城壁に激突い、10メートルを超える波の壁、砕波が出来るのであった。
実はこの光景、サンマロ市が制作したYouTubeで見たことがあり、頭では理解できていたのだけど、実際に目撃するとその迫力たるや半端ない。
大勢の観光客が、海沿いの道まで見学に来ているのだけれど、砕波がその人々の頭上から降り注ぐのだから、恐ろしい・・・。
どーん、という激しい音のあと、12メートルの波の壁がそそり立つのだから、すごい。
言葉で表現できないほどの迫力なのであった。

滞仏日記「12メートルの高波にびびる三四郎はベッドの下に隠れた。もの凄い砕波!」

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滞仏日記「12メートルの高波にびびる三四郎はベッドの下に隠れた。もの凄い砕波!」



その最高潮の日が、なんと、今日なのであった。
そうとは知らず、ぼくらはサンマロの城壁沿いのホテルに宿泊したのだった。これは、マジで、偶然なのであった。
夕方、チェックインし、暫く休んでいると、ドーン、という音がして、そのあと、飛沫が弾けるような音が響き渡った。
驚いて、テラスに出て下を覗いてみると、見物客らがすでに集まっており、砕波を撮影しているではないか。
波は城壁を飛び越えて、道に溢れている。白い飛沫の模様が出来ているのだ。
三四郎はびびって、逃げまくっていた。
外にいる犬たちは、わんわん、と大きな声で吠えまくっている。
このサンマロの砕波に関しては科学的な研究もかなり進んでいて、見物人らも安全を熟知し、警察車両も出ていたが、みんな冷静なのであった。
そして、まさに今日が、一年で一番大きな高波が押し寄せる日なのであった。
一番の大潮が20時3分なのだという。
その前後に十メートルを超える砕波が次々と街を襲ってきた。
歓声と拍手と悲鳴と犬の鳴き声がいったいに響き渡り、異常な状態にさせていた。
沿道には観光客が陣取り、撮影をしているのだけれど、もはや、全員ずぶぬれであった。
その中をランニングする人、UBERの配達員もいるし、車も何台か普通に通り過ぎていくのだった。
どーん。
ざざー、という波の音が繰り返され、その後に人々の悲鳴と拍手が続くのである。
三四郎はベッドの下から、ぼくをじっと見ていた。
「大丈夫だよ。これは地球の叫び声だ」
ぼくはそう、教えた。
遠くから押し寄せてくる黒い波が、岸辺の近くで勢いを増し、そのまま、城壁に体当たりして砕け散るのである。
何とも凄い光景であった。
明日の朝も再び、同じような光景がおこるというので、今日は早めに寝て、明日の観測に備えることにしようと思う。
いやはや、地球、凄すぎる。

滞仏日記「12メートルの高波にびびる三四郎はベッドの下に隠れた。もの凄い砕波!」

※ この下の動画はサンマロ市が作ったYouTube、ご覧頂きたい。この大迫力を経験したサンシー隊であったぁ~。

滞仏日記「12メートルの高波にびびる三四郎はベッドの下に隠れた。もの凄い砕波!」



滞仏日記「12メートルの高波にびびる三四郎はベッドの下に隠れた。もの凄い砕波!」

つづく。

今日も読んでくれてありがとうございます。
ということで、サンマロという城壁の街に我々サンシー隊は到着しました。ここは、クレープが有名な街なので明日は美味しいクレープでもご紹介したいと思います。
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自分流×帝京大学