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退屈日記「宴の残り物で、父ちゃんの愛情弁当を作って息子にもたせる母心の巻」 Posted on 2024/02/05 辻 仁成 作家 パリ

某月某日、息子くんとカフェで待ち合わせ、いろいろと2時間くらい、世間話をしたのだった。
思春期、反抗期は終わったが、まだまだ成長期なので、息子の心具合を親として測る必要があり、時々、カフェで向き合っているのだった。
その方が、腹を割って話し合える、というものなのである。
フランスのママ友たちに出して、残ったとんかつとか蒸しエビとかがあったので、それを持たせることを思いついた父ちゃん、
「ちょっと寄っていけよ。明日学校早いなら、夜はお弁当がいいだろ?」
「うん」
ということで、息子がやってき、昨夜の残りもので、ちゃちゃっと愛情愛父弁当をこしらえてやった父ちゃんなのだった。
元気溌剌な20歳の青年だが、いろいろと、まだ気になることはある。
大学のこと、友人のこと、アルバイトのこと、将来のこと、限りない彼の難問を、まるで、人生相談の博士のような感じできいてやる父ちゃんなのだった。
あらゆる人生の可能性について、議論しあうとは大切。
息子も、話せば次第に安心した感じになっていく、よしよし、それが本当の親子というものだ。
御覧いただきたい、見た目はあまりよくないけれど、一人フライヤーを使い、揚げたてのほかほか父ちゃん弁当なのであーる。
巨大な、おにぎり、付きだ~。

退屈日記「宴の残り物で、父ちゃんの愛情弁当を作って息子にもたせる母心の巻」

退屈日記「宴の残り物で、父ちゃんの愛情弁当を作って息子にもたせる母心の巻」



人を招いた翌日は、こうやって、残った食材を上手に使い、息子にお弁当を作ってやったりしている。
こっそり、お小遣いをあげたり、もしている。(前回、誕生日にあげたKENZOのセーターを着ていた。お、と指さすと、照れていた。かわいい子だ)
「夏はユゴーと日本に行くんだ」
今年から、日本行きは自分で工面しないとならないルールになっているのだ。
「お金足りるの?」
「うん、音楽で、だいたい稼いでいる」
「まじか」
「お小遣いにはなる。でも、あと200ユーロくらい足りない」
「援助してやろうか」
「いらない。自分で稼いだお金で行きたい」
よし、ならば、それがいいね。
「いくつか飛行機を乗り継げば、数万円で行けるんだよ」
「すごいな、まじか」
あはは。

退屈日記「宴の残り物で、父ちゃんの愛情弁当を作って息子にもたせる母心の巻」



息子の親友の一人、ルイ君が、先日、音楽スタジオにやってきて、写真を撮影してくれたのだった。
ぼくはルイの写真が好きなので、依頼したのである。(ちょっとだけ、払ったよ。まだ学生だから、適正価格を、笑)
けれど、かなり、いい写真ができてきた。
息子が携帯でいせてくれた。
「パパ、これだよ」
覗いたら、おおお、いい男になっておる、父ちゃんが!
※ 今年、上半期のアーティスト写真はこれでいきます!!!!

退屈日記「宴の残り物で、父ちゃんの愛情弁当を作って息子にもたせる母心の巻」

photo by Louis Le Lay

「ね、ルイ、写真、上手だよね」
「ああ、いい友達がいるね」
「うん、本当にいい仲間に恵まれているんだ」
「友だちは財産だからね、大事にしなさい」
弁当箱を抱えて、息子は帰っていきました。
朝、6時半には起きて、8時から授業なのだそうで、今はちょっと頑張らないとならない、と豪語して帰っていきました。見習わないと・・・。
ということで、これが、次回のパリ、ライブ用アーティスト写真として、使われることになるのじゃ!!!!

つづく。

今日も読んでくれてありがとうございます。

さて、今年の父ちゃんのスケジュールのお知らせです。
●小説「十年後の恋」集英社文庫版が1月19日全国発売。
●小説「東京デシベル」がイタリア、Rizzoli社から刊行されました。
●2月28日から、新宿伊勢丹のアートギャラリーで個展(詳しくまたご報告します)
●3月3日、両国国技館、ギタージャンボリー出演。(検索ください)
●3月6日、ツジビル・ライブ(SOLD OUT)
●4月19日、ロンドン、ライブ。詳細はこちらから☟

https://www.eventbrite.co.uk/e/2gz-tsuji-and-hide-live-japanese-music-in-london-tickets-790578039197?aff=oddtdtcreator

●6月30日、パリ・ライブ決定(詳細、待って)
●7月3日、リヨンでライブ!!!
以上です。

退屈日記「宴の残り物で、父ちゃんの愛情弁当を作って息子にもたせる母心の巻」

自分流×帝京大学

退屈日記「宴の残り物で、父ちゃんの愛情弁当を作って息子にもたせる母心の巻」