JINSEI STORIES

滞仏日記「日々の言葉に生かされている。言葉と侮ることなかれ、されど言葉なり」 Posted on 2024/04/24 辻 仁成 作家 パリ

某月某日、ロンドンでのこと。
はじめてお会いする方々(2,3人だけど)がいらして、ライブ終演後、
「辻さんの日々の言葉に助けられています」
と声をかけられた。
なんのことか一瞬わからなかったが、エックス(旧ツイッター)とかインスタにアップしている日々言葉のようであった。
「ああ、あれですか。あはは、お恥ずかしい」
「でも、あの言葉に毎日背中を押されて生きてきたので、今日、会いに来たんです。パワー貰いました」
「おお、そうであったか、それはそれはどうもありがとう」
あのロンドンのライブに、アメリカや、欧州各地や、日本からも来てくださった方がいらしたのであーる。
しかも、SNSで父ちゃんが発信している言葉がきっかけだというから、恐縮してしまったのだった。
一時期は、SNSでの発信もやめようと思ったが、とある人(映画関係者)が、心を壊されて、あんな父ちゃんの言葉が支えになった時期があった、と告白されたことがあり、そこからまた、ちょっと真剣に毎日、呟くようになったのだった。
ほんとに、遠ざかっていた人たちからも、SNS、見ています、と言われることが多いのだ。
あんなものでも、誰かの背中を押すことが出来ているなら、やめちゃいけないな、と思い直して、最近は、毎日、一つ、エックスとインスタにアップするのを日課にしているのだった。
どうやって書いているのか、というと、朝、起きて、ここ最近、自分が苦しんだことを思い出して、そこをどうやって乗り切ったか、思い出して、そのほかいろいろ思い出して、それを言葉に託しているというわけであーる・ふぁろめお。

滞仏日記「日々の言葉に生かされている。言葉と侮ることなかれ、されど言葉なり」



ただ、言っていることは、だいたい、父ちゃんの周りで起きていることだから、厳密に言うと、いつも一緒なのだが、SNSって、タイムラインみたいな感じで、流れているものだから、その瞬間、誰かが受け取り、誰かに届く、みたいで、その方々が「いいね」をしてくださるから、ぼくも、安心して、今日を過ごせるのだった。
最近の、エックスとかは、人の死ぬ瞬間の映像とか、いじめとか事故とか暴力の映像が多いので、ぼくは見なくなった。
フォローしてないものがどんどん入って来て、教育的にもよくないものが多くて、困ったものだなァ、と思うのだけれど、一方で、それが現実の世の中でもあるので、子供たちも無菌室で生きていたら弱くなるから、仕方がないかな、と思うこともたまにある。
うちの子なんかは、「ぼくは見ない。気分が悪くなるから」と断言している。
なので、そういうありとあらゆる渦巻のような世界にあって、心が浄化されるような優しいツイートになればいいなァ、と思って、書いていたりもする。
ぼくは、割と強い人間だから、引退もできる、のだと思う。
そういうぼくは嘘をつきたくないから、人間社会で波風が立ちまくるのだけれど、でも、そういうことも含め、正直に生きるのは大変だよね、ということをツイートしているのだと思う。
「誰の人生だよ」
というのは、大昔に、母さんが、ぼくに行った言葉で、もう、ツイッターの時代から読んでいる皆さんにはお馴染みの言葉かもしれない。著作物の中にも何度か、書いた。

滞仏日記「日々の言葉に生かされている。言葉と侮ることなかれ、されど言葉なり」



それでも、同じ言葉だが、ツイートすると、みんな、「いいね」を押してくださる。
これは、「共時性」だと思う。
ぼくらは少なくとも、10年、20年、40年、50年の年の差はあっても、銀河系の中では、ほぼ同世代なのである。
この同じ宇宙の同じ時代の中で生きているものだけが、うすうす、感じ取っているものがあって、その共時的な意識が、ぼくらを実は繋いでいたりするのだ。
なので、同じ言葉であっても、受け取る人の側の瞬間にフィットするのかもしれない。
だからぼくは、「大丈夫です」とポジティブな言葉で、仮に、大丈夫じゃなくても、呟くようにしているのであーる・ぱちーの。
そうすることで、大丈夫が、共時的に、世界を覆う瞬間がある、と信じている。
あなたが、辛くても、ぼくはここにいます。
あなたも生きていて、ぼくも生きていて、ここがフランスの田舎の畑の中であろうと、そこが、都会のビルの谷間であっても、人類は、同じ意識をどこかで共有しているのだ、と思うと、心が楽になりませんか?
と、言いたいのである。
はい、大丈夫です。

滞仏日記「日々の言葉に生かされている。言葉と侮ることなかれ、されど言葉なり」



つづく。

今日も読んでくれてありがとうございます。
無理して、誰かに合わせる必要なんかないんですよ。我慢してもいいけれど、我慢すると相手が調子にのるので、ぼくは時々、テーブルをひっくりえして、人生の中で革命を起こしています。公式ライブをやめるのは、ぼくがぼくであるため、に必要なことだからです。皆さん、人間は誰かの、組織とか力のあるもの奴隷になっちゃだめです。誰にも支配されない芸術家でいきましょう。えいえいおー。

5月26日に、エッセイ教室をやります。正式募集は、5月1日ですが、課題は「お弁当」エッセイです。
詳しくは、とりあえず、こちらをご覧ください。
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https://www.designstoriesinc.com/jinsei/daily-4902/
それから、
月に3度、父ちゃんがお茶の間に登場し、熱血で語ります。
ツジビル村営放送、ラジオ・ツジビルは、こちらです。
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https://www.tsujiville.com/

さて、さて、日本での引退も決定したので、東京と大阪公演、これで当面、見納めになりそうですね。生涯、最高のライブにしますので、お付き合いください。

・東京3DAYS公演
7/30(火)ヒューリックホール東京
7/31(水)ヒューリックホール東京
8/5(月)ヒューリックホール東京
・大阪公演、ワールドツアー千秋楽!
open18:30/start19:00
8/7(水)フェスティバルホール大阪
open18:00/start19:00

さらに、、、、
フランスツアーが6月に行われます。
パリは、ベルビルにある老舗の劇場「Le Zebre」にて行われます。チケットが発売になりました。在仏、在欧の皆さん、お時間があれば、ぜひに。
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●6月30日、パリ、Le Zebre チケットはこちらから、どうぞ!
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https://billetterie.seetickets.fr/tsuji-in-paris-concert-le-zebre-30-juin-2024-css5-envolproduction-pg101-ri10301135.html

そして、7月3日、リヨン、La Marquise
なぜか、パリの会場よりも、売れています。売り切れる前に、お早目に!笑。
チケットはこちらから、どうぞ!
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https://billetterie.seetickets.fr/tsuji-in-lyon-concert-la-marquise-peniche-03-juillet-2024-css5-envolproduction-pg101-ri10301835.html

●7月20日から7月28日まで青山・新生堂画廊にて、個展!
●9月後半、コルシカ、アジャクシオ、ライブ。(ライブは、だいたい、9月25,26日のどちらかになります。作家としての登壇も予定しています)



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