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滞伊日記「父ちゃんと三四郎は、イタリアの路地を歩いているのだ。マンジャーレ!マンジャーレ!」 Posted on 2023/12/27 辻 仁成 作家 パリ

某月某日、ということで、父ちゃんと三四郎は、イタリアに到着した。
スペインとか、ポルトガルとか、大いに、迷ったのだけれど、欧州で、フランスに並んで犬に対して寛大な国ということになると、やはり、イタリア、なのだった。
とにかく、犬連れの人が多い。
そして、犬を連れている人はたいていジモピーの確立も高い。
犬を連れていていいことは、それほどないけれど、犬を連れていると観光客と思われない可能性が高いので、狙われる率もやや減る印象がある。(あくまでも個人的意見です)
犬連れなので、面倒くさいこともあるのだけれど、ぼくは三四郎と旅をするのが好きだ。三四郎がどう思っているのかわからないが、たとえば、パリだと、朝昼夜の散歩が各20分ずつであるのに対し、旅に出ると、父ちゃんは仕事をしなくなるので、一日中、三四郎と市中を歩き続けることになる。
犬だって、歩きたいし、犬だって、飼い主と一緒にいたいのである。
それと、三四郎にとって、旅先が大好きなのは、父ちゃんと同じ部屋で寝ることができる、ことなのだ。
三四郎はベッドに絶対あがっちゃいけない教育をしているので、ベッドに上がってくることはないけれど、犬用ベッドをぼくの横(足元)に置いてあげるので、幸せそうなのだ。
一日中一緒なので、おやつにありつける確率もちょっと高くなる。
ただ、イタリアのわんちゃんは、アグレッシブな印象があって、今のところ、パリとは勝手が違っている。
イタリアの犬は、フランスの犬に向けて、吠える。笑。
どの犬も、吠えてお互いを主張している、印章がある。
フランスは、たぶん、フランス人の考え方、仕向け方なのだろうが、犬同士を仲良くさせるのが、いいこと、と考えている節がある。
それが犬の幸せ、と思っているからか、飼い主同士が仲良くならざるを得ない。イタリアの場合、犬同士が、くんくん、やっていても、飼い主同士、よっぽどジモピーでないかぎり、会話はゼロ。(ちょっと驚いた)
これは飼い主さんの考え方の違いなのか、犬を積極的に、外の犬に、あまり近づけてこないし、当然、やりとりもない。犬も吠えてくるので、三四郎は逃げまくっている。でも、仲良くしている犬も、稀にいた・・・。
この旅のあいだで、それが何の違いなのか、どんな差なのか、調査してみたい。
ただ、イタリア人は、みんな親切で、優しい。(車を運転している人を除く)そして、おしゃれだ。
フランスの男性とイタリアの男性のファッションセンスの差、びっくりするほど大きいのだが、ま、そこは重要じゃないかも。えへへ。

滞伊日記「父ちゃんと三四郎は、イタリアの路地を歩いているのだ。マンジャーレ!マンジャーレ!」

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※、こういう広大で、静かなイメージがイタリアにはあります。超リスペクト!



今回の旅の目的は、次の個展に向けて、絵画的イメージを掴むこと(えらそうに、笑)、そういう場所をめぐって、強いイメージを受け取ること。
実際に、広場やカフェでスケッチや水彩画などを描いたりもするし、あるいは、詩を書いたり、小説の構想を考えたり、曲作りなどの、創作イメージのストックを増やす目的もある。
しかし、本命は、違うのだ。
一番の目的は、世界一のパスタを見つける旅なのであった。
あはは。
果たして、イタリアでぼくは本当においしいパスタを見つけることができるのだろうか?

滞伊日記「父ちゃんと三四郎は、イタリアの路地を歩いているのだ。マンジャーレ!マンジャーレ!」

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ということで、イタリアのレストランは、ほぼ、犬連れOKなので、最終的にぼくはイタリアを選んだのだった。
世界一のイタリアン・パスタを探す旅がはじまります。お楽しみに!!!

つづく。

今日も読んでくれてありがとうございます。
すでに、到着後、あさひるばんとパスタを食べている、愛情料理研究家の父ちゃんですが、いや、昔、来たときは、イタリアなのにパスタがおいしくなくてがっかりした経験がありましたが、今回は、いろいろと発見もあり、やはり、だんとつパスタはイタリアなのだ、といまさらながらに、唸ることになったのです。詳しい報告は明日からはじまる、イタリアン・パスタ特集に譲らせてください。というのも、食べすぎて、今は、書きたいけれど、胃が苦しいのであります。あはは。

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