JINSEI STORIES

滞仏日記「パリの素敵なデザイン、アスティエ・ド・ヴィラットのお皿が大好き」 Posted on 2024/02/24 辻 仁成 作家 パリ

某月某日、サン=シュルピュス教会からリュクサンブール公園までの間の路地を歩いてもらいたい。
とにかく、父ちゃんが大好きな一帯がひろがる。
穏やかな時間、絵になる光、そして、これぞパリといわんばかりの石畳が傾斜して連なる。
そこは、出版社とか写真屋とか骨董屋とか額縁屋とかが、ひっそりと営業しているような、でも、観光客とはほぼすれ違わない、もう、まさに、これぞパリという空域なのである。
たとえば、額縁屋さん、ぼくはここで今度自分の絵の額縁をオーダーしようと思っている。ウインドーに飾らわれた額たちの、うららー、なんと優雅なことか。中で、職人さんが黙々と額縁を作っているこういう姿、ため息が出る。
これこそ、パリなのだ。
素敵なのである。
こういう色調の美しさ、わかります?
詩がどんどん生まれてきそうだ。さよならいつか・・・

滞仏日記「パリの素敵なデザイン、アスティエ・ド・ヴィラットのお皿が大好き」

滞仏日記「パリの素敵なデザイン、アスティエ・ド・ヴィラットのお皿が大好き」

滞仏日記「パリの素敵なデザイン、アスティエ・ド・ヴィラットのお皿が大好き」



実は今日は、お皿を、探しに来たのであった。
いつもだんちゅーや日記で料理を載せているお皿の中で、時々、薄くて壊れそうな灰色の素敵なお皿があるのだが、皆さん、おわかりになるかな?
あまりに薄いので、壊れると悲しくなるから、大切なお客さんが来た時、たとえば、野本とか、うそうそ(笑)、そういう時に、さりげなく、アスティエ・ド・ヴィラットのお皿で出すのだけれど、皆さん、センスいい~、と言ってくださる。
22年前、パリにやってきた時に、サントノーレにあった本店によく通って、いくつかゲットしたものであった。
とりあえず、どんなお皿か、ちょっと御覧いただきたい。dancyuのウェブ版でサラダレシピを連載した時の写真があるのだー。
お皿、素敵なのであーるちゅーるらんぼー。

滞仏日記「パリの素敵なデザイン、アスティエ・ド・ヴィラットのお皿が大好き」

※ 上のはブレザオラのサラダ、下は、白アスパラのサラダ。おいしそうでしょ!?

滞仏日記「パリの素敵なデザイン、アスティエ・ド・ヴィラットのお皿が大好き」

滞仏日記「パリの素敵なデザイン、アスティエ・ド・ヴィラットのお皿が大好き」



で、本店は、サントノーレにあるのだが、そこもなんか、深い森の奥にぽつんとある工房のような店だが、でも、ぼくはこのリュクサンブール公園そばの二号店がいいな~。
何がいいかって、その、窓から差し込む光の傾斜角がそもそも、圧倒的。
それと、壁に棚があるのだけれど、見て貰いたい、こんなにたくさんの薄い皿が、積み重ねられて、これは、もはや、過去の空気の堆積にしか思えない。
空気で出来たサブレみたいなものが、一つ一つ、超個性的に積まれている。
22年前、サントノーレのお店はまだこれから、という感じで、知る人ぞ知るアスティエ・ド・ヴィラットだったが、今や、世界中からこの薄いサブレのような、あるいは時間虫の羽根のようなお皿を買いにくるのだというから、立派になったの~。
ぼくがお皿を見ていたら、奥から出てきたスタッフさんと目が合った。なんか、日本語しゃべっていいのかな、と思うくらい懐かしい顔だったので、もしかして日本人? という顔をしたものだから、辻さんですか、とばれてしまい、挙句に、ライブにいきましたよ、と言われて、有頂天になった父ちゃん、えへへ。にんまり。
まゆみさんという店員さんであった。
もう一人、フランス人の店員さんがいたのだけれど、なんだろう、みんな妖精みたい、というか、売りつけようとしないというか、で、時々、はしごを上って、お皿をとってくれたりして、なんだか、落ち着く~。
森の中のサンテラスに招かれたような、心地よさを覚えて、つい、長居をしたくなる、そういう素敵なアスティエ・ド・ヴィラットなのだった。

滞仏日記「パリの素敵なデザイン、アスティエ・ド・ヴィラットのお皿が大好き」

滞仏日記「パリの素敵なデザイン、アスティエ・ド・ヴィラットのお皿が大好き」

※ この階段、毎日、のぼったりおりたり、してみたい。

滞仏日記「パリの素敵なデザイン、アスティエ・ド・ヴィラットのお皿が大好き」

滞仏日記「パリの素敵なデザイン、アスティエ・ド・ヴィラットのお皿が大好き」

※、この下の真ん中の小皿、で、すてき。

滞仏日記「パリの素敵なデザイン、アスティエ・ド・ヴィラットのお皿が大好き」



お皿も、コーヒーカップも、あらゆるものが、森の妖精の私物のような感じで、あ、でも、この地域に住んでいる人たちも、みんなそんな感じ。
帰りがけに、隣のカフェに立ち寄ったら、窓際のおじさま、まじで半端なく分厚い本(厚さ、10センチはある)を読んでいて、しかも、彼の前には、ティーカップ、スパークリングウオーター、そして、のみかけの赤ワインが置かれていたのだ。
何時間、そこにいるんやろ、と心配になるくらい、優雅な読書を楽しんでおられたので、くすくす、と笑ってしまった、父ちゃんであった。
帰り道、壁にアルチュールランボーの詩が書かれた壁の前で、その詩を朗読していたら、マダムに、ちょっと発音が違うわよ、と指摘されて、そこから、思わず立ち話。
上から下まで、とってもシックにきめているいい人生を生きたに違いないマダムで、
「あなた、どちらから来たの?」
と別れ際、優雅に、訊かれた、父ちゃんであった。
「日本です」
「まァ、それははるばる」
フランスで22年も暮らしているといえなかった。
「なんで、パリに」
「いついちゃったんです。だって、こんなに素敵な石畳、路地、空気感、そして、見てください、この壁の色、マロニエの色、パリの空の色、どこにもありませんよ」
マダムが、優しい顔で、それはうれしいわ、と言ってくれた。
ただ、すれ違って、数分、立ち話をしただけで別れたのだけれど、いいでしょ?
こういうパリが本当に大好きなのだ。
観光地ではなくて、ひっそり呼吸をしている、パリ・・・。

滞仏日記「パリの素敵なデザイン、アスティエ・ド・ヴィラットのお皿が大好き」

滞仏日記「パリの素敵なデザイン、アスティエ・ド・ヴィラットのお皿が大好き」

滞仏日記「パリの素敵なデザイン、アスティエ・ド・ヴィラットのお皿が大好き」



つづく。

今日も読んでくれてありがとうございます。
また、まゆみさんに会いに、行かなきゃ。一枚、どうしても買いたい小皿が、奥の部屋の角に、ちょこんと、あったのだけれど、72ユーロもしたので、ちょっと悩んじゃった父ちゃんなのでしたー。あはは。
さて、ライブと個展とか、お知らせですぞ。
伊勢丹アートギャラリーの個展ですが、気を付けてほしいのは、初日の28日は抽選で決まった方しか入れないので、正式には、29日の朝10時から、3月5日の午後6時まで、ご自由にご来場いただけます。「辻個展、29日から、3月5日まで」とメモをよろしくお願いいたします。混乱を避けるため、との画廊の判断ですので、ご理解ください。

●小説「十年後の恋」集英社文庫版、重版!
●小説「東京デシベル」がイタリア、Rizzoli社から刊行されました。
●3月3日、両国国技館、ギタージャンボリー出演。
●3月6日、ツジビル・ライブ(SOLD OUT)
●4月19日、ロンドン、ライブ。詳細はこちらから☟

https://www.eventbrite.co.uk/e/2gz-tsuji-and-hide-live-japanese-music-in-london-tickets-790578039197?aff=oddtdtcreator

●6月28日、ボルドー・ライブ、予定。(詳細待って)
●6月30日、パリ・ライブ決定(詳細、待って)
●7月3日、リヨンでライブ。(詳細、お待ちー)

https://www.instagram.com/japan.stories?igsh=MTA2dWFjODdsZnNrZA%3D%3D&utm_source=qr
新しいデザインストーリーズのインスタも再始動! スタッフみんなで、パリの今を配信中!
https://www.instagram.com/designstories_paris?igsh=cHlpdGFvdWkyYmdj&utm_source=qr
・それから、ぼくのなりすましが、ファイスブックで暗躍していて、問題が起きている、というので、皆さん、フェイスブック、ぼくのなりすましには、近づかないように、友だち申請とかしないでくださいね。要注意です。
以上です。

滞仏日記「パリの素敵なデザイン、アスティエ・ド・ヴィラットのお皿が大好き」



滞仏日記「パリの素敵なデザイン、アスティエ・ド・ヴィラットのお皿が大好き」

自分流×帝京大学