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滞仏日記「三四郎、同じ顔をしたミニチュアダックスと出会う。瓜二つとはよく言ったものだ」 Posted on 2023/07/09 辻 仁成 作家 パリ

某月某日、ウクライナの軍情報機関が、「理由は言えないが、ザポリージエ原発へのロシアの攻撃の脅威が低下した」と発表した。
「理由は言えない」が気になった。11日に原発の爆破があるかも、と囁かれていたので、ひとまず、先送りになった、ということか。
IAEA(国際原子力機関)が、爆発物設置の兆候はない、と発表したことを受けたものかもしれない。どちらにしても予測不能な未来の様子を見守っている。
パリは33度、うだるような暑さだ。
フランスの家には、基本、クーラーなるものがない。デパートやオフィスにはさすがにあるけれど、カフェにさえもないのである。
なので、逃げ場所がないのだ。
三四郎も昨日に引き続き、ぐったりしている。
想像してみてほしい。
33度の猛暑の中、彼は毛皮を着ているのである。
しかも、長い毛皮なのじゃ、うわ、暑苦しい~ィ。
ミニチュアダックスフントには大きく分けて3種類あって、毛の短いの、毛の長いの、毛がごわごわの・・・、で、三四郎は、ロン毛なので、見ているこっちまで苦しくなる、超・毛皮男なのであった。あはは。
なので、日中の散歩は可哀想だからやめて、家の中にいることに。その分、朝と夜に長く出歩くことにした。(夕方はおしっこだけさせに一瞬出る程度)
そしたら、朝の帰り道、三四郎と瓜二つの顔をしたミニチュアダックスちゃんとばったり。
わ、同じ顔じゃん。瓜二つ!!!
ご覧頂きたい。こっちを見ているのは、三四郎ではない!!!

滞仏日記「三四郎、同じ顔をしたミニチュアダックスと出会う。瓜二つとはよく言ったものだ」

※ 三四郎も、似ているので、じっと、覗き込んでいた。しかし、似ている、・・・。



この子は女の子だということだけれど、しかし、瓜二つである。ただ、髪の毛が短くてカールしている。
「マダム。もしかして、この子、ノルマンディ生まれ?」
「ええ、そうです」
「ああ、うちの子も、ノルマンディなんですよ」
そこで、お互いブリーダー名を言い合ったが、違うところであった。
「でも、遠い親戚であることには間違いなさそうですね」
「ええ、そうね」
三四郎は6人(犬)兄弟だった。
彼と同じ顔の5匹がどこかで生きているのである。
今、この子の世話をすることが、ぼくの日々の中心にある。
ぼくは子育ても、生き物を育てることも、好きだから、三四郎の面倒をみるのは、苦痛じゃない。むしろ、楽しいことの方が多い。

滞仏日記「三四郎、同じ顔をしたミニチュアダックスと出会う。瓜二つとはよく言ったものだ」

※ こちらが三四郎なのだけど、上の写真と比較してみてほしい。きゃあ、似てる~。瓜二つ・・・。同じ目線やん。



今日は、三四郎をぼくのアトリエに連れて行った。
アトリエは、事務所の上にある。(正確には建物が違う。エレベーターを利用し、途中から入り組んだ裏階段を上らないとならない、最上階に)
ライブが近づいているので、歌とギターの練習をやる。
狭いアトリエだけれど、たくさんの絵がある。絵の保管庫・・・。
ノルマンディのアトリエで下書きをやり、ある程度形になったものを、パリのアトリエに運んで仕上げの作業をやる。
自分を落ち着かせるために、大いなる趣味として長年、描いてきたけれど、作品が、部屋には入り切れない。
趣味もここまでくると、手に負えない。
三四郎は、アトリエのソファに寝そべって、夏バテ状態であった。
ここも屋根裏部屋だからね、暑いのだ。
窓を全開にして、風の通しをちょっとよくしてあげた。
遠くに、モンマルトルの丘が見える。
すっかり、パリに長居してしまった。
いつまで、ぼくはここで生きることになるのかな。

滞仏日記「三四郎、同じ顔をしたミニチュアダックスと出会う。瓜二つとはよく言ったものだ」



つづく。

今日も読んでくれてありがとうございます。
ということで毎日、夏の日本ツアーに向けて練習に余念のない父ちゃんです。オランピア劇場でも「父ちゃん~」コールがめっちゃ多くて、(やめれ!)周囲のフランス人が、きょとんとした顔で見回しておったではないか。(やめれ!)日本でも起きそうで、はにかむしかない父ちゃんなのです、・・・。えへへ。
絵を描いたり、歌ったり、日記書いたり、これが仕事なのか、と思うと、不安になりますね。でも、この歳までそれで生きてきてしまいました。ごっつあんです。あはは。

そして、7月16日の地球カレッジは、エッセイのお勉強会になります。いろんな顔を持つ父ちゃん講師が文章教室を開催いたしますので、音楽も好きだけれど、文学も好きな皆さん、覗きに来てね、詳しくは下の地球カレッジのバナーをクリック!!! めるしー。

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